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日本人はとかく間違うことを恐れて英語で話すのを躊躇う。恥をかくことへの強い嫌悪感が、一番の妨げになっているのかもしれない。中国人や韓国人はそんなことを気にしないように思える。僕がこれまで経験してきたところでは、彼らは間違うことなんか心配しないで喋るし、こちらも言わんとしていることが理解できなかったことはなかった。ちなみにアメリカ人は、英語が母国語であるにもかかわらず、びっくりするほど多くのスペルミスや言い間違いをする。そんな言語は他にないだろう。

先日、食通の友だちといっしょに島を一周ドライブした際に、オアフで酒造りに励む2人の日本人と1人のアメリカ人醸造者を訪ね、インタビューしてきた。日本出身の2人はどちらも英語が達者だった。

最初に立ち寄った醸造所で話を伺ったのは、2003年以来養蜂に携わってきた大阪出身の埋橋幸広さん。彼は10歳の頃に1年間住んでいたオーストラリアで英語を覚えた。しかし、実際に話せるようになったのは、2013年にハワイに移住しマノアハニーを買い取ってからのことだと言う。電話で話さなければならないという必要に迫られ、ここ7年ほどの間に英語力が上がっていったそうだ。

パンデミックの影響は彼の事業にも及んだ。蜂蜜は腐らないことから売り上げが下がった。戦略の立て直しを余儀なくされた彼は、より回転率の高い商品をプロデュースしようと考えた。その結果、レフア、キアヴェ、クリスマスベリー、マカダミアナッツ・ハニーなどビッグアイランドとオアフ島の9ヶ所で採れた蜂蜜でミード(蜂蜜酒)を造ることに。

そうして生まれたスパークリングミードは、リリコイ、パイナップル、フルーツパンチ、ジンジャーの各フレーバーが揃い、いずれも各スーパーマーケットで取り扱われている。好調な売り上げに対応し、目下、ワヒアワの加工場と醸造所の増築を進めている。また、コハナラムとコラボし、ラム樽(2樽)で仕込んだミードも約1千本分醸造中で、近く瓶詰めを開始する予定だ。

ワヒアワの直営店では、各種蜂蜜製品やミード(全フレーバー)に加え、全国ミードデイを記念して造ったスリー・ピング・ポーション、柚子ブラン、ローカルゴートチーズ、その他ミツバチ関連の商品を販売している。

 

次に訪れたのは、ハワイアン焼酎カンパニーを経営する平田憲さん。同じく大阪出身の彼の家族は、ワシントン州の家族と交換ホームステイをしていたそうだ。アメリカからの学生が彼の家に滞在し、その後彼自身も向こうの家で過ごした経験が英語を学ぶ助けとなった。しかし、オレゴン州のルイス&クラークカレッジに5年間通った後も、英語力はまだまだお粗末なものだったと言う。

焼酎造りを目指した彼は、2005年、修行のために鹿児島県へ。そしてその後、ハワイに移住した。当初はタロイモでと思っていたのだが、ハワイアンの人たちが神聖と考える食材を使用することが物議を醸すことになるのではないかと懸念し、スイートポテトに切り替えた。さまざまな種類(ハワイには少なくとも20種類ある)のスイートポテトを夏と冬に供給してくれる地元生産者との交渉を英語でしなければならないことが、英語力アップにつながった。

焼酎造りの工程は、まず蒸し米に麹菌を繁殖させて米麹を作ることから始まる。これに蒸したスイートポテトを加えて、焼酎造りの恩師から譲り受けた150年物の甕壺に仕込み発酵させる。このドロドロとした醪を蒸溜してはさらにイモを加えるというプロセスを2ヶ月間繰り返す。最終的には12,000~15,000ポンドのスイートポテトを使うそうだ。4~5ヶ月熟成させると出来上がる。年間生産量は約6,000本。

パイナップルフレーバーのものやミズナラあるいは桜の木で熟成させた数量限定販売のバンザイストロング、さらにはすし匠の中澤シェフ御用達のものも造っている。ハワイでの醸造歴9年目を迎えた今年の16バッチには、パンデミックに苦しむ地元生産者の人たちを助けるべく、ハワイ産スイートポテトを100%使用している。10月には次の17バッチを発売予定。注文は平田さんまでEメール(kaloimo@gmail.com)にて。商品はハレイワの蒸溜所で受け取る。

 

 

 

最後に立ち寄ったコオラウ・ディスティラリーは、オールドパリロードウイスキーで知られる蒸溜所。ここでは、共同経営者のひとり(もうひとりはエリック・ディルさん)であるイアン・ブルックスさんから話を聞いた。当然のことながら、アメリカ人の彼も、またウイスキーに違いを生み出すのは何かを教えてくれた新チーフディスティラーのオリヴィアさんもパーフェクトな英語を話した。オリヴィアさんによると、ハワイの水は完璧なアルカリ度だそうだ。

製造工程は次の通り。ほとんどがハワイ産のトウモロコシと二条大麦の麦芽に水を混ぜてドロドロ状態になるまで煮込む。それを冷却し、酵母菌を加えて発酵させる。出来上がったトウモロコシ汁をポットスチル(蒸留器)に移し、ヘッド(前溜)・ハート(中溜)・テール(後溜)の3つに分離する。

最初に出てくるヘッドはメタノールで、これはハンドサニタイザーになる。ハートはウイスキーとなる分で、内側を焦がしたアメリカオーク材の樽で熟成させる。樽から出して濾過し、アルコール度数を下げてから瓶詰めにする。テールはさらに蒸溜し、残ったエタノールを除去する。

現在醸造しているのはオールドパリロードウイスキーのみだが、マノアチョコレートのカカオニブをウイスキーに浸け込んだビーターズの製造を計画中だとブルックスさんは教えてくれた。なおマノアチョコレートは、オールドパリロードウイスキー入りチョコレートバーをすでに販売している。オールドパリロードウイスキーは、カイルアの蒸溜所、並びにマーケットやスペシャルティストアで売られている。また、9月末にはリリコイムーンシャイン(ノンエイジウイスキー)を発売予定とのこと。どうやらカイルアに足を運ぶ理由がさらに増えそうだ。

これら3つのお酒を試飲した後思ったのだが、恐れずに英語を話したければ、単に喋りながらお酒を飲めばいいのだと。平田さんはそれを“飲みニケーション”と命名した。いいところを突いていると思う。ただ、英語はスラスラ出てきてくれるかもしれないが、記憶力がぐんとスローダウンする可能性もあり。

 

Manoa Honey & Mead                     

マノアハニー&ミード

Phone:  (808) 927-0501

930 Palm Road

【営】火~金 9:30am – 4:00pm、土 10:00am – 3:30pm(日・月曜定休日)

 

Hawaiian SHOCHU Company 

ハワイアン焼酎カンパニー          

Email:  kaloimo@gmail.com

66-542 Haleiwa Road

【営】 ピックアップのみ。注文はEメールにて。

 

Ko’olau Distillery                             

コオラウ・ディスティラリー

Phone:  (808) 261-0685 (tours available)

905 Kapaa Quarry Place, Building 50 Unit 14

【営】月・水~土 10:00am – 5:00pm、日 12:00 – 5:00pm(火曜定休日)

 

ショーン・モリス

◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
ソーシャルメディアも発信中
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※このページは「ライトハウス・ハワイ 2021年9月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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