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~お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」~第270  【公立校のELL】

 ハワイの公立校にはEL(English Learner)プログラムが設置されています。これは英語以外の言語を母国語とする生徒を対象にした英語教育プログラムです。太平洋諸国やアジアからの移民が多いハワイでは、地域差もありますが、7〜22%の生徒がこのプログラムに在籍しています。実に70もの言語を母国語とする生徒がいるそうですが、イロカノ語(フィリピン)やチューク語(ミクロネシア連邦)を母国語とする生徒が多いそうです。
 どのようにELが必要と判断されるのかというと、ハワイ州教育局の管理下にある公立校に入学するときに家族調査表のような書類が配られます。そこで家庭内での第一言語が英語以外の生徒には英語力を確かめるテスト(WIDAスクリーナー)が実施され、その結果によりELが導入されます。日本語を家庭内で第一言語として話している場合、多くのお子さんがELにしばらく在籍し、英語力が十分と判断された時点で卒業するケースが多いようです。
 ELに在籍すると、多くの場合、その時間はクラスルームから抜けてELの授業を受けることになります。英語の授業を抜けてELに行くパターンが大半で、EL専任教員から少人数でリスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの基礎指導を受けます。生徒の英語力や年齢によっては、一般教科の担当教員が通常の授業内容を調整する形が導入されることもあります。その場合、教科内容の理解を深めるための補助教材を使い英語力の不足を補います。また数少ないですがデュアル・ランゲージ・プログラムを導入している学校では、そのプログラムがオファーされることもあります。ハワイカイにあるハハイオネ小学校では日英のデュアル・ランゲージ・プログラムが低学年で実施されています。こうした取り組みと並行して、アメリカの学校に早く慣れるように、学校生活のガイダンスやサポート活動が行われることもあります。
 ELに入ると、毎年1〜2月頃に英語力のアセスメントテストが行われ、十分な基準に達するとプログラムの卒業が決まります。卒業後は2年間のモニタリング期間があり、通常のクラスについていけてない場合は、学習サポートが提供されます。 日本語が家庭内の第一言語とはいえハワイ生まれでプリスクールも英語で通った子どもや、どちらかの親が英語を母国語とし日英両語を話すバイリンガルな子どもであっても、ELが必要と判断されるケースが実は数多くあります。「通常の英語の授業を抜けることで勉強が遅れるのではないか」「クラスメートに対して劣等感を持ってしまうのではないか」「うちの子の英語レベルが低いとは思えない」といった懸念を持つ親も少なくありません。またELが数年続く場合は「いつ卒業できるのか」といった焦りも出てくるでしょう。ただしここで注意したいのは、日常会話で何不自由なくても、アカデミックな英語力(リーディングやライティング)が不足していると、学年が上がるごとに学校の勉強が苦しくなってきます。成績も伸び悩むでしょう。バイリンガルのマイナス点としてよく語られるセミリンガル(どちらの言語も中途半端にしか理解できない)状態に陥るからです。 
 アセスメントの結果に納得がいかない場合は、ELの専任教員にその内容について質問する機会を持ってください。学年の途中の立ち話であっても、子どもの進捗状態を把握しておくことが大事です。家庭でどのようにサポートできるかなども相談してみると、ためになる助言が聞けるはずです。時間はかかりますが必ず英語力は追いつきますので、じっくりと取り組んでください。

スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オレゴンで学生時代を過ごす。京都女子大学短期大学部卒業。88年ハワイに移住し結婚。ハワイの公立校で教育を受けた長女は現在アメリカ本土で大学院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌やウェブでの執筆活動を精力的に行っている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワイ』(双葉社刊)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2026年7月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

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