8月に入り新学年が始まりました。アメリカの高校では高学年になると、同じ科目の中でも、HonorやAP(Advanced Placement)といった難易度が異なるレベルのコースを受講することができます。例えば数学のCalculus(微分積分)を取るにしても、Honor Calculus やAP Calculusといった通常クラスよりレベルの高いコースがオファーされています。またカイザー高校やキャンベル高校などの国際バカロレア認定校では、IBディプロマプログラムを選ぶと、高校最後の2年間は、そのプログラムに沿った科目を受講することになります。科目選択については日本とシステムが大きく異なりますので、注意してください。
多くの公立高校でオファーされているAPについては、選択するかどうか悩む生徒が多いと思います。教科内容が大学レベルに位置づけられているAPは、通常クラスと比べて格段に難しく宿題の量も多いです。それでもAPを選択する最大の利点は、毎年5月にカレッジ・ボードが主催するAP Examと呼ばれる統一テストで高評価(1~5段階で4~5)を獲得すれば、その科目の履修を免除してくれる大学が多数あることが挙げられます。高校在学中にAPクラスを複数履修しておけば、大学の教養課程の複数科目の受講を回避でき、大学を4年以下で卒業できる可能性が大きくなります。学費が節約できますので、経済的にも大きなメリットとなります。
さらにAPは成績評価のスケールの満点が5.0になっています。通常クラスは4.0なので、APを選択して好成績を収めると、GPA(成績平均点)を4.0以上に大きく押し上げることができます。こうしたRigorous curriculum(難易度の高いカリキュラム)を高校在学中に履修してGPAを上げておくと、大学入試の時に、学究意欲があり高い学力を持った学生として高評価されます。難易度の高い名門大学への入学を希望する高校生は、大学受験をより有利に展開するために、複数のAPを履修しているのが現実です。
APの取り方は、公立高校でも各校によりガイドラインが異なるようです。9~10年生でHonorクラスにいた生徒が、11~12年生でAPを取れるシステムになっている学校もあれば、Honorの設定がない学校もあります。いずれにしても、前年度の担当教員からAP履修の承認を得ることが必須条件で、やる気があってもAPのレベルについていくことが難しいと判断されれば、承認はおりません。また在学中により多くのAPを履修したい場合は、9~10年生のサマースクールで次の学年の教科の単位を先取りし、11~12年生で複数のAPを取れるようにスケジュール調整する生徒もいます。
このようにメリットが大きいAPですが、注意点もあります。内容が難しいAPは好成績を収めなければ、逆にGPAを大きく下げてしまう結果につながります。APテストを受験し、大学での単位を先取りしたい場合は、高校の期末試験をこなしながらAPテストの準備勉強も必要です。高校生はクラブ活動も本格化して忙しくなるので両立できるかを検討し、無理をしすぎない範囲で挑戦しましょう。APを選択したが最初の授業でやはり無理だと感じた際は、速やかにカウンセラーなどに教科選択について相談してください。学年開始直後なら状況が許せばコース変更に応じてくれる場合があります。こうした科目選択は、前年度に登録があるため、早々に情報収集し決断しなくてはなりません。APやIBディプロマコースは高校生活や大学でのコース選択などにも影響を及ぼすので、自分に最適な科目選択ができるよう早めに準備しましょう。

スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オレゴンで学生時代を過ごす。京都女子大学短期大学部卒業。88年ハワイに移住し結婚。ハワイの公立校で教育を受けた長女は現在アメリカ本土で大学院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌やウェブでの執筆活動を精力的に行っている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワイ』(双葉社刊)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2026年8月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。