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第21回【ウルマイカ・ストリート 】ネイティヴハワイアンの遊び

 

 

ウルマイカ通りはカハラの閑静な住宅街に在ります。カハラモールの西側を海に向かって延びるフナカイ・ストリートに面し、ワイアラエ・カントリークラブの東側から始まるファーマーズ・ロードの突き当たりにある小さな緑地「フナカイ・パーク」を囲む小道です。

この道の名になっている「ウル・マイカ」は、ネイティヴハワイアンの人達が昔から盛んに行っていた競技の一つです。丸く削り出した太めの円盤状の石を正確に遠くまで転がす競技で、石を転がすさまはボーリングに例えれば分かり易いかもしれません。

円盤の直径は5~10cm程度の手の平に乗る大きさ。溶岩や砂岩、珊瑚の石などが使われていて、形はアイスホッケーのパックに似ています。

 

 

 

短く刈った草地や整地した地面の上で2人1組の団体戦で円盤を二つ、6メートルくらい先に20cm程度の間隔で立てた棒の間を転がして正確に通過させ得点を競うもの。もう一つはどこまで遠く転がせるかを競います。最長は400m以上も転がしたとか。男性の競技で、重たい石を使い、正確さと共に腕と足腰の強靭な筋肉が求められます。

ウル・マイカのように、欧米人来島前のハワイでどのようなゲームや競技、遊びが行われていたのかは、数多く伝えられていますが、女性中心に老若男女に楽しまれていたものに綾取りがありました。ハワイ語で「ヘイ」と云います。節をつけて歌いながら指で紐を操り、いろいろな型を作る、日本での楽しみ方にも似ています。ビショップ博物館では昨年、ポリネシアの最東端ラパヌイ=イースター島の特別展示が行われていましたが、そこでも綾取りが大きく紹介されていました。綾取りはポリネシアの島々で広く楽しまれていたのでしょう。

日本と同じといえば、ハワイでもたこ揚げが盛んに行われていました。ハワイ語ではカイトを「ルぺ」といいます。貿易風に乗ってぐんぐん空に揚がっていきます。日本の正月には四角いものややっこだこが見られますが、ハワイのたこは上を頂点とした四角もしくは八角形の物の下に尻尾がついて、マンタのようにも見えます。ルぺの素材は紙ではなく、植物の茎などを柔らかくして叩いて伸ばしたカパと呼ばれるもの。その上に模様が描かれています。

欧米人来島前のワイキキでは、ダイアモンドヘッドの中腹にヘイアウ(祭祀場)があり、そこからたこを揚げてサーフィンに適した波の状態を伝えていたとか。

ハワイアンの人々の日常生活は欧米人の来島とともに変化し、アジアからの文化とも融合して忘れ去られたものも数多くあったのでしょうが、ウル・マイカのように博物館などに貴重な歴史資料として残されているものも数多くあります。

(2019年5月16日掲載)

執筆 David

◎ ビショップ博物館ドーセント
旅行会社勤務時代よりビショップ博物館でドーセントのボランティアを開始。2003年より同博物館の会員代表機関 Bishop Museum Association Council の唯一にして初の日本人メンバーに。ハワイの歴史、文化の研究に取り組む

 

 

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