Q. ハワイで2年前に離婚をしました。離婚の取り決めで、元夫との間の3人の子どもは隔週のスケジュールで、父親と私と暮らしています。離婚の時点では私と元夫の収入はあまり変わらなかったので、養育費は無しになりました。しかし父親は離婚後昇進し、高収入になりました。私の収入はほぼ変わらず、生活は苦しい状況です。養育費の変更を申請することはできますか?
A. 養育費の金額を離婚の後に変更することは可能です。前回にご説明したように、ハワイ州では、養育費の計算のための家庭裁判所が定めたチャイルドサポートガイドライン「Child Support Guidelines」があり、チャイルドサポートガイドラインワークシート「Child Support Guidelines Worksheet」と呼ばれる計算用紙を使います。この項目にある夫婦それぞれの収入、子どもの数、子どもの健康保険にかかる費用、そしてデイケアの費用が変わり、新たな金額を使って計算した養育費が、現在の養育費の金額より10%以上増減する場合は、変更することができます。
また、そのような理由がなくても、3年ごとに養育費の見直しを申し立てることができます。さらに現在の養育費が以前使われていた2020 年バージョンのチャイルドサポートガイドラインに基づいて計算されている場合は、2024 年4 月1 日から使われている2024 年バージョンに基づいた養育費見直しを申し立てることも可能です。
ご相談者の場合は、離婚が2年前だったとのことで、2020 年バージョンのチャイルドサポートガイドラインが使われているので、見直しの申し立てが可能です。
養育費変更は時間を要するため、早めにスタートを
養育費の変更の申し立ては、家庭裁判所、もしくはCSEA (Child Support Enforcement Agency) という州の機関を通して行うことができます。
裁判所で申し立てをする場合、裁判所に養育費変更の申し立て「Motion toModify Child Support」をファイルします。フォームは裁判所のウェブサイトで得ることができます。(https://www.courts.state.hi.us/self-help/courts/forms/oahu/family_court_forms)
給与明細やタックスリターンなどの収入に関する書類、健康保険にかかる費用に関する書類、デイケアにかかる費用に関する書類を交換し、当事者間、もしくは弁護士を通して、合意の下に変更することも可能です。その場合、合意内容をStipulation and Order(合意書と裁判所からの命令)という書面にし、裁判所に提出して裁判官に受理してもらうことが大切です。多くのケースでは養育費を給与から天引きしているので、養育費の天引きの命令「Order to Withhold Income for Support」も変更して裁判所に提出し、裁判官に受理してもらうことが必要です。
当事者間で合意できない場合は、裁判所がヒアリングを行い、双方の証拠、証言を聞いた上で決定を下します。
CSEA を通す場合は、CSEA に養育費変更の申請書を提出します。こちらもCSEA のウェブサイトでフォームを得られます。(https://ag.hawaii.gov/csea/application-for-services-pcs001/)。必要書類を双方が提出すると、CSEA は仮決定として新しい養育費の金額を双方に送ります。どちらかがその内容に同意しない場合、ヒアリングをリクエストし、オフィスオブチャイルドサポートヒアリング「Office of Child Support Hearings」という州の機関でヒアリン
グが行われます。この場合も、通常ヒアリング前にヒアリング無しで合意のもとに解決できるか話をします。合意がなければヒアリングが行われ、双方の証拠、証言を聞いた上でヒアリングオフィサーが決定を下します。
裁判所もオフィスオブチャイルドサポートヒアリングも、通訳が必要な場合は無料で提供してくれます。 養育費の変更で大切なポイントの一つは「養育費は自動的には変更されない」ことです。また、過去にさかのぼって養育費を変更することはできません。さらにどのプロセスも時間がかかるため、養育費を変更すべき状況なら、できるだけ早く裁判所での申し立て、もしくはCSEA への申請書を提出することが重要です。ご相談者も、養育費の金額が上がるであろうとわかっているのであれば、すぐに変更のプロセスを始めるべきでしょう。
宮本直子
Naoko Miyamoto Attorney at Law
父親の転勤で高校3 年生よりアメリカ在住。1997年カリフォルニア大学バークレー校政治学部卒業。2000年ハワイ大学マノア校法科大学院(ロースクール)修了。2001年ハワイ州裁判所・ハワイ地区米国連邦裁判所弁護士登録。ハワイ州最高裁判所を経て2001年より離婚やその他の家族法を専門に扱うクライントップ& ルリア法律事務所で家族法専門の弁護士として勤務後、2022年9月に『宮本直子法律事務所』を開設。

宮本直子法律事務所
735 Bishop St, Ste. 310, Honolulu (Dillingham Transportation Bldg.)
TEL 808-444-7890
E-mail: info@miyamotohawaiilaw.com
https://www.miyamotohawaiilaw.com/japanese-page
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※このページは「ライトハウス・ハワイ 2026年1月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。