2017年9月にJAL成田直行便が7年ぶりに復活したハワイ島。
より気軽に観光でアクセスできるようになった「ビッグアイランド」ではハワイ唯一の世界遺産「キラウエア火山」が今もなお活動を続け、赤いマグマを絶えることなくたぎらせている。溶岩は海へと流れ落ち、その輝きに負けじと星空が瞬く。地球の鼓動を肌で感じることができる島・ハワイ島の魅力に迫った。
(Text: Yuko Ishikawa, Photos: Yuko Ishikawa, Nature School)
「ビッグアイランド」の愛称を持つハワイ島は、ハワイ諸島最南に位置し、これはすなわち、アメリカ最南をも意味する。その大きさは日本の四国の半分ほどで、他のハワイ諸島すべてがすっぽりと収まってしまうほど。その愛称の通り、スケールの大きな多彩な自然がこの島の最大の魅力だ。
中でも、30年にわたって噴火を続ける「キラウエア火山」は見逃せない観光スポットのひとつ。古代、この島で暮らすハワイアンたちは火山と共に生き、火山の女神ペレの意志によってここで「生かされている」と考えていた。2016年7月にはキラウエア火山のプウオオ火口からの溶岩流が島の東南にあるカラパナ地区の海に到達。2017年7月時点で、溶岩が海中へと流れ込む様子を見ることができる。
ハワイ島にはまた、キラウエア火山を抱く「マウナロア」と、世界各国の天文台が軒を連ねる「マウナケア」、2つの標高4,000mを超える山が存在する。年間の晴天日が300日以上とも言われるマウナケア山頂では空気中の湿度が低く大気も安定しているため、くっきりと明瞭な星を観察することができる。地上からは決して見ることができない世界が、そこには広がっている。
海の中にも「ハワイ島ならでは」は存在している。世界中に「マンタ」を見られる場所は数あれど、夜に海中でマンタに会える場所はこの島だけなのをご存じだろうか。島を知り尽くすガイドが案内する観光ツアーで「ハワイ島」を余すところなく体感していただきたい。
キラウエア火山の火口「プウオオ火口」から流れ出した溶岩が9㎞の距離を旅して海へと流れ出したのは、2016年7月のこと。以来、「オーシャン・エントリー」を展望できるエリアが開放され、世界中から溶岩流をひと目見ようと観光客たちが訪れている。
この「カラパナ溶岩展望エリア」まではハワイ島・コナ空港から車で約2時間。駐車場から展望エリアまでのハイクに同行するガイドは、毎日のようにここを訪れ、常に最新の溶岩流情報を持つ「溶岩ウォッチング」のスペシャリスト。その日の溶岩流のコンディション次第でベストな行き先を決定している。
この日は、海へと流れ落ちる溶岩流を見ることができる「カモクナ展望エリア」へ。見渡す限りの溶岩台地の中に拓かれた、まっすぐな砂利道をひたすら進む。不毛にも思える溶岩台地だが、驚いたことにかなりの数の家が建てられていた。この島、特にカラパナがあるハワイ島・プナ地区の住人たちは「溶岩=ハワイの火の女神ペレ」という想いのもとに暮らしており、この地に暮らすこと、生きることは「ペレのおぼしめし」。たとえ溶岩に家を流されるようなことがあったとしても、それは「ペレの訪問」と考える。だから、いよいよ溶岩が迫りくるときには、家を大掃除して清め、ペレを迎える準備をするのだという。
蒸気をあげながら海へと勢いよく流れ込む溶岩は、日が暮れるにつれてその輝きを増し、見る者たちを魅了していた。ドクドクと溶岩が流れる様子はまるで地球が脈を打っているかのようで、今まさに「地球が生まれる瞬間」を見ているような、荘厳な光景がそこには広がっていた。
数あるハワイ島観光ツアーの中でも、特に人気のあるツアーと言えば「マウナケア山頂日の出と星空ツアー」だろう。
