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在米日本人のための日本への本帰国&2拠点生活〜2025〜準備と手続きQ&A在米日本人のための日本への本帰国&2拠点生活〜2025〜

アメリカ生活が長くなってくると、老後の生活や家族と過ごす時間を考えて、日本への本帰国や2拠点生活を検討することもあります。そこで今回は、本帰国または2拠点生活における準備や手続きについて、不動産、税務、ビザなど各分野の専門家に回答してもらいました。

※本特集はあくまでも一般的な情報です。詳細は個々の事情によって異なるため、専門家にお問い合わせください。

帰国前01 日本の住まいを探す

帰国前にすべきこと

日本での住まい、アメリカの不動産、日米の税務、ビザについて、各専門家に伺いました。

日本に移住する際、まずどんな住まいを検討すればいいですか?

A

大きく分けて「一般の住宅(戸建て・マンション)」と「介護付き高齢者向け住宅」があります(P7の囲み参照)。老後を見据えた移住でも、まずは現在のご自身のライフスタイルや健康状態、家族構成を基に考えてみるとよいでしょう。ペットを連れて帰国する方も多いのですが、特に犬は犬種や大きさによって住まいを選ぶ必要もあると思います。普通の住宅を選ぶ場合は、地域選定が物件探しの第一歩になります。

Q

住む地域はどのように
選べばよいのでしょうか?

A

「実家が近い」「自然が豊かな場所」「温暖な地域」など、自分の希望条件をまずリストアップしましょう。その上で、医療機関の有無、交通の利便性、買い物のしやすさ、そして予算とのバランスを考慮して候補エリアを絞ると、より現実的な選択ができます。

Q

現在の日本の不動産事情を
教えてください。
  

A

コロナ禍を経て、日本の不動産市場には変化が見られます。特に都市部ではマンション価格の高騰が顕著です。ただし「億ション」を買う人は少なく、5〜6千万円台の物件が人気ゾーンとなっています。地域は関東圏なら都心から電車で1時間ぐらいの郊外、地方都市なら中心地が人気です。

Q

賃貸と購入、マンションと戸建て、それぞれのメリットや注意点は?  

A

• 賃貸:柔軟に住み替えができるため、まずは一時的に生活を試したい方に最適です。

• 購入:資産となるので、将来的に売却して老人ホーム費用に充てる選択肢もあります。資産価値が下がりにくい物件選びがカギです。マンションは資産価値が落ちにくく、管理も比較的楽。ただし毎月の共益費がかかります。 戸建ては自由度が高く、アメリカで戸建て生活に慣れた方には好まれますが、年齢とともに管理が負担になることもあります。

Q

住宅ローンは組めるのでしょうか? やはり現金購入が多いですか?

A

現金購入される方が全体の8割程度ですが、ローンを組む方も2割程度いらっしゃいます。日本で収入や納税履歴がない場合は難しいですが、アメリカで資産や収入がある方であればローンが下りるケースもあります。

Q

不動産購入後の管理はどうなりますか?

A

2拠点生活で日本とアメリカを行き来する方も増えているせいか、不動産を購入しても管理が必要になることがあります。実際、弊社にもたくさんの方から「物件を購入した後、誰に管理してもらえばいいのか?」という質問をお寄せいただいています。購入後の管理(固定資産税の支払い、維持管理など)を依頼したいという声も多いです。海外居住者の状況を理解してサポートしてくれる不動産会社を選んで相談してください。

Q

2拠点生活について注意すべきことは?

