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ハワイ食べある記

  • 2018.7.3

サウスビーチカフェ

    女性は明らかに男性よりも賢い。確かに僕ら男たちは、車の修理とか、森の中で火をおこさなければならないとかいうときに役に立つかもしれない。しかし、概して女性たちは思慮深い考えをする。というか、ちょっとした小ワザを知っているのだ。手際よく美味しい料理をこしらえたり、クーポンやディスカウントをうまいこと利用したり、目の周りのクマを隠したり(男性たちも、目の周りの青アザを隠す方法を知っていればいつか役立つことがあるかもしれない)など大抵の場合は有益なのだが、例えば、何やら新しい物を買ってきて、それが発覚しないよううまく隠すワザなんかはその反対だ。僕が新しいと思う洋服は、実は何 […]

  • 2018.6.20

Tim Ho Wan 〜ティム・ホー・ワン〜

  どの世代も、次世代の理解に苦しむようだ。僕が若かった頃は、上の世代はヘビーメタルロックを悪魔の音楽だと呼んだ。そして、汚い言葉づくめの暴力的な歌詞のギャングスタラップが登場すると、今度はそれが悪魔になった。ここまで堕ちてしまった今、これ以上の下はなさそうだから、僕は一体全体次の悪魔の音楽とはどんなもなのだろうかと首をかしげる。   こと消費に関して、僕は今の若い人たちの価値観がもうひとつわからない。例えばファッションだが、若者はオートクチュールを敬遠し、H&Mやフォーエバー21、Zaraのような低価格ブランドに流れている。そのせいでファッション界やリテール業界は […]

  • 2018.6.4

スクエア・バレルズ

  僕は野外バーベキューが大好きなのだが、どうも支度が大変過ぎるのが嫌だ。グリル、炭、着火剤、ペーパープレート、コップ、ナプキン、フォーク、ナイフ、スプーン、お箸、飲み物がぎっしり詰まって超重いクーラーボックスなど、どれも誰かが持って行かなければならない。肝心の食材も、マリネしたり、スライスしたり、ジッパーバッグに入れたりとあれこれ下ごしらえに手間がかかる。そして必ずと言っていいほど、やっと目的地にたどり着いてホッとしたのも束の間、たとえばトングとかヘラのような大事なものを忘れてきたことに気づく。下着を持たずに旅行に出たようなものだ。   ゆっくり居心地よく楽しみたいなら、 […]

  • 2018.6.1

チング

  なんか暗い話題だが、実は僕は死を恐れていない。おそらくその理由は、人は死後、家族や友だちなど生前に愛していた人たちやペットさえにも再会できるという教えを信じているからかもしれない(実際に動物も天国あるいは地獄に行くのかどうかは確かでないし、僕自身最終的にどこに収まるのかもわからないが)。それとも単に、いつだったかお葬式に参列した際に牧師さんから聞いた“お亡くなりになった方は、今は天国で飲めよ食えよの大宴会を楽しんでいらっしゃいますよ”みたいな話に、励まされているのかもしれない。僕のような食道楽にとって、そんなうれしい話はない。しかし、もしそれが本当なら、そして動物たちも天国に行け […]

  • 2018.5.1

ミアン(滋味小面)

    同じ人種でも、世界中のどこに住んでいるかで見た目が変わってくるのは奇妙なことだ。例えば、日本の日本人はハワイ育ちの日系三世と明らかに違う。その理由は服装かもしれないし、振る舞いであるかもしれないが、僕はだた顔を見ただけで、日本から来た日本人かロコ日本人かわかると宣言できる。その原因は、絶対に食習慣の違いにあると思う。アメリカ人はどこか威張った感じで歩くことにもその理由があるかもしれない。人間は皆まったく同じであって、しかも違うのだ。それはいいことだと思う。なぜなら、そういう順応性がライフスタイルや、特に食に多様性を生み出すことになった。   ハワイの移民た […]

  • 2018.4.18

カフェ・ワイオラ

  僕には大学時代の良い思い出がいくつかある。大した責任もなかったあの頃の人生は、今から思えば随分楽だった。勉強して、試験にパスすることにさせ集中していればよかった。そして、お金はなかったけれど、楽しいことはいっぱいあった。よく考えてみれば、限られていたのはお金だけでなく食べもののオプションもそうだったように思える。それは財布が乏しかったからだけでなく、キャンパスにあまりチョイスがなかったことにあった。学生寮に住んでいた友だちに、寮ではステーキナイトというのがあったということを聞いた。ただ、食べ放題だったけれど、彼女曰く、カフェテリアの外に“グレードD、但し食用可”のラベルが貼られた […]

