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ハワイの道から辿るヒストリー:カラカウア・アベニュー

砂糖産業がハワイ王国の存続を左右したカラカウアの時代

カラカウア王の銅像
ワイキキへの入り口に建つカラカウア王の銅像。観光客を迎え入れる

王様は無類の音楽家。自ら作詞作曲し、多くの名曲を残した人の名は「カラカウア」。第7代のハワイ国王でした。ワイキキのメインストリートに、その名が残されています。
 
カラカウア通りを西から東へ辿ってみると、H-1フリーウェー、プナホウ出口近くのベレタニア大通りとの角を起点にして、ワイキキを囲むアラワイ運河に隣接したハワイコンベンションセンターの角で、お后の名であるカピオラニ大通りと交差します。
 
ワイキキに入り、義理の甥、クヒオ王子の名を冠したクヒオ通りとの分岐点には小さな公園があり、そこにカラカウア王の銅像が建てられています。
 
在位は、1874年から1891年まで。既に西欧化の流れのなかにあったからでしょうか、銅像に見る王の服装は蝶ネクタイに背広姿。さらに東へ向かい、1901年に建てられたモアナホテルを通り過ぎると右側に砂浜と青い海、クヒオビーチが開けてきます。そして、動物園の前、カパフル通りの角でビル群から抜け出して、カピオラニ王妃の名を付けた広大な緑の公園をさらに直進。ダイアモンドヘッドのふもと近くで終わります。
 
カラカウア王の時代、王国の経済は砂糖産業が支えていました。砂糖の輸出をさらに促進するため、アメリカ合衆国との互恵条約締結を公約に掲げていたカラカウアは、就任後自ら首都ワシントンに赴き、条約締結にこぎつけます。結果、精製前の砂糖を無税で米国に販売できるようになり、王国の経済は成長の一途を辿ります。
 
しかし、西欧人来島以来、病気で人口が減り続けるネイティブハワイアンだけでは農園での労働力が不足し、外国からの移民を受け入れなければ砂糖生産が成り立たない時期に差し掛かっていました。
 
カラカウアは、イオラニ宮殿を今の石造りに建て替えている最中の1881年(明治14年)、私的な旅ながら、移民の調査を目的に世界一周の旅に出ます。
 
サンフランシスコを経由し、最初に到着した東洋の地が横浜でした。現職外国元首の初来日として、21発の礼砲と軍楽隊によるハワイ王国国歌演奏で迎えられた王は、明治天皇に謁見し、日本からハワイへの移民を提案。1885年に始まる官約移民のきっかけを作りました。
 
日本への好意を抱いてアジアから欧州へ旅を続けたカラカウアは、旅の後半、ニューヨークで発明家エジソンに会い、王国の国民に向けたハワイ語での演説を録音しています。
 

カラカウア王のイラスト
www.shintakahashi.com

新しい物好きの王様だったのかもしれません。円筒形の録音盤は今もホノルルのビショップ博物館に保管されています。
1887年のこと。カピオラニ王妃が、義理の妹リリウオカラニ王女と共に、ビクトリア女王のゴールデンジュビリーを祝うために英国を訪問中、自国では風雲急を告げる出来事が起こっていました。カラカウアは、国王の権力を制限する新憲法に署名を強いられます。知らせを受けた王妃は急遽帰国の途に。
 
さらに、米国からは互恵条約の改定を迫られ、王国は条約継続のために、今まで拒み続けていた米海軍の真珠湾使用権を認めざるを得なくなります。米国への砂糖輸出が増えれば増えるほど、王国の経済は発展した時代でしたが、砂糖業界を中心とした経済界は、ハワイの米国への併合を求める力を徐々に強めていきました。
 
在位の後半、砂糖産業中心の経済界の力に翻弄され、王権の維持に苦慮したカラカウアでしたが、一方では、美しい曲を多く残した音楽家として、またフラを復興した王としても知られています。毎年4月にハワイ島ヒロで開催されるフラの大会メリーモナークフェスティバルの「メリーモナーク」とは、親しみを込めた王の呼び名でもあります。横浜入港時にも演奏されたハワイ王国国歌「ハワイポノイ」はカラカウア王自身が作詞したもので、王国が終わりを告げ米国の準州になってからも、そして50番目の州になった今もハワイ州歌として、高らかに歌われています。
 
(Text: Masakazu Asanuma / Illust: Shin Takahashi) 
(‘Eheu Winter 2016号掲載)

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