深夜にホテルでピックアップしてもらった後、夜明け前にマウナケア中腹、標高2,800mの「オニヅカ・ビジターセンター」に到着。ここで休憩をしながら高度に体を慣らした後、その日の天候や雲の様子を見ながら場所を移動し、1時間ほど星空を鑑賞する。
星空ガイドが、空いっぱいに広がる星の中からピンポイントでレーザーポインターを当てる知識には脱帽。星空観測はやはり、星に詳しいガイドがいてくれれば何倍も楽しくなる。
11月頃からは、オリオン座・おおいぬ座・こいぬ座が作る「冬の大三角」や、ふたご座、おうし座などが見え始め、冬の星座の季節がやってくる。空に敷き詰められた星を見ていると、寒さなど忘れてしまうほどの感動を覚える。ハワイ島観光はやはり、この星空抜きでは語ることはできない。
星空を堪能した後はいよいよ山頂へと移動し、感動の日の出を待つばかり。山頂の標高は約4,200m。気温は氷点下になることも。貸してくれる防寒着を着込んでも、寒さが肌に突き刺さる。
まもなく星の色が薄くなり始め、東の空が刻々と色を変えてゆく。緑やターコイズ・ブルー。地上から見る日の出では見たこともないような色で空が染まってゆく。
一度顔を出すと太陽はあっという間に昇り、同時に、あんなに寒かった世界がどんどんと暖かくなっていく。日の出は、太陽の力を文字通り「肌で感じ」させてくれるものだった。
サンライズ・ツアーと共に観光客に人気の、サンセット・ツアー。
午後にホテルを出発し、オニヅカ・ビジターセンターにて夕食の弁当を食べながら休憩をし、高度に体を慣らす。ビジターセンター周辺ではハワイ島の固有植物で、ここにしか生育していない「マウナケアギンケンソウ」を見ることができる。
日没前。山頂へと移動し、遠くに見えるキラウエア火山の赤い光や、真向かいに鎮座するマウナロアを見ながら「その時」を待つ。太陽が沈み始め、その角度が変わると、目の前に広がる大きな影は、なんと「マウナケア」自身のもの。空中に大きな影が浮かび上がる、なんとも不思議な光景だ。
やがて太陽が西の空へと沈むと、ほどなく星の世界が広がり始める。気温はぐんぐんと下がり始め、星の姿が1秒ごとに明瞭になっていく。冷たい空気に神経が研ぎ澄まされるような、凛とした星空の夜が始まった。
もうひとつ、ハワイ島でしか体験できない観光アクティビティーとして忘れてはいけないのが夜の「マンタ・シュノーケリング」だ。
カイルア・コナ近海に棲息しているマンタたちは、日が沈み暗くなった頃、ライトで海を照らすとその明かりに誘われて集まるプランクトンたちを求めてやってくる。大きな口を開けて豪快にプランクトンを食すマンタの様子を、海に浮かびながら観察することができるのがハワイ島の「マンタ大学・夜学部」だ。
マンタに会えるスポットまでは快適なクルーズで約20分。海に入ってからも大きな浮き板につかまっているだけで良いので、 「安心してご参加いただけるツアーです」と「学長」のユリコさんは言う。
「海は学校。イルカやマンタは、私たちにたくさんの大事なことを教えてくれる先生」との考えをもとに、ハワイ島でのツアー名を「イルカ高等学校」「マンタ大学夜学部」と名付けた。オアフ島にも「私立イルカ中学・名門イルカ大学」の姉妹校がある。
「マンタは優しくて、本当に賢い生き物。私たちは、マンタのことを『ジェントル・ジャイアント』と呼んでいるんですよ。海の中では優しい自分に戻れて、自然と感謝できるようになるんです。大自然と一体となって人生観が変わるほどの貴重な体験ができますよ」とユリコさん。
大きなマンタたちがライトに照らされ、ダイナミックに水中を舞う様は迫力満点。まるで「竜宮城」に迷い込んだかのような、イリュージョンにも似た異世界が広がる。世界中のどこにも、これだけの高確率でここまで近くでマンタに会える場所はハワイ島以外に無いのだとか。まさに「一生に一度」の体験になるだろう。
(‘Eheu Autumn 2017年号掲載)