  • 2018.4.6

ザ ビュッフェ アット ハイアット

    僕は太れば太るほど、実際の年より若く見えると褒められる。顔がぽっちゃりしたせいでシワが延びて目立たなくなったからだろう。確かに3時間くらい若く見えるのかもしれない。しかし、ぽっちゃりしたのは顔だけではない。下腹も出てきて、最近では人に会ったとき、まるで布袋様であるかのようにお腹をさすられてしまったりする。物を拾おうと前屈みになれば贅肉が垂れ下がるし、靴紐を結ぶときは息を止めなければならない。実に悲しい話だ。 超柔らかなプライムリブと山盛りのカニが待っているカービングステーション   そう嘆く太り過ぎの僕を喜ばせてくれたのは、2月にオープンした「ザ ビュッフ […]

  • 2018.4.6

チョイズ・キッチン

実は男性にも更年期がある、ということをいつかどこかで聞いたことがある。疲労や鬱を感じるそうだ。そう言えば最近、疲労はあるし、ときには鬱も感じる。ロマンスへの興味が低下するのも症状のひとつらしいが、これは更年期というよりは、僕のような既婚のアジア人の男たちにはつきものなのだと思っていた。韓ドラを見ていると、ロマンチックなアジア人は、どうも韓国人だけのように思えてくる。だが、これまた韓ドラのストーリーから判断すると、韓国では、記憶喪失症になり、それが原因で例えば歯のガンみたいな前代未聞の生命を脅かす訳のわからない病気になってしまう交通事故もとてつもない頻度で起こるようだから、韓国人男性が並外れてロ […]

  • 2018.3.22

マノア・チョコレート・テイスティングルーム

  僕には、いいビッグアイランドの思い出がある。20年ほど前、初めて妻を3日間コナに連れて行ってあげた。行く前から、もしかしたら彼女はあんまり喜ばないのではないかなという不安があったのだが、案の定、到着早々掘っ建て小屋擬きの建物の群れを目にして彼女は、一体空港はどこにあるのかと訊いた。ゲートはなくタラップを降りるのだと知ってショックを受けている彼女の顔を横目に、僕は自分のと彼女の超重い機内持ち込み荷物をえっさと担ぎながら、転び落ちないようにするのが精一杯だった。 スーツケースが出てくるまで結構長く待ち、レンタカーカウンターで、前の客の返却が遅れたからという理由でさらに待たされた。やっ […]

  • 2018.2.16

すし遊

  また1年がそっと過ぎ去って行った。ほのぼのとしたホリデー気分もすっかり薄れ、さあ今年もがんばって仕事をしようと前向きに意気込んではいるのだが、目前に迫るタックスシーズンが過去を忘れさせてくれない。昨年が結構繁盛した年だったとしても、そう喜んでいられるのはほんの束の間。多額の税金を払わなければならないという現実に直面し、世の中は一気に自粛ムードに。だからこの時期、多くのレストランでは閑古鳥が鳴く。   僕はと言うと、最近、ハワイ州税務署から昨年分の税金で未払い分が残っているという通知を受け取った。そんなはずはないと早速電話を掛けたら、長々と待たされる始末(ボイスメールシス […]

  • 2018.2.16

ダ・オノ・ハワイアン・フード

  ウクレレは、多彩な音色を持つ実に魅力的な楽器だ。巧い人の手にかかれば、バンジョーに聞こえたり、ギターのように響いたりする。一方、並みの人間が弾くと、ベートーベンの楽曲であろうと、メタリカのギンギンハードロックであろうと、どれもみなハワイアンサウンドに聞こえてしまうのは不思議だ。もともとはポルトガル移民が持ち込んだマチェーテと呼ばれる楽器だったのだが、そのゆったりと和やかな音色はいつの間にかハワイ独特のサウンドとして知られるようになった。だからどんなにがんばっても、そしてそれがたとえイベリア半島の民謡であっても、ウクレレでポルトガルなサウンドを出すのは無理だろう。 長年愛されていた […]

