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ファースト・ハワイアン・バンク 国際部シニア・バイス・プレジデント/ 真島 豊

1858年創業、ハワイで最も古く、最大規模の預金量を誇るファースト・ハワイアン・バンク。地元に根差した同行に、昨年シニア・バイス・プレジデントとして着任した真島豊さんが、自ら決意した人生の転機とは?

 

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 ハワイに引っ越して来たのは昨年5月です。日本で30余年にわたる会社員生活に終止符を打ち、転職をしました。

 1994年に東京海上火災保険(当時)に入社して以来、営業の他、内部部門として保険約款の管理や再保険業務など保険会社の根幹を支える業務などに携わってきました。日本各地、保険ビジネスの中枢であるロンドン、2018年にはルクセンブルクへヨーロッパ大陸の本社を立ち上げるため着任。3つの公用語を持ち、街全体が世界遺産という希少な国で3年半勤務し、そこでパンデミックも経験しました。その後、突然のグアムへの転勤、そして東京勤務。その間、転職を考えたことは一度もありませんでした。

仕事観を変えた東日本大震災での経験

 仕事に対するスタンスが変わったのは、2011年の東日本大震災でした。

 震災後の私たちの使命は、一刻も早く保険金をお支払いすること。部署や担当職務の垣根を越え、できる限りの人員を集めて被災地に入り、加入者を探しました。

 当時課長職だった私が任されたのは、福島第一原発エリアでした。半径10キロ圏内は関係者以外立ち入り禁止に。私は半径10〜20キロ圏の被害を受けた方々のお宅を一軒ずつ回りました。タクシーも入れず自ら運転して通い、この地域の方々は仮設住宅に避難されていたので、査定のタイミングに合わせて一時的に家へ戻って来られる状況でした。そんな中で速やかにお支払いさせていただく旨を伝えると、涙を流して喜ばれる方も…。その姿を前に、「私の仕事でもっとも大切なことは、人の傷みを受け止め、寄り添うこと」だと実感しました。

 それ以降、仕事の優先順位が変わりました。「人に役立つ仕事を」との思いが、私の中で明確な軸となったのです。

1年をかけて決心した想定外の人生の転機

 その後、充実した日々を過ごしていた中で、予想もしなかった転機のきっかけはグアム勤務でした。グアムで同社のメインバンクだったのが、ファースト・ハワイアン・バンク。ホノルルから出張に来ていた副頭取に「ポジションに就いてくれる人を探している。ゆっくり考えてほしい」と声を掛けられたのです。

 1年間、考え続けました。30年勤務した会社への愛着、十分なポジション、30年来の仲間たち。自分にはハワイと銀行業界の知識はありません。一方で、日本では50代真ん中の人間にこのような機会はなかなかないだろうとの思いも。気持ちは日々揺れ動き、結論は毎日変わりました。

 最終的にたどり着いたのは「どちらを選んでも後悔するだろう。それなら行かずに後悔するよりも行ってみよう」。60歳の定年まで転勤はおそらくあと1回。最後ぐらい、辞令ではなく、自分で決めたい。グアムで副頭取に会ったことも運命だったのかもしれない。

 2025年3月に退職し、5月にハワイへ移住しました。

 まだまだ勉強の日々ですが、業界は違っても「お客様に寄り添い、信頼されることが全ての原点」という点は変わりません。中長期的な信頼をいただけるような事業運営をしていきたい。そしていつか、この選択が正しかったと言えるようになりたいと思います。

ルクセンブルクの職場での、多国籍・多言語のメンバーたち


まじま・ゆたか◎1971年生まれ。東京都出身。1994年、東京大学法学部卒業、東京海上火災保険(当時)入社。東京、神戸などで勤務後、2007年ロンドン赴任、10年東京、イギリスEU離脱に伴い18年に保険引受責任者としてルクセンブルク着任。22年グアムへ転勤。事業売却・雇用維持の任務を遂行。24年東京勤務、25年3月に退職。5月ハワイ移住、現職へ。

※このページは「ライトハウス・ハワイ」 2026年4月号掲載の記事です。

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