※このページは「‘Eheu Autumn 2017」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
ハワイ州最大の島であるハワイ島。島の中心的な都市であるヒロ(東岸)、ヒロに次ぐ第2の大都市で、観光スポットとして開発されて多くのリゾートホテルが集まるコナ(西岸)、キャプテン・クックことジェームズ・クックがハワイの原住民に殺害された場所であるキャプテン・クック(南西)、ハワイ王朝を統一したカメハメハ大王の出身地ハヴィ(北岸)など、個性豊かな都市がある。「広大なだけに意外に知られていない観光スポットが豊富です」と今回、旅のナビゲーターを務めてくれたカメラマンの石川裕子さん。ホノルルから飛行機で約40分。週末観光にもおすすめだ。
面積 :10,432.5km²(日本の四国の約半分。岐阜県とほぼ同じ)
人口:158,423人 ※2016年8月時点
島の花:オヒア・レフア
島のカラー:赤
コハラ(死火山)、マウナ・ケア(休火山)、フアラーライ(休火山)、マウナ・ロア(活火山)、キラウエア(活火山)の5つの火山帯で構成される
私はハワイ島・ホルアロアで生まれ、物心ついたころからずっとラウハラを編んでいます。昔はたくさんのプランテーションがあって、働く人のための帽子や、コーヒー豆を収穫する時に使うカゴなどを作っていました。ラウハラはハワイアンの生活の一部でした。ラウハラ製品は、今では少し値の張る贅沢品になってしまいましたが、昔は、屋根やマットなどにも使われ、暮らしの中で身近に存在している物でした。
ラウハラとは「ハラの木の葉」という意味。その名のとおり、木の葉を利用しているのですが、私たちはそれを使う際、自然の恵みに感謝します。
そして、木の葉で何でも作れることを学び、人間は自然と共生していることを知ります。伝統工芸であるラウハラが、自然の恵みの上に成り立っていることは、昔から変わりません。私はハワイ語で育ちました。「アロハ」という言葉一つで、自分の愛を示し、相手の愛を受け入れ、その場を愛で満たすことができます。それを私は自然からも感じます。どこの国の人であっても、私のもとへ「学びたい」とやってくるのなら、喜んで教えます。それがアロハですからね。
神秘的な、夜の海。空には月が輝き、星がその隙間を埋める。ナイトダイビング。たぶん多くの人にとって未知の世界だろう。世界有数のシュノーケリングスポットを持ち、野生のイルカとのスイミングで世界中の人を魅了するコナだが、夜の海でのダイビングは、それほど一般的ではない。
船上から見る夜の海は真っ暗で、恐怖心からか、初めてだと、海に入るのを躊躇してしまう。入ってみれば、海中は闇の世界。水中で使えるライトを渡されてはいるものの、その光が届く場所以外は何も見えず、ガイドがいなければ間違いなく方向を見失うだろう。
水中を5分ほど進むと、海底に明かりが灯されている。周りを漂う小さな魚たち。光に集まってくるプランクトンを食べに、小さな魚やマンタたちがやってくるのだ。その様子はまるで、夜の竜宮城。鮮やかな黄色のウツボが海底を這っているのが見える。
待つこと十数分。音もなく、大きな白い〝蝶〟が目の前を舞う。頭上すれすれに行き交うマンタたち。マンタとは、エイの一種。巨大で、体長4mを越すものもいるのだとか。野生のマンタを見る機会は貴重で、世界中のダイバーが熱帯の島々でマンタとの遭遇に挑むという。闇に浮かぶ白いマンタたちはただただ美しく、神秘的で、別世界の異次元空間に迷い込んでしまったような感覚に包まれる。恐怖心はいつの間にか消え、感動の中にいる自分に気付く。