  • 2018.2.2

リモン・ロティサリー

  レストランにとってエンターテイメントは下手すると転落への道になる。片隅で静かに奏でるピアニストであれ、セレナーデを歌いながらテーブルを回るギタリストであれ、男性たちを歓喜させるベリーダンサーであれ、レストランオーナーたちは、それが店のムードやサービス、食事にどんな影響を与えるかよく考えなければならない。   僕はフードライターだから、当然レストラン自体に細かい注意を払う。だから僕にとってエンターテイメントは、注意力を散漫にし、正しい評価を困難にする原因となる場合がときにある。スポットライトがステージに当てられ、肝心の料理がよく見えない。仕方なくポータブルLEDライトを取 […]

  • 2018.2.2

アペティート・クラフトピザ&ワインバー

僕は占い師に見てもらうのが怖い。「未来が読めない」とか「今日から3日間、やりたいことを何でもしなさい」とか言われるのが恐ろしいからだ。それは、ぽっくり逝くかもしれないという意味だと僕は解する。あるいは、「今年はちょっと気を付けた方がいいですよ」なんて忠告されたら、悪いことが起こるかもしれないという不安が頭から離れず注意散漫になってしまい、嫌なことが本当に起こってしまうだろう。   幸いにも、そんな僕にもサイキックなところがややあって、危険は察知できるのだ。何年か前のことだが、そのパワーのおかげで難を逃れたときは、さすがに妻も良い意味でかなりショックを受けていた。だが危険以外のこととな […]

  • 2018.2.2

ファイブ・スパイス・キッチン

    こんなことを言ったら守銭奴みたいに思われるかもしれないのはわかっているが、言わずにいられない。マジカルなはずのクリスマスは、近年、極端にダウングレードされてしまった、と僕は思う。本物の木を買って来て、家の中に引きずり込み、綺麗なライトやキラキラのボールで飾りたて、根元にプレゼントが置けるスペースを作るという、そういう伝統的なやり方はやめて、子供が巨人に見えるようなちっぽけな既製のプラスチック製の、まさに名ばかりのツリーで間に合わせる家庭が増えている。ストッキングは、暖炉のそばに干してあった靴下にサンタクロースが煙突の上から投げ込んだ硬貨が入ったというのがそもそもだっ […]

  • 2018.1.4

キリン・レストラン

僕は自分のことを迷信深い人間でないと考える。なぜかというと、例えば毎年妻が交通安全のお守りを買ってくれるのだが、それにもかかわらず、人一倍事故に巻き込まれることが多い。お守りには、少なくとも僕を守ってくれるパワーはなさそうだ。そう言うと、もっとひどい事故になっていたかもしれないから効果があったのだ、と彼女は反論する。ということは、加害者もお守りを持っていたならば、事故は起きなかっただろうし、彼も賠償金を払わなければならないハメに陥らなかったはずだ。もしかしたら僕のお守りのおかげで最悪の事態を避けられたのかもしれない。それなら彼はお守り代の半分を払ってくれるべきではないか、なんて思ったりする。 […]

  • 2017.12.7

リサズ・ハウス

マーケティング・PR畑で働いて早20年を超える。そんな僕が、最近、立て続けにカルチャーショックを体験をしてしまった。まず、プロジェクトベースで契約している日本のクライアントの店のグランドオープニングイベントの企画をしていたときのことだ。企画にかかわったほぼすべてのロコたちが、僕が送った簡潔かつ極めて重要なEメールに1週間経っても返信してくれず、追いかけ回さなければならないハメになったのだ。“ハワイアンタイム”の本当の意味を身に染みて知らされた。 イライラしながら僕は、自分がいかに時間絶対厳守が当たり前の国の人たちと仕事をすることに慣れてしまい、ローカルの人たちと働くことがどういうものなのかとい […]

  • 2017.11.27

フィッシュ・フック・カフェ

    僕はペットが大好きだ。犬派?猫派?鳥派?そう訊かれても、答えに詰まる。どれもかわいくて大好きだからだ。僕の妻は猫よりも犬の方が好きだが、女性は概して猫派の方が多いようだ。ただわからないのは、世の女性たちが自分の好きなことをして、呼ばれてもなかなか来なくて、トイレを汚し、一晩中起きているような猫を愛せるくせに、男たちのこととなると全く我慢できないことだ。 妙なことから、僕たち夫婦は犬や猫よりも鳥派になってしまった。迷った赤ちゃんメジロを救い、育て、最期を看取った体験を通して、ちっぽけな鳥でさえそれなりに個性があることを知った。小鳥を飼っているのにチキンを食べることに罪 […]