A

日本の固定資産税・都市計画税や、緊急連絡先(親族や信頼できる不動産会社)の準備が必要です。最初は短期滞在からスタートし、フルリフォーム済みの「すぐ住める物件」を選ぶ方が多いです。購入後の管理は、信頼できる不動産会社を通じて管理会社に依頼するのが一般的です。修繕・清掃なども可能かどうか確認しておきましょう。

取材協力

代表 和田一之さん

アライド・インベストメント株式会社

東京都中央区銀座1-20-1 オーキッド銀座2階

☎日本語:(日本81)3-6228-7745

英語:(日本81)80-7058-3050

E-mail: info@a-ivt.com

ロサンゼルスオフィス

☎424-488-6078

E-mail: info@a-ivt.com 

https://a-ivt.com/

日本の介護付き高齢者向け住宅種類と特徴

監修:日本ライフパートナーズ協会代表  勲さん

◉サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

• バリアフリー仕様のシニア向けマンション

• 自立生活を重視し、必要に応じて訪問介護などの福祉サービスを利用可

• 比較的元気な高齢者に人気

※近年は、外部に介護サービスを委託できるシニア向けマンション

  (賃貸・分譲)も増えています。

◉有料老人ホーム(主に以下の2種類)

• 介護付き:ケアマネジャーによる介護計画に基づき、定額で介護サービス

  を受けられる

• 住宅型:介護サービスは必要な分だけ支払う。自由度が高い

◉特別養護老人ホーム(特養)

• 地方自治体や社会福祉法人が運営

• 原則、要介護3以上の高齢者が対象

• 月額費用は6〜20万円程度。所得に応じた補助制度あり

• 入居待機者が多い傾向

◉介護老人保健施設(老健)

• 退院後、自宅に戻る前のリハビリや療養を目的とした中間施設

• 原則3カ月の短期利用が中心

• 医師・看護師・リハビリスタッフなどが常駐

◉介護医療院

• 長期的な療養が必要な要介護高齢者向け

• 生活施設および日常的な医学管理や看取り、ターミナルケアなどの機能  

  を持つ

◉軽費老人ホーム

• 自立生活が可能だが、家庭での生活が難しい人向け

• 低料金で利用可能

• 食事ありの「A型」と、食事なしの「B型」がある

◉グループホーム

• 認知症の高齢者向け少人数制施設

• 家庭的な環境で共同生活を送り、認知症の進行を緩やかにすることを目的

• 医療依存度が高くなると利用継続が難しくなる場合も

帰国前にすべきこと

※帰国予定日の1〜2年前から準備開始が理想

①帰国後の住まい・

   ライフプランを決める 

・日本の生活費を試算

   (年金+貯蓄+資産で足りるか確認) 

・日本での住まいをどうするか決める

 例)持ち家の再利用、 新規購入、

          賃貸、高齢者施設

 例)介護が必要になった場合

          の選択肢を検討

        (施設、在宅介護、近隣のサポート体制) 

・日本での健康保険・医療体制をリサーチ 

②お金(財産・相続・税金)

   に関する整理 

・アメリカの銀行口座・貸金庫・

   投資口座を残すか閉じるか決める 

・アメリカ国内の預金残高確認

・不動産を売却または

   賃貸に出すか決める 

・日本の年金記録を確認

   (未払いがあれば追納も検討) 

・税務上の非居住者(NR) 

   への切り替えを確認 

・401(k)/IRAの処理

  (引き出し・ロールオーバーなど) 

・日米の税制について確認 

  (確定申告、未納税金の納付など)

・エステートプランニングの作成

  (遺言書やリビングトラストを含む) 

・生命保険の手続き

   (住所変更、続けられるのかどうか確認)

・米ドルから日本円への換金手続き

日本での在留資格取得、 グリ

  ーンカード、その他アメリカの

  ビザをどうするか検討 

・日本での在留資格申請&取得

  (アメリカ市民権保持者の場合) 

  ↓

  身元保証人・申請代理人探しを始める

・「I—407(グリーンカード

   放棄)」を提出するか決める

  (特に2拠点生活を検討している場合) 

・その他ビザの有効期限を確認  

 (特に2拠点生活を検討している場合。

   不要なら特に手続きなし)

・所持しているパスポートの

 有効期限の確認

・再入国許可書の申請

  (永住権を維持する場合)

④アメリカでの各種解約・整理 

◉銀行・クレジットカード 

・主要な銀行口座を残すか

   解約するか決める 

・日本に移住後も使える

  クレジットカードを確保

・クレジットヒストリーの影響を確認   

  (特に2拠点生活を検討している場合)

◉携帯電話・通信関連 

・携帯電話の解約または日本で

   使えるプランに変更 

・インターネット・テレビの解約

帰国前02 アメリカの不動産「売却」か「賃貸か」

Q

アメリカの不動産を売却するメリット・デメリットは?