ハワイ島・コナのドルフィンツアー「キワイルカ」の河野さんによると、コナは世界有数のマンタ観測スポット。さらに、夜の海で下からの角度でマンタを見ることができるのは、世界広しと言えども、ここハワイ島・コナだけなのだとか。マンタを上から眺めるシュノーケリングも観光客に人気だが、ダイビングライセンスを持っている方なら、ダイビングされることを強くおすすめする。
ハワイ島でしかできない、いや、コナでしかでないこの貴重な体験。ぜひ一度、どうぞ。
ハワイ島最大の町、ヒロから南に進み、ボルケーノへと向かう途中の町、ケアアウ。そこから島の南東が「プナ」と呼ばれる地区。そして、プナ地区でのメインの町が「パホア」。
「パホア」と聞くと、ハワイ島の人の中には眉をしかめる人もいる。そこがヒッピーの町だからだ。ハーレー・ダビッドソンに乗った、いかつい男たちが集まる、アウトローの町。ちょっと危険な町。いまだにそんなイメージで認識されているパホアだが、昔はさとうきび畑が広がり、多くの日本人移民が暮らす地区だった。現在は大手ドラッグストアもオープンし、多くの新築住宅が建ち、以前とはだいぶ印象の違う町になってきている。
そんなハワイ島・パホアと、さらに東側、プナ・コーストと呼ばれるエリアが昨今、観光でも注目を集めている。オーガニックやローフードなど、ロハスに代表されるような健康志向の文化がこれらの地区に集まっているからだ。
熱帯雨林と海、火山の溶岩台地に囲まれたこのエリアでは、ローフードの世界で「スーパーフード」と呼ばれる、バナナ、ココナッツ、パパイヤ、マンゴー、ノニなどの果実を簡単に収穫することができる。ローフーディストたちはプナを聖地と呼び、世界中から訪れ、ここに住み着くようになった。
また、プナでは、ソーラーで電気を作り、雨水を貯め、植物を育てながら自給自足の生活を送る人も多い。ハワイは「島」である以上、有事に輸送が止まれば何もかもが滞ってしまう。でも、最低限でも自らの手で生活をまかなうことができていれば、なにも恐れることはないというのが、ここに暮らす人々の発想だ。
一瞬でも電気が止まると大騒ぎ。そんな都会生活を送る我々には、見習うべき点も多くある。ナイト・マーケットなどのイベントが開催されることもあるので、観光のついでに立ち寄るのもいい。一見ワイルド、実は最先端な暮らしがここにあるようだ。
ハワイ島・ヒロの町から北に30分。緑多いハマクア地区に広がる草原の中に、ポツンと建つ2階建ての「家」。それが、「MAKOA(マコア)」だ。オーナーのケイさんが、ロサンゼルス在住時代の知人であるツアーガイドのカイさんと、マコアを始めたのは、2011年のこと。
都会生活が嫌になり、自然との調和した生活を送りながら、それを多くの人に味わってもらいたい、というケイさん、そして、多くの日本人が描いている〝楽園”というイメージではない、本当のハワイを伝えたいというカイさん。その2人の思いが同調し、形となったのが、マコアだった。「自然を感じ、自然に溶け込み、自然と一体となる」のが、マコアのテーマ。その名は、ハワイ固有の樹木であるコアに由来している。マコアが何よりも大切にしているのは、自然のサイクル。すべてが必然で、連鎖し合う自然のダイナミックさを伝えたいと言う。マコアには、馬2頭ロバ4頭、羊が3頭、犬が2匹、猫もいる。生ゴミや馬糞を肥料とし、農園でオーガニック野菜を栽培。水道も電気もなく、雨水による貯水と、ソーラー発電でまかなう。「私たちは、この土地に住まわせてもらっている。そんな、地球を愛おしむ気持ちから、自分でできる限りのエコは実践したいんです」とケイさん。
現代人の生活では忘れがちな自然との触れ合いを思い出す手伝いをしている。ハワイの文化や歴史、そして〝本当のハワイ”を伝えることが、自然との付き合い方を思い出すための補助になるのだと言う。「その中で、本当に大切なものは何かを理解し、今いる場所から、一歩踏み出す勇気を持っていただけたら、本望ですね」とカイさん。東北の被災地支援の活動も展開している。ツアーだけの申し込みでもOKだ。ハワイ島の大自然と共に暮らす体験。ここなら、明日からできる。
