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ハワイアン・レイのすべて(歴史・目的や意味・エチケット)

生花
Photo by Allison Lee

(Text: Maiko Izon / Photo courtesy of the City and County of Honolulu, Department of Parks and Recreation.)

ハワイアン・レイのはじまりと歴史

(Photo by Dave Miyamoto of Dave Miyamoto & Co.)

レイ作りの様子「ALOHA!」満面の笑みと共に首元にかけられるレイ。ハワイを訪れたことがあれば、ホテル到着時などにこのハワイならではの「歓迎」を一度ならずとも経験したことがあるはず。レイが、旅行者を歓迎するためだけではなく、「祝福」や「感謝」など、贈る相手への思いを込めた愛情表現として、ハワイに暮らす人々の日常に深く根付いていることはご存じだろうか?
 
ハワイのレイの習慣は、ハワイに移り住んできたポリネシア人と共に渡ってきたと伝えられ、その起源は、歴史をさかのぼること紀元前。魔除けや幸運祈願、 神々への信仰、また権力の証として古代人によって身に付けられた。植物など生物を使用したレイが歴史上の記録に残っているのは、紀元前750年のギリシャのオリーブと月桂樹の葉を使って作られた冠で、実際にはさらに古くからレイを身に付けることが生活の一部になっていたであろうといわれている。世界中の文明が発達した都市にはレイがある。ハワイに渡ったポリネシア人たちは、もともとアジア圏から巡り巡ってハワイにたどり着いたといわれていたことから、レイは長い歴史を経て多くの人々の文明を伝い、ポリネシア人と共にハワイに根付いたのである。 
 
古くは、ハワイでは森羅万象に神が宿るとされ、レイは、さまざまな植物や動物に宿る神々を崇める手段のひとつとして、また、フラで祈りを捧げる際にも用いられた。現在もなお伝統的な文化イベントが行われる際には、欠かせない文化象徴の存在となっている。だが、そういった伝統的な場面だけでなく、ただ単純に誰かを思い、時間をかけて素材を集めてレイを作る。または時間をかけて選ぶ。こうした贈り手の思いが込められたレイは特別な機会がなくとも、アロハの気持ちとして贈られるのがハワイのレイでもある。

ハワイの伝統文化であるフラ
ハワイの伝統文化であるフラもレイと密接に関係する。本来レイは魔除けや幸運祈願など神聖なものとされ、特に古典フラを踊る場合はハワイ固有種の植物で作られたレイをつけたり、踊りを捧げる神々によりさまざまな素材が使われる

売り子
1900年代初頭、ホノルル港の象徴であるアロハタワーに船が寄港する日は、旅行者やハワイに戻ってきた地元民を迎えるため、また見送るために人が集まる。桟橋には、売り子が両手いっぱいにレイを掛け並んでいた

ハワイのレイデーセレブレーション

(Photo by Allison Lee, Minako Ishii Kent of Beyond Borders Images, Dave Miyamoto of Dave Miyamoto & Co.)
 
世界的に5月1日はメーデー(労働祭)として知られるが、ハワイでの5月1日はレイデーとしてレイ文化を祝う日。毎年カピオラニ公園にて「レイデーセレブレーション」のイベントが行われている。

任命式
厳しい審査によって選ばれるレイ・クイーン&プリンセスの任命式

今年で90周年を迎えるイベントの第1回が開催されたのは1927年。地元紙に勤めていたライター、ドン・ブランディングが、ハワイのレイを贈り合う文化に魅せられ、何か形あるものにできないか、同僚たちに相談したことがきっかけだった。語呂合わせの良さから「May Day is Lei Day(メーデーはレイデー)」というフレーズが生まれ、晴れて5月1日がレイデーとされたのである。
 
年を追うごとにイベントの認知度は高まり、現在では世界中から200以上のレイエントリーがあり、何千人もの人々が会場を訪れる。カテゴリー別にできあがりを競い合うレイコンテストの他、ワークショップ、またライブ演奏なども加わり、盛大にレイを祝うイベントはハワイならではの風物詩としても有名で、毎年多くの地元の人々でにぎわっている。

レイデーの様子
ハワイに関するさまざまな知識が要求される

ヴィリ受賞作
ラウハラなどを土台に花材を巻きつけるヴィリの受賞作

レイの種類

レイとカゴ
Photo by Minako Ishii Kent of Beyond Borders Images.

オーキッドやククイナッツのレイ、または白い小さな貝殻をつなぎ合わせたシェルレイは旅行者にもなじみ深い。伝統的な機会だけでなく、日常的にレイを贈り合う現代では、さまざまな素材を使ったレイが作られる。
 
伝統的なレイとしては、鳥の羽を使用したフェザーレイ。また花嫁の頭上に載せる王冠のようなハクレイがある。現代では、相手の好みに合わせてキャンディーやお酒のミニボトル、ゴルフボールをつないだユニークなレイや、紙、布製リボン、毛糸、セロハンなどを素材に、作ることや贈ることを楽しみながら作られるレイなど、バラエティーに富んだスタイルのレイが定着している。

使う草花や贈る目的・意味

(Photo by Dave Miyamoto of Dave Miyamoto & Co.)

花

レイに使う草花は、どのようにして選ばれるのだろうか?
 
基本的に、レイ作りに使われる草・花の使用に決まりはなく、アレルギーなどを考慮する以外では使用不可の例もないと言われている。だが、ハワイの歴史的背景などをたどるといくつか特定の草や花が特定の場面で使用されている例もある。例えば、古代ハワイアンの時代、首長などが好んで身に付けたとされるマイレは、独特の良い香りがするのが特徴的なつる性の低木。フラの女神、ラカに捧げられる神聖な植物とされ、祭壇に供えられる他、一般的には結婚式や卒業式、授賞式などで贈られることが多い。また、芳しい香りで知られるピカケはジャスミンの一種で、花のつぼみを使ったレイは結婚式で新婦が付けるレイとして人気が高い。
 
世界中からどんな草花でも手に入るようになった現代で、最も重要視されるのは、相手の好きな草花や色合いなどを考えながらレイを選ぶという「贈る相手を思う気持ち」であるということ。ハワイの人々にとって、思いを込めて贈ることこそが、レイを贈る美徳とされている。

作成する様子使われる花

レイのエチケット

レイガールハワイならではの歓迎を受けて贈られたレイだが、相手に失礼のないエチケットを覚えておきたい。まず、相手の前で外すのはNG。また誰かにあげてしまうのもNGだ。貰ったレイは、ハワイ現地の人は翌日にお墓参りをして供えたり、海に流したり、または記念に取っておくことも日常的。素敵なハワイの旅の思い出にドライフラワーにするのがおすすめだ。
 
また、レイを贈る側になった時に気を付けておきたいのは妊婦に贈る場合。クローズレイと言って輪の状態のレイは胎児のへその緒が絡まると信じられている。妊婦に贈る場合は、輪ではなく 本の状態のオープンレイを贈るか、手に掛けてあげるのが伝統的。

(‘Eheu Summer 2017号掲載)

※このページは「‘Eheu Summer 2017」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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