もともとはIT畑の人間で、日本では携帯電話会社に勤務していました。アナログ放送から地デジに切り替わった時代にソフトウェアエンジニアとして就職し、テレビを視聴できる携帯電話や、お財布機能、携帯ゲームの開発などを手掛けました。やりがいがある一方で、組織の歯車の一つではない働き方をしたいと考えるようになり、手に職をつけることを決意。グラフィックデザインやウェブサイト構築を学ぶ専門学校に働きながら通い、ベンチャー企業に転職しました。
ハワイに来たのは2012年です。システムエンジニアとして仕事を見つけたことがきっかけでした。勤務先は不動産会社で、最初の仕事がペンキ塗りだったことは忘れられない思い出ですが、良い経験を積むことができました。
結婚を機にウェブサイト制作会社を立ち上げ、そのクライアントとなったのが、エルダース栄養科学研究所だったのです。ウェブサイトのメンテナンスやコンサルティングなどをするうち、2019年に同社で働くことになりました。
ITに関してはプロフェッショナルでしたが、サプリメントの知識はゼロ。医学書や健康に関する書籍を読み漁り、ドクター鈴木から直接学び、最初の2年間は猛勉強しました。栄養素について学ぶには、体全体と各臓器のことを知る必要があり、勉強は尽きることがありません。知識がない状態から吸収していくのが楽しく、夢中でした。
また、それまでは企業を相手にする仕事でしたが、エルダースはいわゆるB to C。エンドユーザーである個人のお客さまと直接やり取りをすることも初めてのことでした。以前のようなクライアント企業のコンサルタントではなく、自らが会社の内部に入って自社のコンサルをしたり、マネジメントをしたりするのも、視点が違って良い経験になっています。
変わらず情熱を持ち続けられるのは、健康のことで悩んでいるお客さまを、どうにかして健康に近づけるようにしたいという気持ちがあるからだと思います。体調が良くなったり、検査の数値が変わってきたりすると、お客さまがお礼の手紙を書いて送ってくださることもあります。そんなときは社員全員で読ませていただきます。こうしたことが何よりの喜びです。
全く違う業界からの転職でしたが、実はその経験が役立つこともあるんです。健康のご相談や、問題が起こったときに発揮するのがデザイナー・エンジニアとしての思考パターン。まずは問題をしっかり分析してから、解決の糸口を探っていくやり方は、IT業界での経験が生きているように思います。
エルダースは今年35周年を迎えましたが、私が入社して感銘を受けたのは、この会社はサプリメントを販売するだけではないということです。体にとって何が大切かを皆さんに知っていただくことにも重きを置いています。例えば、体はミネラルが基本ということ。ミネラルがなければビタミンも働いてくれませんし、酵素も活性化できません。食事のバランス、ミネラルのバランス、血液の酸性・アルカリ性など、お伝えしたいことはたくさんあります。勧められたサプリメントを取っているだけでなく、健康の知識も身につけていただきたい。それがサプリメントを生かすことにつながり、健康の第一歩になります。
こうした会社の理念を、ハワイ、米本土、日本に加えて、今後は世界に発信していきたいと思っています。
たべい・やすひこ◎1981年東京生まれ。2006年に中央大学大学院・情報工学修正課程卒業後、携帯電話会社にソフトウェアエンジニアとして就職。グラフィックデザインやウェブサイト制作の専門知識をつけるため学校に通い、2010年にベンチャー企業へ転職。2012年1月にシステムエンジニアとしてハワイの不動産会社に勤務。ウェブサイト制作会社を立ち上げる。2019年、正式にエルダース栄養科学研究所へ勤務。
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2023年6月」号掲載の情報を基に作成しています。