  • 2017.11.21

パイ・ホノルル

    移民問題のことを思う度に、僕はいらだちを感じる。実際、民族は国境を越えて移動しているのだから、みんな国境のない世界に住めればどんなにいいだろう。ヨーロッパの民族はかつて一定の地域に住んでいたが、戦争で移動を余儀なくされあちこちに移り住んでいった。だから、今の移民の中にはどの人種の血を引いているのかわからない人たちもいるという。 僕は、中国に旅行するときにビザを取得するのをうっかり忘れてしまいそうになる。だから、どこかに住むのに査証申請が必要だなんて考えられない。ドラえもんやスーパーマンは、どうやって居住査証を取得したのだろう。彼らこそ本物のエイリアンではないか。なの […]

  • 2017.10.20

ラ・ヒキ・キッチン

    物に対する見方というものは、些細なことで突如一変してしまうことがある。たとえば髪の毛。スタイルやカラーひとつで、魅力的になったり、若く見えたり、モードになることもあるが、下手したら老け込んだり、まるで過去に取り残されてしまったかのようなルックスになることもある(僕の友だちは、今だに80年代に流行ったビッグヘアーで通しているが、僕にはそれを指摘する勇気はない)。 同様に、ビュッフェに対する観念もちょっとしたことで変わる。品数が少ない、料理がありふれている、高過ぎる、見た目が冴えない、味が物足りないとやはり流行らない。今の世の中、過剰消費が支配した時代は終わり、人々はも […]

  • 2017.10.17

スクラッチキッチン&ミータリー

    僕ら男たちは幸運だと思う。妊娠、出産、乳がん検診、生理など、女性であるがために経験しなければならないを考えるたびに、僕は彼女たちへの畏敬の念に打たれる。トイレに行く度に座らなければならないのも厄介な話だ。おまけに、妊娠中はお造り(特にカジキとマグロ)やタルタルステーキ、コーヒー、コーラ、生乳チーズ、ジャンクフード類はダメ。お酒も飲めないなんて最悪だ。僕には到底考えられない。 さて、外食の多い僕はときどき、自分が“妊娠している”あるいは“本気でヘルシーになろうと決心している”という状況を仮定し、もしそうならどこへ食事に行くだろうかと思いを巡らせることがある。 ダウンタ […]

  • 2017.10.5

焼肉コリア・ハウス

  今更ながら、レストランというものは実にありがたい存在だ。出かけて行くにしても、宅配にしても、食べたいと思うものをすぐにでも食べられるとは、なんて僕らは恵まれているのだろう。野生の動物たちは、過酷な生存競争を続けながら生きている。選り好みできるような、そんな生易しい状況ではない。そして、たとえばハワイのように人間が食物連鎖ピラミッドの頂点にいられる土地に住む僕らは、餌食を探し求めるライオンが突如現れ、死に物狂いで逃げなければならないという危機にさらされることもない。 僕らの食習慣にまつわる問題は、行列に並ばなければならないとか、人より先に予約を入れるとか、せいぜいそんなところだ。野 […]

  • 2017.10.5

K & D ベーグル

  ファーマーズマーケットというコンセプトは、1700年頃からあったらしい。最初は農家の生産者たちが集まって自分たちが作ったものを売っていたが、時代とともによそから仕入れたものも取り扱うようになっていった。そういう流れから、いまどきのファーマーズマーケットで、果物や野菜等の農産物だけでなく、出来合いの食べものやベイクドグッズが販売されているのも納得できる。ただ、ファーマーズマーケットに行って、つまらない小間物や大量生産のジャンクを売っている店を見つけると、本当にがっかりする。コストコで大量買いしたものを包装し直して、右から左に流しているだけのファーマーに至っては最悪だ。 世界中どこに […]

  • 2017.10.6

12th アベニューグリル

  僕の味覚が子どもの頃と比べて劇的に変わったように、食べ物の多様性も時代とともに著しく進化した。例えばニューアメリカン。移民たちが持ち込んださまざまな食文化を融合させた新しいスタイルのアメリカ料理だが、これは、スパゲッティーやハンバーガー、ホットドッグ止まりだったアメリカ料理の様相を変えた。僕が幼い頃好きだった料理は多くがヨーロッパにルーツを持つものだった。しかしニューアメリカンは、地中海、東南アジア、中東の影響を受けている。まず、芽キャベツ、ケール、ビーツ、キヌア、ゴートチーズ等、食材自体が違うし、味付けにはハリッサ、ターメリック、コリアンダー、柚子胡椒等が使われる。どれも子ども […]