A

売却の最大のメリットは、売却したお金を日本での不動産購入資金に充てられることです。コロナ禍前と比べ、アメリカでは不動産の価値が上昇していること、さらに円安の追い風もあり、売却希望者が多いです。しかし、アメリカの不動産は、長期的に保有するほど資産価値が上がる可能性があるので、今すぐ売却せず、5〜10年後を見据えて売却を決めた方がよいこともあります。ですので、長期的な視点での収支計画をご提案しています。デメリットは、将来的にアメリカに戻りたくなった場合、住まいがなくなることで、地域によっては同じエリアや条件では新たに購入するのが難しいという可能性があります。また、日本に帰国してからの売却は日米での課税があるなど、個々のステータスにより事情が複雑になることもあるため、弊社では必要に応じて税理士を交えた三者面談も行っています。

Q

家を貸すメリット・
デメリットは?

A

メリットは、安定すれば、毎月の不労所得として家賃収入を得られます。年金や退職後の補助的な収入としても有効です。将来的にアメリカに戻りたくなったとき、自分の不動産が残っていれば再び住むことが可能です。不動産価格の将来の上昇を期待できる、また、お子さんなどに将来的に相続させることを見越して、資産として保持しながら活用できます。一方で、デメリットも考慮するべきです。日本帰国後に収入源として賃貸に出したい場合は、日本での税務や収入に関するアドバイスを税理士から受けることをお勧めします。また、日本に移り住んだ後、遠隔での管理に関するご相談もよく受けます。不安がある場合は、アメリカに拠点を持ち、日本にいても気軽に連絡の取れる不動産・管理専門会社に依頼することも検討しましょう。

Q

2拠点生活をする人には、アドバイスをお願いします。

A

数年先の本帰国を見越して、日本とアメリカを行き来する2拠点生活では、一時帰国中にアパートに仮住まいする方も多いです。しかし、日本で高齢者が単独でアパートなどの賃貸契約をする場合、条件が厳しくなかなか契約できないこともあります。事前の情報収集はもちろんですが、賃貸探しや契約など、日本にネットワークを持つ不動産会社にご相談することをお勧めします。

取材協力

福留 さん

スターツ・パシフィック
CA州リアルターDRE♯2096559/
宅地建物取引士

3625 Del Amo Blvd., #335, Torrance

☎310-782-7877

E-mail: info@startsla.com

https://kaigai.starts.co.jp/la

帰国前03 日本帰国に伴う日米の税務について

Q

アメリカの市民権や永住権を持ったまま日本に帰国したら、確定申告はどうなりますか?

A

市民権および永住権保持者が日本に帰国しても、アメリカでは「居住者」として見なされ、アメリカや日本を含む全世界の所得に対する申告義務が続きます。一方、日本でも帰国後に「居住者」として同様に申告義務が発生します。つまり、場合によっては、日米両国での確定申告が必要になります。ですから、帰国前に税金や資産の整理を計画的に始めることが重要です。5〜10年単位の準備期間があると、不動産の売却や送金のタイミング、永住権放棄の時期など、税金上有利な選択肢を取れる可能性もあります。

(例)2025年6月1日に

  日本に帰国した場合

•アメリカ

 25年1月1日〜 12月31日までの

 全世界の所得を申告する。

•日本 

 6月1日の帰国日以降、12月31日

 までの全世界所得を申告

 (※日本の税理士と要確認)。

Q

 永住権を途中で放棄した場合、アメリカでの課税はどう変わりますか?

