ハワイでイルカと泳ぐツアーを主催している「名門イルカ大学/私立イルカ中学」。その学長を務める、ゆりこさんの姓は「イルカ」だ。「初めて野生のイルカとハワイで泳いだのは25年前、その時私は妊娠5カ月でした。あの日のことは、目に焼き付いて忘れません。彼らから、人として生きるためにとても大切なことを学ばせてもらいました。そして、一生をかけてイルカの魅力を伝えよう!と決意して、姓を正式にイルカと改名しました。イルカの家族に嫁入りしたつもりです」
イルカと出会った頃、ゆりこさんは、子どもの死、離婚、裁判訴訟と辛い経験に見舞われていた。でも、イルカたちと共に泳いだ瞬間、絶対に大丈夫という勇気が不思議と涌いてきたのだという。
「イルカと過ごして、自分自身の考え方、人間性が変わり、人生まで変わった奇跡を実際に体験した私は、この真実をたくさんの方と分かち合いたいと思い、2008年春、イルカの学校、『私立イルカ中学』を、1年後に『名門イルカ大学』を開校しました。野生のイルカたちが先生で、私たちが受講生、ハワイの大自然が我々の学びの場というコンセプトのツアーです」
イルカたちの生き方から学ぶ授業は、ワクワクドキドキ。イルカの群れの中に入れてもらうと、不思議なことが起こるのだそうだ。「彼らの無償の愛に触れて、ホッとする、とても心穏やかに、自然に優しくなれる。リラックスして、その瞬間に生きることの素晴らしさに気付くのです。そして、もっとスゴイのが、その思いが広がるのです」
その奇跡を体験した卒業生の感謝の気持ちに支えられ、新しいキャンパスもハワイ島に登場した。ライトアップされた幻想的な夜の海でマンタと出会う体験を提供している。
「謙虚になって、感謝の気持ちが心から涌き出す」「今ここに生きる幸せと喜びをみんなで分かち合えた」。 そんな卒業生の声が、ゆりこさんのイルカ学校の自慢だ。ある卒業生は、「いつまでもイルカたちがここで、私たちを迎えてくれますように、 またこの素晴らしい出会いが体験できますように、いつまでも海がきれいで、イルカたちがずっとここにいてくれますように」と願う。
「私自身、生徒さんの声に毎回気付かされます。もっと自然に優しい生き方をしなければ、お世話になっているイルカや大自然に恩返ししなければ。イルカの学校受講料は、私たちの母なる地球を守るため、人類の未来のために地球温暖化を防ぐ団体に寄付します。私たちを生かしてくれている母なる大地や海に感謝をして、環境を守りたい。その気持ちも共有したいと思っています」
持続可能な低炭素生活のビジョンを実現する夢の家「イルカハレ」も現在、建築中だそうだ。
(’Eheu Winter 2016年号掲載)