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ハワイ王朝の歴史とともに…ロイヤルハワイアンバンド

太平洋に浮かぶ楽園「ハワイ」が、かつて、王国だったことをご存知ですか?時代はすっかり移り変わってしまいましたが、ホノルル市ダウンタウンに今も荘厳な佇まいを残すイオラニ宮殿を建てたカラカウア王と最後の君主となったリリウオカラニ女王の音楽作品は、現在もフォーエバーソングとして愛され続けています。

ロイヤルハワイアンバンド

The Royal Hawaiian Band in Concert
The Royal Hawaiian Band in Concert
前バンドマスターの日系人マイケル・ナカソネ氏のもと収録された記念アルバム。カラカウア王、リリウオカラニ女王の作品に現代音楽家たちがアレンジを加えたライブ演奏盤。イオラニ宮殿のギフトショップにて発売中。

ハワイが王国だった時代、カメハメハ3世が編成した楽団ロイヤルハワイアンバンドは、来年、創立180周年を迎えます。イオラニ宮殿を建てたカラカウア王の時代には、正餐の間での晩餐会や王座の間での舞踏会で演奏する花形的な役割を担っていました。

現在では、アメリカで最も歴史のある楽団で、ホノルル市の職員待遇である楽団員たちは、米国唯一の公務員演奏家です。イオラニ宮殿(金曜日正午〜午後1時)やカピオラニ公園(日曜日午後2時〜午後3時)をはじめ、フェスティバル、ショッピングモール、学校、式典など、年間300以上のステージをこなしています。現在の指揮者は第22代目のクラーク・ブライト氏です。

そして、このロイヤルハワイアンバンドのセットリストの定番曲はハワイ州歌「ハワイポノイ」とハワイ王朝最後の君主リリウオカラニ女王作品「アロハ・オエ」。「ハワイ・ポノイ」はプロシア(旧ドイツ連邦の王国)からハワイ移住した第6代指揮者のヘンリー・バーガーが作曲した「カメハメハ1世讃歌」にカラカウア王が歌詞をつけ、1874年ハワイ国歌に制定された曲。結果的に、ハワイ王国は転覆や王位廃位など数奇な運命をたどることになりましたが、この2曲は、現代にも受け継がれ、不朽の名作となっています。特に「アロハ・オエ」はハワイのシンボル曲として、世界の人々に知られている一曲ですハワイご滞在中に、イオラニ宮殿のガーデンで行われるロイヤルハワイアンバンドの演奏会をロイヤルファミリー気分でご堪能してみてくださいね。

さて、カラカウア家王族の4人の兄弟姉妹デビッド・カラカウア、リディア・カマカエハ・パキ(リリウオカラニ)、ミリアム・リケリケ、ウィリアム・ピット・レレイオホクは、ナー・ラニ・エハ(4人の天上人)と表されます。1820年代に宣教師が持ち込んだ賛美歌に影響を受けたことにより、メロディーのついたハワイ語の楽曲という新音楽ジャンルを生み出しました。つまり、それまでは単調なリズムの繰り返しがベースの打楽器に合わせる詠唱スタイルから、ピアノ、ギター、オートハープ、ウクレレなど弦楽器や鍵盤楽器を使い、音階のある音楽を作曲するというハワイ音楽のパイオニア的存在となったわけです。

カラカウア王が、イオラニ宮殿の2階にあえて音楽室を作り、日常的に音楽会を開いていたこともハワイ音楽の革新につながったと思います。そして、その新たな音楽ジャンルの楽曲を作り出す面白さに完全にはまったのがリリウオカラニ女王自身だったのかもしれません。 「アロハ・オエ」をはじめ、彼女が遺した160曲以上の楽曲は、ハワイ王朝の歴史の片鱗を推測することができる大事な宝です。

アメリカ合衆国唯一の宮殿であるイオラニ宮殿には皆さんの大好きなハワイをもっと理解することができるお宝がたくさん埋まっています。
 
NA LANI ‘EHA

NA LANI ‘EHA/ Ku’uipo Kumukahi and The Hawaiian Music Hall of Fame Serenaders

1994 年設立「The Hawaiian music hall of fame 」からリリース。ハワイ王朝カラカウア家の「ナー・ラニ・エハ」の4名の作品をロイヤルボイスのクムメレ、クウィポ・クムカヒが熱唱。同団体は、トラディショナルハワイアン音楽の継承、展示、紹介を基本目的に活動。ワイキキのエンバシースイーツホテルの1階に展示されているハワイアン音楽の軌跡をハワイ滞在中にご覧いただきたし。

 
A Tribute to NA LANI ‘EHA

A Tribute to NA LANI ‘EHA/Various

ハワイ王朝カラカウア家の「ナー・ラニ・エハ」の4名の作品を、ハワイを代表するアーティストたちが歌うコンピレーション盤。リリウエ(カヴァイカプオカラニ・ヒューエット)、クィーンズ・プレイヤー(デル・ビーズリー)、アイナハウ(マヌ・ボイド)、ク・プア・イ・パオアカラニ(テレサ・ブライト)、カ・オイヴィ・ナニ(ルイス・ムーン・カウカヒ)ほか全12曲が収録される。

 

徳重玲子(STUDIO RIM HAWAII代表)

徳重玲子ハワイ在住15年。ラジオDJ、MC、ライター、イベントディレクター、コンサルタントと多方面で活動中。最近では、ハワイについての講演会も行っている。イオラニ宮殿のドーセントでもある。国立新潟大学理学部卒業。
www.studiorimhawaii.com
http://facebook.com/reiko.rogers
twitter@PELEREIKO

(’Eheu Summer 2015号掲載)

※このページは「’Eheu Summer 2015」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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