食料の多くを米本土からの輸入に頼るハワイ。そんなハワイでも、食品の安全性や地産地消への関心が高まり、地元で農作物を生産する農場に注目が集まるようになった。そこで今回は、農場で栽培した採れたての新鮮な野菜や果物をその場で楽しめる、ハワイの“ファームカフェ”を紹介しよう。オアフ島でお観光滞在中、ちょっと遅めの朝ごはんにおすすめだ。
(Text: Toshiko Karson / Photos: Taku Miyazawa)
ハワイ・オアフ島ノースショアのサンセット・ビーチから、さらに北へドライブすること約10分。左手に並ぶカフク・シュリンプ屋台の右手に見えるのが、カフク・ファームズのパステルイエローの可愛らしいカフェの姿だ。
カフク・ファームズでは現在、パパイヤやアップルバナナ、ナス、レタスなどを中心に栽培している。この農場を経営する2家族、松田家と福山家の先祖は、熊本県と福岡県からハワイに移民してきた日系人だ。
カフク・ファームズのカフェは、農場の3代目にあたるカイリー・マツダ・ラムさんの提案で2005年にオープン。当初は週に何度か細々と営業していたものの、だんだんとファンが増え、新鮮な野菜や果物の美味しさが活きるドリンクや軽食、スイーツなどが口コミで評判になり、今では大忙しだ。
このカフェでは、飲物やスイーツなどを除き、全ての料理が注文を受けた後、敷地内にある商業用キッチンで作られる。人気の「ベジ・パニーニ」や「ファーム・ピザ」を頬張ると、口の中に野菜本来の素材感と美味しさが広がり、「野菜って、こんなに美味しかったんだ!」と実感できる。
ドリンクのイチオシはスムージー。ケール、パパイヤ、パイナップル、マンゴー、そしてアップルバナナなど、もぎたての果物と野菜を使ったビタミンたっぷりの冷たいスムージーは、ハワイの輝く太陽の下、体や心までも潤してくれる。
ハワイ・オアフ島旅行中、ノースショアで1日を過ごす予定があれば、ぜひこの農場を訪れてほしい。心地良い風に吹かれ、ハワイの太陽を受けて育った野菜や果物を頬張れば、心からの至福と、食べ物や自然に対する感謝の気持ちを感じられるはずだ。
(Text: Toshiko Karson)
「カフマナ・オーガニック・ファーム」は、太陽が容赦なく照り付けるハワイ・オアフ島西部ワイアナエのルアルアレイ・バレーの奥にひっそりと佇む。
ここは地域の住民や、オアフ島内のグルメレストランのために有機農法で新鮮な野菜や果物を栽培、販売する農場である他に、地域のホームレス家庭に住宅を安価で提供したり、知的障害者を雇用するなど、非営利の社会施設としての顔も持ち合わせている。
この農場にはまた、栽培したケール、チャード、レタス、トマトなど数々の農作物や、飼育した鶏の卵、地元漁師がその日収穫したばかりの魚などを使った料理を提供するカフェ「カフマナ・カフェ」が併設されている。ハワイで最も本格的なオーガニックの農場レストランとして名高く、健康志向の強い人々が足繁く通って来るという。
どのメニューも、農場でその日収穫し、キッチンに運ばれたばかりの食材が使われる。この上なく新鮮な食材に、ハーブやシーソルトを使ったマイルドな味付けを施した料理はシンプルで美味。このカフェで食べる料理には、人間の栄養、そしてエネルギーとなる植物や動物の生命が宿っているかのようだ。
カフェの一番人気メニュー「マカデミア・ナッツ・ペスト」は、全粒粉のパスタに野菜がたっぷり入ったヘルシーな料理。シャキッとした野菜の歯応えが良く、ボリュームたっぷりだが、クリーンで胃にもたれない。ここにチキンや魚、エビを加えることも可能だ。
地域に根付き、社会福祉と環境問題に取り組むカフマナ・オーガニック・ファームとカフェは、地元ハワイの住民だけでなく、アメリカ本土や日本からの観光客の注目も集めている。
(‘Eheu Spring 2015号掲載)
※このページは「’Eheu Spring 2015」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。