ダニエル・K・イノウエ国際空港。ホノルル空港に上院議員の名が付けられたのは2017年4月。ヒッカム空軍基地と滑走路を共用しています。
アオレレ通りは、日本や隣島へ行くのに何気なく利用するホノルル空港にあります。ハワイアン航空が使用する第1ターミナルの山側、郵便局のビルの前からダイヤモンドヘッドの方向、ケイヒラグーンに向かって長く延びている通りです。
「アオ」はハワイ語で雲や陽の光、「レレ」は飛ぶことを意味しますので、「アオレレ」は貿易風に乗って流れてくる雲を表しています。ホノルル到着時に感じる、なんとも爽やかな気候を象徴するような名です。実は空港の周辺には、この他にも「アオ」の付く通りの名がいくつもあります。
ところで、ホノルルから、ハワイアンと同じポリネシア人のマオリの人々が住むニュージーランドのオークランドまでは直行便で約9時間ほど。ニュージーランドはマオリ語で「アオテアロア」といい、「白く長い雲がたなびく地」を意味します。
同じポリネシア語の中でも、マオリ語とハワイ語は太平洋を隔ててこんなに遠く離れているのに酷似しており、マオリ語のTの音をハワイ語のKの音に変えて発音すると同じ意味になることが多くあります。アオテアロアの「アオ」はマオリ語でも雲の意味。「テア」は、Tの音をKに変換してみると、雪が降るハワイ島マウナケア山の「ケア」、白を意味します。そして「ロア」はマウナロアの「ロア」、ハワイ語でも横に長く延びることをいいます。実に似ているでしょう! 太平洋に広がるポリネシア文化の類似性を表す一例です。
ポリネシア考古学では、ハワイにはまずマルケサスからの人々が到達し、その後、1000〜1300年頃にはタヒチとハワイとの間にカヌーによる双方向の交流があったと考えられています。一方、マオリは1000年以降にタヒチのあたりから西へ移動した人たちだと考えられていますので、大海で隔てられていながら、ハワイアンとマオリには、多くの文化的共通点や言語の類似性があります。ちなみに、ハワイ語で神様を「アクア」といいますが、マオリ語では「アトゥア」。「アロハ」という言葉と共にニュージーランド国歌にも歌われています。
話を戻しますが、ホノルル空港は、1927年にジョン・ロジャース空港として開港しています。第1次世界大戦の海軍士官の名だそうで、国際線や米本土への便が使用する第2ターミナル前の道の名はロジャース通りと名付けられています。
(2019年9月1日掲載)
◎ ビショップ博物館ドーセント
旅行会社勤務時代よりビショップ博物館でドーセントのボランティアを開始。2003年より同博物館の会員代表機関 Bishop Museum Association Council の唯一にして初の日本人メンバーに。ハワイの歴史、文化の研究に取り組む