17歳のライアテア・ヘルムが、ハワイ音楽界に新星のごとく登場したのは2001年。
歌が上手く、フラが大好きなモロカイの高校生だった彼女。今号の表紙を飾ったライアテアについて、私の回顧録を交えながら、音楽コレクションをご紹介します。
本名は、ライアテア・モキハナ・マイレ・ヘルム。ヘルム・ファミリーは音楽家の家系としても有名で、叔父さんは若くして亡くなられたハワイ文化復興の市民運動にも参加していたハワイアン・ファルセット・アーティストのジョージ・ヘルムです。そんな恵まれた家庭環境と、フラやさまざまな音楽の発祥地とも呼ばれるモロカイ島に育まれたライアテア。まさに可憐なつぼみが、今や、大輪の花を咲かせ、ハワイを代表するアーティストのひとりに成長しました。そんなライアテアの軌跡を振り返ります。
10年前のナホク・ハノハノアワードでは、デビュー・アルバム「ファー・アウェィ・ヘブン」(02年リリース)が最優秀新人賞だけでなく、数々のベテラン女性シンガーをおさえて、最優秀女性歌唱賞を獲得。会場にいた私も大興奮しましたが、受賞後、ハワイの有名アーティストたちは、キュートで才能に溢れた「ライアテア」とのコラボを熱望しました。ライアテア旋風の勢いは止まらず、04年にリリースしたセカンド・アルバム「スウィート&ラブリー」は、翌年のナホク・ハノハノアワードで、最優秀女性歌唱賞を含め、4部門制覇。当時のインタビューで一般投票で選ばれる「最も好きなエンターテイナー賞」受賞がとても嬉しいと目をキラキラ輝かせていたのを覚えています。
このアルバムは、レオ・キエキエシンガー(ハワイアン・ファルセット)の第一人者であったアンティ・ジェノア・キアヴェや人気クムフラ&アーティストのケアリィ・レイシェルとのデュエットでも話題になりましたが、今でも不朽の名作です。また、グラミー賞のハワイアン音楽部門でもノミネートされた彼女の歌声は、太平洋を越えてメインランドでも多くのファンを獲得しました。
モロカイハイスクール卒業後、歌とフラが大好きだったライアテアのデビューアルバム。アルバムジャケットには、ロングヘアーに花をかざし、ココナッツカップというフラガールスタイルで登場。その姿は、当時の等身大の元気なロコガールそのもの。シンガー・ソングライターとしても有名なケネス・マクアカネがプロデュースを務めた作品。ナホク賞では2部門受。
当時のラジオインタビューでは、「ピンクが大好き!」と言っていただけに、アルバムジャケットもピンクでまとめたスイートな作品。しかし、その快進撃はスイートと言うより、ストロング!05年のナホク賞では、最優秀女性歌唱賞、最優秀人気エンターテイナー賞など4部門を獲得。自らセルフプロデュースした作品。
07年には、フリートウッドマッが結成したアイアランドロックバンドのリードボーカリストとしてユニットに参加。ダイヤモンドヘッドのクレーターの中で行われた伝説のコンサートでウクレレを抱えてロックを歌うなど、またもや、ド肝を抜かされました。「ライアテア方向転換か?」と危惧したファンも多かったと思いますが、翌月、3枚目のアルバム「ハワイアン・ブロッサム」をリリース。ロバート・カジメロ、レッドワード・カアパナ、マカハサンズのルイス・ムーン・カウカヒ、ホク・ズッターマイスター、アーロン・サラなど大御所アーティストとのコラボを行い、円熟度も高いです。
様々な分野のステージを経験しつつ、内容の濃いハワイアン・アルバムを制作。現在、ハワイで最も人気のあるプロデューサー&エンジニアのデイブ・ツシアロン(今年のナホク賞でも数々受賞)が手がけた作品。日本でもリリースされた。
ここ数年は、ハワイ出身のオバマ大統領の就任を祝うパーティーをはじめ、メインランド各地、日本、中国などで演奏を行うなど活動の拠点を広げつつ、定期的に作品を発表しています。8月8日に29歳の誕生日を迎え、ますます素敵なアーティストになった彼女ですが、会えば、昔と変わらない気さくなローカルガール。「らいちゃん」節が本当の人気の所以かもしれません。
ミッドセンチュリー時代に流行った曲をライアテアの作風で見事に21世紀に蘇らせた作品。アルバムジャケットは、ハワイの人気イラストレーター、カット・リーダーを起用。10周年の記念コンサートも行い、益々、新しいことに挑戦し続ける歌姫である。
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ハワイ在住13年。ラジオDJ、MC、ライター、イベントディレクター、コンサルタントと多方面で活動中。最近では、ハワイについての講演会も行っている。豊富なネット・ワークを持っているのも特徴。国立新潟大学理学部卒業。
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(’Eheu Summer 2013号掲載)
※このページは「’Eheu Summer 2013」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。