第20回【タンタラス・ドライブ】公園の名はプウ・ウアラカア

 

 

高層ビルの向うに広がる群青色の海と白い波、背後の緑の山々の色も春分を過ぎた太陽の下でより鮮やかに見えます。朝日があたるダイアモンドヘッドから、空港の沖合にせり出した滑走路の先に沈む夕日まで、オアフ島の南側を鳥瞰できるタンタラスの丘。この公園の入口から更に山の奥に上ったところから始まり延々と続く道がタンタラス・ドライブ。道の途中には稜線の両側が深く切れ、車が交差するのもやっとの細い場所もあります。

水平線まで見渡せる丘の上の公園の名はタンタラスではなく「プウ・ウアラカア州立公園」。ハワイ語の公園のを直訳すると「転がるスイートポテトの丘」。

タンタラスの山頂付近にはパンチボウルの丘と同じ頃に噴火した火口が有り、その堆積物がウアラに適していることからカメハメハ大王がこの丘で栽培を始めたと、公園の案内板に紹介されています。

ウアラは、スイートポテトのこと。サツマイモと同種の芋で、ポリネシアの島々での共通の食べ物の1つです。ネイティヴハワイアンの人々にとって、澱粉質の食物ではタロ芋に続いて重要で、タロと同様にすり潰してポイにしたり、イムで熱い石に土をかけて蒸し焼きにして食べました。葉も同様に蒸して食用に使われます。

ところで、ポリネシアの島々での食べ物が、ほとんどアジア起源かポリネシア原産なのに対し、このウアラだけが中南米原産で且つ他の大陸を経由せずにポリネシアにもたらされたと考えられています。と、云うことは、ポリネシアの島々と南米大陸の間に人の往来が有ったのかもしれない、との仮説も生まれます。実際、南米チリで発見された鶏の化石とポリネシアの鶏とDNAが一致した例も出てきました。

ポリネシア人は、中国南部か台湾のあたりから、フィリピンの島々を南に移動しソロモン群島に到達。更にサモアやトンガの島々に移動してきたアジア系の人だと考えられています。しかし過去にはウアラが南米起源であるように、ポリネシア人は南米から太平洋の島々に渡って来たのではないか、との仮説を立てた学者も居ました。1947年(昭和22年)、ノルウェーのハイエルダールが、ペルーからバルサ材の筏コンティキ号で実験航海に挑み南太平洋を西に向かい、マルケサスとタヒチの中間に在るラロイア礁に到達しました。ポリネシア人も南米との長い距離をカヌーで往復していたのかもしれない、夢の膨らむような話です。

レンタカーで稜線からの景色を楽しむ観光客も多いタンタラス ドライブ。眼下に広がるマキキからワイキキに至る景色の逆側には、ホノルルのダウンタウンの奥に広がるパウオアの住宅地が広がり、つづら折りの道を西側に下って行くとハワイアンの人達も多く住むパパコレア地区を通り、パンチボウル近くで、この道は終わります。

因みに、タンタラスの丘の麓には、ウアラカア・ストリートという名の道もあります。

(2019年4月1日掲載)

執筆 David

◎ ビショップ博物館ドーセント
旅行会社勤務時代よりビショップ博物館でドーセントのボランティアを開始。2003年より同博物館の会員代表機関 Bishop Museum Association Council の唯一にして初の日本人メンバーに。ハワイの歴史、文化の研究に取り組む

 

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