ハワイで雅楽を教えることになったいきさつを回想する

 

私は、1934年に愛知県江南市に生まれました。5歳の時、雅楽をたしなんでいた父から竜笛(りゅうてき)という横笛を「吹いてみさない」と言われたのです。吹いてみたら良い音が出て、嬉しくて雅楽を始めました。

雅楽は世界最古のオーケストラですが、日本人でも知らない人が多いですね。雅楽では、篳篥(ひちりき)、竜笛(りゅうてき)、笙(しょう)、琵琶、火焔(かえん)太鼓、鞨鼓(かっこ)、筝(そう)という楽器を使います。

日本語には雅楽にまつわる言葉がたくさんあります。雅楽では「えんばい」と言いますが、“塩梅”は、音色に味わいを増す塩味のようなものです。“打ち合わせ〟は、管楽器の練習をした後、打楽器を交えて稽古すること。〝野暮〟は、笙(しょう)の17本の管のうち「也」の音と「毛」の音が使われないことから、格好だけて中身がないことです。〝八多羅(やたら)〟というのは拍子のことで、拍子がめちゃくちゃなことを〝八多羅滅多羅(やたらめったら)〟と言います。

 

ハワイに移住

天理教専修科を卒業後、1959年、ハワイ立州の半年前に天理教布教のためにハワイに訪れることになりました。神戸からウィルソン号という船に乗り、横浜に一泊して10日間かけてホノルル港に着きました。

船の中は涼しかったので、降りたらやはり南国で暑いなと思いました。ロイヤルヤシの木を見て、初めはセメントで作ったものだと思ったのですが、上を見たら葉が付いていたので、本物のヤシの木だと思いました(笑)。

最初は裏オアフのカハルウに住みました。当時は一面タロイモ畑で、雨が多くてジメジメした所でした。近くには池があり、魚や食用蛙を獲って食べました。家の裏庭にはニワトリ小屋がありましたが、マングースが上手に卵を盗んで吸って、穴の開いた殻を近くの川に捨てているのにはびっくりしました。

ガリ版で歌の本を作り、信者や子どもたちに長唄や雅楽を教えていましたが、1966年にハワイ大学音楽部の夏期講習で雅楽を教えることになりました。日系人2人と白人1人の大学院生だけでしたが、雅楽は楽譜がないですし、日本語の分からない人に雅楽を教えるのは大変でした。楽器の入手も難しく、山に入って竹を切り、自分で楽器を作ったこともあります。 でも、私の情熱が伝わったのか、その年の秋学期から正式な科目として雅楽を教えることになりました。熱心な生徒たちが集まり、1962年に雅楽研究会を結成して、月見演奏会などの演奏会を度々しています。

初めは2学期だけのはずでしたが…今まで55年余り続けています。何事も楽しくなければ続きませんし、雅楽はグループで演奏するので皆の呼吸が合わないといけません。全員が家族や兄弟のようにならないといけないので、授業の前に皆で食事をすることから始めています。それが長続きに繋がったのかもしれません。何度も引退を考えましたが、続けてやってきて良かったと思います。

2011年ハワイ雅楽研究会の仲間と

 

 

Masatoshi Shamoto
1934年愛知県生まれ。天理高校・専修科卒業後1959年に天理教布教のためにハワイに移住。1962年より現在までハワイ大学マノア校音楽学部で雅楽教室を55年余り継続して教えている(アメリカに於ける同じ教室を同じ講師が教える最長記録)。ハワイの雅楽教育とドイツ・ケルン大学の雅楽アンサンブル設立に尽力したことが認められ平成21年(2009年)旭日双光章を受章。ハワイ雅楽研究会会長。日本雅楽会理事。

(2018年4月16日掲載)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2018年4月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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