A

例えば、6月に帰国したけれど、永住権は8月1日に放棄したという場合、8月1日までは「居住者」として全世界の所得申告を求められます。8月2日以降は「非居住者」としてアメリカ源泉所得のみを申告します。また、市民権や永住権の放棄によって非居住者となった後も、以下のような所得には課税が続く場合があります。

市民権・永住権の放棄前に得た所得

•アメリカ国内の不動産収入

• ソーシャルセキュリティー受給
 
(日本では課税対象)

Q

「出国税(Expatriation Tax)」とは何ですか?

A

市民権・永住権放棄の際に、以下の条件に該当すると出国税が課されることがあります。

•資産総額が200万ドル以上

• 過去5年間の平均所得税額が

 約20万6千ドル

 (2025年基準)

•過去15年のうち8年以上

 アメリカ居住

市民権・永住権放棄前の5年間の税務申告で、漏れや間違いがあった

 なお、含み益のある資産を売却していなくても、「売却したもの」と見なして課税されるケースや、所得税が支払われていない貯蓄(年金プラン)にも出国税がかかるため、放棄のタイミングには注意が必要です。

Q

2拠点生活を選ぶ場合、税務上の注意点は?

A

アメリカと日本の両方に居住拠点を持つ場合、両国の税制にまたがる複雑な申告が必要です。アメリカではアメリカの税法、日本では日本の税法に従うこと、外国税額控除などを活用し、二重課税を回避することが重要です。自己判断は危険です。日米両方に詳しい税務専門家に早めに相談しましょう。申告ミスや遅延は将来的なトラブルの原因になります。

Q

日本への帰国前に「自宅」を売るかどうか、判断基準は?

A

自宅は帰国前に売却したほうが有利なケースが多いです。アメリカでは長年の居住・所有を条件に、最大50万ドル(夫婦合算)の売却益控除が認められますが、永住権・市民権を放棄するとこの特典が使えなくなります。帰国・放棄のタイミングによって税額が大きく変わるため、事前に売却シミュレーションを行うのがお勧めです。

             

取材協力

米国公認会計士

石上 洋さん

石上、石上&越智公認会計事務所

609 Deep Valley Dr., #358, 

Rolling Hills Estates 

☎424-247-2014

E-mail: contact@iiocpa.com

https://www.iiocpa.com/

◉公共料金・契約サービスの解約 

・電気・水道・ガス・ケーブル

   テレビ・定期購読サービス

 の停止手続き 

・自動車保険・医療保険の解約 

◉自動車関連

・車の売却、譲渡、または廃車手続き 

・(日本帰国後もアメリカで運転する可能性がある場合は)アメリカの運転免許証の更新

(日本の運転免許証を所持している場合は、有効期限などを確認)

・国際免許証の有効期限確認・取得

⑤引っ越しの準備 

・荷物の仕分け

  (持ち帰るもの/アメリカに残すもの /処分するもの) 

・国際引っ越し業者の手配

  (日本到着後の通関手続きも確認) 

・日本での家財購入計画

  (持ち帰るまたは日本で買う) 

⑥医療・健康管理の準備 

・かかりつけ医で健康診断を受

   け、必要な記録を日本へ持参 

・処方薬の処理

  (日本で入手できるかの確認など) 

⑦日本の銀行口座・

 クレジットカード準備 

・日本の銀行口座を事前に

   開設できるか確認 

・クレジットカードの審査基準(収入

 証明・在住証明など)をチェック 

①住所変更・転送手続き 

・USPSの郵便転送手続き

  (日本の家族宅や信頼できる友人宅に転送) 

・重要書類のデジタル化

  (パスポート・年金関連・税金関連) 

②退職・社会保障関連の手続き 

・ソーシャルセキュリティーの

 受給手続き・口座変更 

・日本の年金の再開手続き 

③帰国用のフライトと宿泊手配 

・片道チケットの予約

  (ビザの関係で往復が必要な場合あり) 

・到着後すぐの宿泊先を確保

  (帰国直後に家や施設に入れない場合) 

④「在留届」(帰国・転出届)を提出

対象は「日本に帰国する予定が決まった人、または既に帰国した人」または「在留届を提出した在外公館の管轄区域から転出する予定が決まった人、または既に転出した人」

 外務省オンライン在留届

 (ORRネット)https://bit.ly/42iRvXi

⑤住居の清掃、不要な家具

  や家電、日用品の処分、家

  の明け渡し、検査立ち合い、

   敷金払い戻しの計算

帰国前04  市民権保持者のための「在留資格」取得

Q

アメリカ市民が日本に中長期滞在・本帰国するためには何が必要ですか?

