今回は、伝統のすしを堪能できるとっておきの店をご紹介します。
日本人が世界に誇る天ぷらと寿司。このどちらもトップレベルで味わえる店が昨年オープンした。アラモアナの『天ぷら / 寿司いちか -ICHIKA-』だ。
木目の美しい扉を開けると、日本庭園をしつらえて和の文化に包まれた空間が広がっている。その一角に凛と構えるのが、白木のカウンター7席限定で寿司を提供する『寿司いちか』。板前の河上けんさんは、東京銀座の高級寿司店で腕を磨き、サンディエゴを経て、ハワイでは老舗日本料理店で、世界のVIPに寿司を握ってきた職人。彼は40年余り、伝統を携えた日本の寿司を出し続けている。
お品書きには2種類のおまかせ寿司コースがある。前菜、スープ、にぎりと一品料理、デザートを含む18〜20品のコースは 1 人160ドル。日本の四季を感じさせる旬の食材で構成されるが、この冬は蒸さずに煮て味を付けるあん肝や子持ち昆布の前菜でスタートした。高級魚ノドグロのにぎりは、脂と身が持つ甘みと深みがグッと口の中に広がり、ノドグロの存在感を大いに感じさせた。赤酢をきかせたシャリは山形県産のつや姫を使用しているという。北海道産の毛ガニはウニと和えてシャリを包み込むような姿で寿司下駄にのった。目の前でさばいたダイヤモンドヘッド沖の鮮やかなボタンエビはねっとり甘く、ウニは舌の上で濃厚な甘さがとろけ、愛媛産の本マグロの大トロはふくよかな脂となって溶け去った後も余韻を残した。
一品料理は、真鯛の西京焼きの手巻き、炙ったたたみいわしなど日本酒のアテに最適な一皿。ふわっと煮た穴子にはユズの皮がのっていた。ハワイで育てられたユズをさりげなくきかせるのも河上さんのなせる技。「人生で一番おいしい」と言う客がいる味噌汁は、ボタンエビのだしが染み入っていた。
一つ一つの工程に職人魂を込めつつも、気さくな河上さんに、質問したり、会話したりしながら、魚や貝が持つ本来の味をとことん楽しんだ。おもてなしの心が伝わるサービスの中で五感が刺激されるこの食体験こそ、寿司の醍醐味であり、日本の風土が育んだ食文化だと思い起こさせてくれた。
434 Piikoi St., Honolulu
808-888-0000
営業時間 : 5:30pm〜(寿司カウンター) 定休日 : 月、水曜(寿司カウンター)
https://www.ichikahawaii.com
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ライトハウスハワイ編集長Yoko
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※このページは「ライトハウス・ハワイ」 2025年2月号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。