ハワイ現地発!最新生活情報&おすすめ観光情報サイト

第50回【離婚の手続きを始めたらハワイから出られらくなくなり、接近も一時禁止されるのですか?】

Q. アメリカ人の夫と離婚することになりました。離婚条件は合意できそうなのですが、離婚が成立するまでハワイから出てはいけないと聞きました。私と小学生の息子は、学校の長期休みは日本の両親のところで過ごしていますが、日本に行けないのですか? また、離婚の訴状のフォームを見た友人が「自動的に一時的接近禁止命令(TRO) が出る」と言うのですが、本当ですか?

A. 時々日本人のクライアントの方に「離婚をファイルしたら、離婚成立までハワイから出てはいけないのか」と聞かれることがあります。実は、ご自身が日本に行ったり、ハワイから出たりすることに関しては、離婚の手続きを始めた後も何の制約もありません。しかし、現在ハワイの裁判所で使われている離婚の訴状「Complaint for Divorce」にはオートマティック・リストレイニング・オーダー「Automatic Restraining Order」という自動禁止命令が付随しており、これにより禁止されている事項の一つが「未成年の子どもを、子どもが現在住んでいる島から出したり、現在通っている学校を変更したりしてはいけない」です。ですから、ご相談者がお子さんを連れて日本やオアフ島の外に行くには、相手方の同意、もしくは裁判所の許可が必要になります。当事者間の合意は正式な書類を通してなされるべきものです。ご自分お一人で行く場合には、この禁止命令は当てはまりません。

 反対する正当な理由がないのに、お子さんが日本へ祖父母に会いに行くことに相手方が同意しない場合は、裁判所で申し立てをして、日本に行く許可を得る必要があります。必ず子どもをハワイに帰すということを示すことができれば、裁判所は通常子どもを島外に出すことを認めます。

一時的接近禁止命令と勘違いされやすい「禁止命令」
 ご相談者の友人が言ったように、オートマティック・リストレイニング・オーダー「Automatic RestrainingOrder」という名称がTRO「Temporary Restraining Order」と呼ばれる一時的接近禁止命令に似ているので、アメリカ人でも実際の書類の内容を読まず、書類の名前だけで、離婚の訴状「Complaint for Divorce」に付随するオートマティック・リストレイニング・オーダー「Automatic Restraining Order」のことをTRO だと勘違いするケースがあります。しかし、身の安全を守るための接近禁止令(TRO) とは全く異なるものです。これは、先程のお子さんに関する禁止事項以外は、離婚訴訟中の財産、負債、保険の被保険者や受取人などに関する禁止命令のことです。例えば、離婚の最中は双方の当事者が通常の生活費やビジネスにかかる出費、離婚訴訟の弁護士費用の支払い、当事者間で合意があったもの、裁判所で命令があったものを除いて財産を売ったり、譲ったり、隠したり、処分したりしてはいけないことになっています。また、通常の生活費やビジネスにかかる出費、離婚訴訟の費用、子どもの教育費に使う以外はお金を借りたり、クレジットカードを使ったりして負債を増やすことも禁止されています。さらに、生命保険や退職金、年金の受取人も相手方の書面での同意、もしくは裁判所の許可なしで変更してはいけないことになっています。

 離婚の訴状「Complaint for Divorce」に付随するオートマティック・リストレイニング・オーダー「Automatic Restraining Order」は、原告「Plaintiff」に対しては訴状をファイルした時点で有効となり、被告「Defendant」に対しては訴状が法的に送達された時点で有効となります。そして、基本的に離婚が成立するまで双方がこの禁止令を守らなければいけないことになっており、内容を正しく理解することが重要になります。

 ご相談者は、離婚の条件に関して、夫と話し合いができているようですが、今までこの連載で何度もお話ししたように、実際に離婚の書類にサインをする前には弁護士と相談をして、内容を理解、確認した上でサインするようにしてください。

* * * * *

 2022 年から50 回にわたって、皆さまからのハワイ州での離婚に関するご質問にお答えてきましたが、今回をもって一旦終了させていただくことになりました。長い間、どうもありがとうございました。


 

宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law

父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
※実際のアドバイスは個々の状況により異なりますので、詳細は弁護士にご相談ください。

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2026年8月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

ライトハウス・ハワイのおすすめ記事

~お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」~第271  【高校生の科目選択について】

2026.08.01

 8月に入り新学年が始まりました。アメリカの高校では高学年になると、同じ科目の中でも、HonorやAP(Advanced Placement)といった難易度が異なるレベルのコースを受講することができま...

~お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」~第270  【公立校のELL】

2026.07.01

 ハワイの公立校にはEL(English Learner)プログラムが設置されています。これは英語以外の言語を母国語とする生徒を対象にした英語教育プログラムです。太平洋諸国やアジアからの移民が多いハワ...