ハワイのグラミー賞と呼ばれる「ナー・ホク・ハノハノ・アワード2017」で、ノミネートされた9部門を総ナメという快挙を成し遂げたトリオバンド「ケアウホウ」。一方、最優秀オルタナティブアルバム賞を獲得した17歳の「クーカヒ」は、アワードの40年の歴史上、最年少受者。ハワイでは、新しい音楽星たちが輝き出しました。
ここ数年、ハワイ音楽界では若手ミュージシャンの登場が少なかったのですが、今年のナー・ホク・ハノハノ・アワードでは、新人たちが圧倒的な存在感を見せてくれました。今回は、話題の「ケアウホウ」と「クーカヒ」にインタビューした模様を含め、ハワイの音楽王子たちの横顔をご紹介したいと思います。
「ケアウホウ」というバンド名は「ケ」「アウ」「ホウ」という3つの単語からなり、意味は「現在」「時間」「新しくなった時代」。類い稀なハワイの音楽文化の温故知新、過去とのつながりや先人の英知を正確に音楽で語り継ぎ、再現をする歴史家的ワークも感じられるユニットです。
メンバーは、ジョナ・カハヌオラ・ソラトリオ(25歳)、そしてザッキー・アラカイ・ラム(25歳)とニコラス・ケリィ・ラム(23歳)の兄弟で、全員がカメハメハ・スクール・カパラマ校出身。在学時代、合唱部に属し、大学進学後も音楽、ハワイ文化、ハワイ語を学び続けたことは3人の共通項です。
ジョナは、カメハメハ・スクール入学後、コンサート・グリー・クラブに属し、音楽に対するパッションが加速したのだそう。ハワイ大学マノア校では、ハワイ語とハワイ文化学士過程を修了。その後、幼児教育の修士課程も修了しました。
ザッキーは、幼少からハワイアン音楽に傾倒し、将来は音楽家になることを心に決めていました。経験のために音楽イベントにも多数参加しました。ハワイ大学マノア校で音楽とハワイ語
の修士課程を修了。現在は、母校カメハメハ・スクールのコーラス部ディレクターとして海外遠征にも積極的に出掛けています。
ザッキーの弟ニコラスは、カメハメハ・スクール時代、マーチングバンドやコンサート・グリー・クラブ(無伴奏の合唱部)に属していました。ハワイ大学では声楽、ハワイ語学士過程、さらにハワイ語の修士過程も修了。また、クムフラ、ロバート・ウルベヒオナプアイカヴェキウオカラニ・カジメロのハーラウ、ナー・カマレイ・オ・リリレフアのメンバーでもあります。
ナー・ホク・ハノハノ・アワードで、ハワイ語の曲を正確に歌っているかを問われるハワイアンランゲージパフォーマンス賞や、ハワイ語の歌詞の正確さと優美さが問われるハクメレ賞などの審査員賞の受賞は、一朝一夕のキャリアではなし得ない快挙です。ハワイ語や音楽に対するパッション、知識、経験はまさにサラブレッド。
お気に入りのエンターテイナー賞の受賞は音楽家冥利につきる部門ですが、新人ながら、すでにコミュニティーの中で数多く活動してきた賜物です。
クムフラとして、また、音楽家としても有名な大御所ロバート・カジメロ氏は、「ケアウホウ」のデビューアルバムのライナーノーツに、以下のようなメッセージを寄稿しています。「つい、昨日のことのように思えますが、彼らに出会って20年以上になります。ずっと見守り続け、彼らの歌声に耳を傾けてきました。また、自分の人生をかけて音楽スピリッツを伝えてきました。この若い男性のトリオ、ケアウホウと美しいハワイアンソングの数々をぜひ、ご堪能ください。保証します」。9部門すべての受賞は納得の結果です。
ナー・ホク・ハノハノ・アワード史上最年少受賞アーティストとなった17歳の「クーカヒ」。ハワイ島ワイメアに住むクーカヒは、美しいワイメアの景色に囲まれた好環境の中、朝目覚めると瞑想から始め、楽曲制作、楽器演奏、4人の妹や弟に音楽を教えるなど、1日の大半を音楽と共に過ごすそうです。
将来の夢を尋ねると、「世界のスーパースター」。クーカヒ少年よ、大志を抱け♥です。また、「母親の家系を辿るとカメハメハ大王に行きつく」と言い、先日、映画「ジ・アイランズ」のオーディションを受けたとか。「カメハメハ大王によるハワイ王国統一などハワイの歴史の実話に基づくストーリーだったので、自分のルーツを辿るためにも参加したいプロジェクトです」と語ってくれました。
今夏、「アロハヨコハマ、アロハトウキョウ」のステージに立ち、ますます日本が好きになったとのこと。「ハワイを盛り上げるために、日本でアニソンシンガーにもなりたい。」がんばれ、クーカヒ!
◎ハワイ在住17年目。ラジオDJ、MC、ライター、イベントディレクター、ビジネスコンサルタントと多方面で活動中。ハワイについての講演会も行っている。イオラニ宮殿の日本語ドーセント。国立新潟大学理学部卒業
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(’Eheu Autumn 2017号掲載)
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