地球環境について考える日として4月22日がアースデーと提案されたのは1970年のことです。今ではその1日だけでなく、4月をアースマンスとして世界の至る所で数多くの環境保護活動が行われるようになりました。私たちも地球に「マラマ」な行動をしてみませんか? NPO団体サステナブル・コーストラインズ・ハワイに、私たちができることを伺いました。
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2011年に立ち上がったサステナブル・コーストラインズ・ハワイ(SCH)。そのきっかけは、サーファーであるカヒ・パカロさんが、ニュージーランドへ行ったとき、友人を通して現地の「サステナブル・コーストラインズ」の活動を知ったことにあります。ハワイに戻って改めてビーチを見つめてみると、さまざまな問題が見えてきたといいます。そして当初は8人で、楽しみながらハワイのビーチクリーンアップを始めたのです。
「アクションを起こせば、人はインスパイアされる」と後にカヒさんが語ったとおり、その草の根活動が少しずつ広まっていきました。これまで継続的にオアフ島の各所や、恒例のモロカイ島ビーチクリーンアップ、カウアイ島でのクリーンアップなども行ってきました。11年間でのボランティア参加人数は約4万人、ハワイ沿岸で取り除いたプラスチックの総重量は64万パウンド(約29万300キログラム)でした。
彼らは「クリーンアップは必然的な後始末」であるといいます。それと同時に大切なのは、その前段階の行動「プロアクティブ」です。そんなことから、SCHは創立当初から、気軽に参加できる地域のクリーンアップ体験を通して教育活動にも力を入れています。
3160 Waialae Ave. Ste. 120, Honolulu
info@sustainablecoastlineshawaii.org
hideki@sustainablecoastlineshawaii.org(日本語)
https://www.sustainablecoastlineshawaii.org/
大澤 サステナブル・コーストラインズ・ハワイはこれまで11年間活動し続けてこられましたが、そのミッションを教えてください。
ひできさん ベースにあるのは、まずはコミニティーと共に「思いやる心」を「思いやる行動」に移していくことです。
大澤 まさに「マラマ」ですね! そのためにどんなことをされているのですか?
ひできさん 重視しているのは学ぶことです。以前は「エデュケーション」と言っていたのですが、それを「リラーニングプログラム」に名称を変えました。というのも、新たに勉強するというより、遠のいていく当たり前のことを、改めて学習し、先祖代々受け継がれてきた「贈り物」をさらに良くして、未来へ手渡そうということなのです。
大澤 具体的にはどのような活動をしているのでしょうか?
ひできさん 例えば、冬のノースショアではトリプルクラウンという大きなサーフィン大会があります。その開催ビーチで、参加サーファーや大会関係者に、ランチ後の片付けについて改めて学んでもらっています。食べ残しは「生ごみ」という意識ではなく、「土から生まれた食材を土へ還す」ということを考えて行動してもらうのです。
また、地元の小学校から高校までの生徒たちへは、サステインイベントとして、ワイマナロに設置してある巨大コンポストのコンテナで、コンポストについて目の前で見て学んでもらったりします。これにより、「なぜ分別するのか?」を、子どもたちは理解してくれます。海や山へ出掛けて体験すると、五感が働いて、その上で学んだことは忘れないと思います。
大澤 行動することに加えて、学ぶことが大切ということですね。
ひできさん ビーチクリーンアップは、すでに海へ流れ出てしまったものを回収しなくてはならないので必要なことです。東海岸では漂流プラごみが分解されて流れ着いたマイクロプラスチックを拾いますが、マジックアイランドでは捨てられたゴミが原形状態であるので、細かく分解される前に回収することができます。さらにさかのぼればわかることですが、何よりも大切なのは捨てないこと。使い捨てを作らないこと。そういう社会環境にしないことです。
科学やテクノロジーが発展している今、それらをどのように活用するのかによって世界は大きく変わります。それらの使い道を決めるのは人間です。その判断を間違わないように、改めて学ぶことが必要だと思っています。
大澤 私たちができることとしてはどんなことがありますか?
ひできさん ぜひビーチクリーンアップに参加してみてください! 僕がこの活動を始めたのも、初めてハワイでビーチクリーンアップをしたときに大量のマイクロプラスチックを目にしたショックがきっかけでした。先日、日本から訪れた大学生がハワイ大学のプログラムの一環でワイマナロでビーチクリーンアップをしたのですが、おびただしい量のマイクロプラスチックを見て衝撃を受けていました。ビーチの状態は、目に見ることができる気候危機の症状の一部です。そこから自分なりに何かに気付き、一歩ずつ行動に移せる力になると信じています。
大澤 ビーチクリーンアップをするにあたって、注意することはありますか?
ひできさん ハワイのいろいろな地域で行っていますが、大切にしているのは地元コミニティーと、その場所とつながることです。ですから、最初にプロトコール(祝詞)を行います。ビジターとしてその地へ足を踏み入れること、そしてその土地や地元の人とつながるという意識を持つことが大事です。僕たちが目指しているのは、サステナブルな暮らしをしていた過去から学び、未来へとつなげていくことなので、全てに対して思いやる心(マラマ)を持っていたいですね。
大澤 SCHとして最終的に目指していること、ゴールを教えてください。
ひできさん いつもみんなで話しているのですが、最終的なゴールは僕たちSCHという存在が必要なくなること!なのです。こうした活動が不要になる未来になってほしいです。
4月23日(日)場所:ワイマナロビーチ
時間など詳細は、ウェブサイト、
インスタグラム(@sustainablecoastlineshawaii)
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ハワイ州観光局は、ハワイの自然や文化を守るために活動するコミュニティ団体の活動を応援しています。特設サイト「Mālama Hawaiʻi」では企業や団体がハワイを守るために取り組んでいることを紹介しているのでぜひご参照ください。
※このページは「ライトハウスハワイ 2023年4月号」掲載の情報に基づいて作成しています。最新の情報と異なる場合があります。