ルナリロ王のイラスト

ハワイの道から辿るヒストリー:ルナリロ・フリーウェイ

(Text: Masakazu Asanuma / Illust: Shin Takahashi)

「人民の王」と国民から尊ばれた若き王・ルナリロ

ルナリロ王の墓
キング通り沿いのカワイアハオ教会敷地内にひっそりと建つ、ルナリロ王の墓

H1フリーウェイは、ハワイ州で一番人口が多いオアフ島南部を東西に貫く高速道路ですが、ホノルル空港近くのミドル通りから東へ、ビショップ博物館、ホノルルのダウンタウン、ハワイ大学マノア校の近くを通り、カハラまでは、ハワイ王国6代目の王の名を冠してルナリロ・フリーウェイと名付けられています。
 
1873年1月のことでした。カメハメハ5世が後継者を指名せずに亡くなったため、ハワイ王国憲法の定めにより国王を選ぶ初の議会選挙が行われ、ウイリアム・チャールズ・ルナリロが、ハワイ王国6代目の王に選出されました。しかしながら、肺結核を患い若くして亡くなったため、在位期間は1年と1カ月弱の短いものになりました。
 
王家の子女のための学校で勉学に励み、英語を理解し、文学や詩、音楽にも造詣の深かったルナリロ王は、民主的な考えの持ち主として国民に敬愛されていましたが、在位していた頃は、ハワイが捕鯨基地として経済的に繁栄していた時代は終わりを告げ、王国が不景気に陥っていた時期でした。その対応策として、王は、米合衆国の高い関税を撤廃して砂糖の輸出に弾みをつけようと、両国間の互恵条約締結交渉を進めますが、その条件として米国の真珠湾使用を認めることに民衆や議会が反対、断念せざるを得ませんでした。また、民主的な考えの下、王は国民が選ぶべきと考え、生前に自身の後継者を指名せず、王に権力が集中している王国憲法を、より人民に近いものに改正しようとも試みましたが、生存中に制定するには至りませんでした。
 
さて、ルナリロ王にまつわる場所を探してみると、交通量の多いホノルルの中心地に、王の墓があります。ホノルルのダウンタウン、カメハメハ大王像とイオラニ宮殿の間を走る一方通行の幹線道路、キング通りをダイアモンドヘッド方向(東)に進むと、次の信号の先に大きな教会が見えてきます。王国時代の歴史に数多く登場するカワイアハオ教会です。石段を上がり珊瑚の石で造られた教会の内部に入ると、祭壇に向って両側の2階席の壁にハワイ王国歴代の王と女王の肖像画が飾られています。この教会の門を入ったすぐ右側の石造りのチャペルのような建物がルナリロの墓です。

ルナリロ王のイラスト
www.shintakahashi.com

マウナアラと呼ばれるハワイ王家の墓地は、ホノルルのダウンタウンの山側、在ホノルル日本国総領事館や曹洞宗の寺院等が並ぶヌウアヌ通りを真っ直ぐ上がっていった先にあります。しかし、人民の中にいたいとの遺志を残して39歳の若さで亡くなったルナリロは、ハワイ王国6代目の王としてマウナアラに一度は葬られたものの、その翌年に、父チャールズ・カナイナにより、多くの人々が行き交う町の中心地、イオラニ宮殿の筋向かいにあるカワイアハオ教会の敷地に改めて埋葬されました。
 
この教会は、王家の子女が通った学校にも近く、毎日曜日に生徒たちが祈りを捧げたところであり、かつルナリロが王としての就任式を行った思い出の場所でもあります。
 
ところでオアフ島には、ルナリロ王の偉業を遺す道の名がもう一つあります。ルナリロ・フリーウェイが終わるカハラからカラニアナオレ・ハイウェイを更に東に行ったところにハワイカイと呼ばれる地域があり、ハナウマ湾に向けて登る手前のショッピングセンターの角から、ルナリロ・ホーム・ロードという道が山に向かって真っ直ぐに延びています。
 
国民生活の安定に心を砕いた王の遺言で、貧しい老人のための施設が作られ、ルナリロ・ホームという名が付けられました。この施設は、今でもクプナ(ハワイ語でお年寄り)の生活の場になっており、そのホームからこの道の名がつけられました。ルナリロ・ホームは1881年に建設が始まったのですが、当初は、ホノルルのダウンタウンにほど近い、パンチポールの丘近くに建設され、その後1927年に現在のハワイカイの場所に移転しています。交通手段が今ほど発達していなかったハワイ王国時代のハワイカイ地区は、ハワイアンの人々だけが住む遠隔の地であったのでしょう。19世紀後半のハワイで、お年寄りのための施設を作ろうとしたところにも、ルナリロが人民の王と呼ばれた所以がわかります。
 
(‘Eheu Autumn 2017号掲載)
 
このページは「‘Eheu Autumn 2017」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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