カラフルな色彩にあふれるフォトジェニックなハワイ島を旅するなら、カメラは必需品だ。
ハワイ島の大自然をよりリアルに、最大限に美しくカメラに収めるには、まずカメラの基礎を理解することが大切。そんな今さら聞けないカメラの基礎から、写真撮影の極意までをハワイ島で教えてくれるのが、日本の新聞社でカメラマンとして10年のキャリアを持つ石川裕子さん。石川さんが主宰する「三日月写真教室」は、基本を学ぶ1日コースと、一眼レフ所有者を対象にした5日間のワークショップがあり、初心者から上級者まで満足のいく内容となっている。今回の特集のナビゲーターも務めてくれた石川さんは、ハワイ島の魅力を誰より知るカメラマンのひとり。講義だけでなく、実践を兼ねて、星空や幻のムーンボウの撮影や、知られざる絶景スポットも案内してくれるので、普通の観光ツアーでは出会えない、ハワイ島の新たな魅力が発見できそう。
長方形のクッキーの斜め半分にチョコレートがディップされた独特の形。ビッグアイランド・キャンディーズのショートブレッド・クッキーはハワイ島・ヒロの「名物」となった。ここに唯一の工場を持ち、店舗も併設。マカダミアナッツをたっぷり使ったサクサクのクッキーは、「ヒロでしか買えない」逸品。
「1977年の創業以来、1つの工場という原則を守り続けています。ヒロの地元産の材料も多く使い、この30年以上、同じ製法を守り続けています。どんなに人手がかかっても、クオリティー管理は徹底します」とイカワ社長。製造工程は店舗から見学できるようになっている。
「我々のクオリティーは、真面目に、真心を込めて仕事をすること。従業員たちは、仕事に誇りを持って取り組んでくれています」とイカワ社長。ハワイ島・ヒロ本店の入口では、訪問客に「アロハ」の声と共に、チョコレートやクッキーが差し出される。これも、同社の〝真心〞の一環だ。現在、期間限定でアラモアナセンター1階にも店舗を開店している。これもお客様の要望に応えた結果。一人一人の真心が美味しさを生み出すのだろう。
ヒロから車で約30分、ボルケーノにほど近い山の中に自宅兼工房を持つTシャツアーティストのボブさん。100%フリーハンドで描かれる版画のようなデザインは、素朴さとハワイ島らしい力強さが感じられる。着るたびに手作りのよさが再確認できるTシャツは、いつまでも色あせないのも自慢だ。
25年にわたり、1枚づつていねいにプリントしてきたTシャツは、両面デザイン。スクリーン作り、プリントまでのすべての工程を自身の手で行うため、完成までに時間がかかる(E-mail: bobboflux@live.jp)
E-mail:bobboflux@live.jp
ハワイ島・コナのコハラ海岸に展開する総面積25万㎡、客室数1240のメガ・リゾートホテル「ヒルトン・ワイコロア・ビレッジ」。中心には1万6千㎡の広さを誇るラグーンがあり、スイミングやシュノーケルが楽しめる。ホテル内でイルカの飼育もしており、触れ合うアクティビティーも充実。今年9月には、イルカの赤ちゃんも誕生した。あまりの広さにホテル内の移動は、モノレールのようなトラムと、運河を行き交うマホガニー船で行う。まるでホテル内が一つの観光リゾート地のようだ。総額700万ドルを超える美術品が飾られ、9つのレストラン、ショッピングアーケードを備える。毎週火曜と金曜のルアウショー「レジェンド・オブ・ザ・パシフィック」も必見だ。
今年で42回目を迎えるハワイ島の「コナコーヒー・カルチュラル・フェスティバル」。毎年多くの人が世界中から訪れ、世界でいちばん大きなコーヒーの祭典として、そして全米でも唯一のコーヒーをテーマにしたフェスティバルとして、注目を集めている。
フェスティバル初日を飾るのは、ミス・コナコーヒー・コンテスト。午後6時半からシェラトンホテルにて開催される。この日にはまた、コーヒー農場の並ぶホルアロア・ビレッジでコーヒー&アート・ストロールが開催される。元々日系人の町だったホルアロアにはアートギャラリーもたくさんある。
4日に開催されるメインイベントはピッキングコンテスト。UCCハワイコナ農園に集合し、規定時間内にどれだけ珈琲豆を収穫できるのかを競うコンテスト。前日に決まったばかりのミス・コナコーヒーも参加する。ちなみに、こちらは飛び入りでも参加できるのでぜひ。
また、期間中にはカッピングと呼ばれる品評会も開かれ、今年のナンバー 1 ・ コナコーヒーが決定する。ほかにも、コナコーヒーを使ったレシピを競うコンテストや、オールドエアポートでのマーケットなど、見どころもたくさん。10日のコナ海岸の目抜き通り「アリイ・ドライブ」でのパレードも必見だ。
毎春、ハワイ島の東側・ヒロで開催される、世界最大のフラの祭典「メリー・モナーク」。そして、ちょうど半年後にハワイ島の反対側・ワイコロアで開催されるフラの祭典が「モク・オ・ケアヴェ・インターナショナル・フェスティバル」だ。今年で7年目を迎える。
「モク・オ・ケアヴェ」とは「ケアヴェ一族の島」という意味のハワイ語で、ハワイ島の別名でもある。メリーモナークは、ハワイのハラウに所属していることが出場の条件。一般の日本人ダンサーには出場が困難だ。それに比べれば、この大会は、日本とのつながりの深さでも知られる。2006年の第1回大会から、毎年夏に宮崎県で予選大会が開かれている。それを勝ち抜いたチームは、ワイコロアの本選で踊ることができる。
期間中は、毎晩、屋外の特設ステージで競技会が開催される。ワイコロアの夜の風に吹かれながら見るトップクラスのフラは、なかなかのもの。華やかな行事が少ないハワイ島を彩る貴重なイベントのひとつになっている。
競技会までの時間には、有名なクムフラたちから直接指導を受けることができるワークショップが開かれ、昨今では、日本のみならず台湾などのアジア圏からも多くのフラダンサーたちが訪れる。「メリー・モナーク」よりもリラックスした環境の中で、フラをより身近に感じることができる「モク・オ・ケアヴェ」。
今年で26年目を迎える「ボルケーノビレッジ・アートスタジオ・ツアー&セール」。毎年サンクス・ギビングの週末に合わせて開催され、里帰りしているロコや、ハワイ島を訪れている旅行者たちの楽しみのひとつになっている。
ボルケーノ火山国立公園のお膝元であるボルケーノ・ビレッジは、高原特有の霧がかったと独特の雰囲気を持ち、いかにもアーティスト好きする、何とも小洒落た瀟洒な町並みが特徴。
そんなボルケーノビレッジを拠点とするアーティストたちが一斉にスタジオやアトリエを開放し、作品を展示・即売するのがこの3日間。一般の人にとっては、アーティストたちの生活を垣間見ることができる機会になっている。また、お気に入りのアーティストの新作をチェックしたり、新しいアートとの出会いや、作品とアーティスト本人をリンクすることができるので、世界中からバイヤーたちがハワイ島へやってくる3日間でもある。
ちなみにこのボルケーノビレッジは、地元では、レベルの高いレストランが軒を並べることでも知られている。
さらに、ビレッジよりも少し南に位置する「ボルケーノ・ワイナリー」では、すべてのワインを試飲できるうえに、タイミングが合えば、期間限定&直売所限定の激レアワインに出会えることも。ヨーロッパの高級避暑地のような雰囲気の町を散策し、アートを堪能し、グルメや地元産のワインまで楽しめる場所は、ハワイ諸島の中でもボルケーノだけだろう。国立公園だけを見て素通りしてしまうのはもったいない。
(Lighthouse Hawaii 2012年10月16日号掲載 / 写真協力:石川裕子)