A

現在アメリカに住んでいる市民とその家族が4カ月以上日本に滞在するには、「在留資格」が必要です。種類は「日本人の配偶者等」があり、取得までに約5カ月かかります。申請には日本在住の身元保証人が必要で、本人が来日できない場合は親族を申請代理人に立てることも可能です。

Q

申請にはどんな情報や書類をそろえればよいですか?

A

所得や資産、日本の家族情報、渡航歴など、細かい情報の提出が求められます。「元日本人」は比較的スムーズに審査が進む傾向にありますが、「生まれたときからアメリカ市民」の方は時間がかかる場合があります。また、アメリカ市民になった元日本人は、国籍喪失届を領事館に出していないと申請が受理されないので注意が必要です。

Q

在留資格の取得後はどうなりますか?  アメリカでの手続きもありますか?

A

在留資格認定証明書を取得後、アメリカで日本のビザ申請を行い、日本入国時に「在留カード」が交付されます。有効期限(1〜5年)があり、更新中は海外に出ることはできますが短期間に限られます。また、申請は日本国内にいる場合のみ可能で、代理人申請は地域の入管で行います。

Q

日本での永住や帰化を考えている場合の申請条件は?

A

• 永住申請: 通常は日本に10年以上の居住が必要ですが、元日本人は継続して1年以上、日本人の配偶者は状況により3年以上で申請可能。

• 帰化申請: 通常は5年以上の居住が必要ですが、元日本人は継続して1年以上、日本人の配偶者は状況により3年以上で申請可能。

Q

本帰国や2拠点生活に関して、最近の傾向や注意点は?

A

コロナ禍以降、「日本の国籍を再取得したい」「安心して暮らせる日本に住みたい」という相談が増えています。ただし、在留資格や帰化は「日本に定着していること」が重要視され、年に3カ月以上をアメリカで過ごすと不利になることがあります。定着性を示すためにも、当面は日本に住み続けることが望ましいです。

取材協力

澄男さん  足達ヤニナさん

アミティエ行政書士事務所

東京都杉並区松庵3-35-23

☎(日本81)3-6794-9462

E-mail: kono@visa-amitie-gyosei.com

https://www.visa-amitie-gyosei.com/

永住権保持者の「再入国許可証」とは

 アメリカの永住権(グリーンカード)を保持しておきたいなら、「再入国許可証(Re-entry Permit)」を申請しておきましょう。これは、日本などアメリカ国外にいる永住権保持者が「アメリカに戻る意思がある」ことを証明するものです。これにより、最長2年間、グリーンカードを失うことなくアメリカ国外に滞在でき、期間中はアメリカへの出入国も自由です。

 申請方法は、移民局に「Form I-131」とグリーンカードの表裏コピー、パスポートコピーを提出します。申請料は630ドルです。申請後1〜2カ月で指紋採取が必要ですが、それが済めば許可証の発行を待たずに出国できます。出国予定の3カ月以上前から準備に取り掛かると安心です。「再入国許可証」は2年ごとに更新できますが、更新時はアメリカ国内に滞在する必要があります。一度指紋採取を済ませていれば、次回は免除されることが多いです。

 永住権は、アメリカを長期離れても自動的には失効しませんが、アメリカへの再入国時に「帰国の意思がない」と判断されると取り上げられる可能性があります。このリスクを回避するには「再入国許可証」の取得が有効です。

 なお、永住権は、一度放棄すると再取得できないケースもあります(例:21歳以上の市民の子どもがいない等)。放棄は慎重に検討してください。

取材協力

瀧 恵之さん

瀧法律事務所

トーランスオフィス

21221 S. Western Ave., #215, Torrance

☎ 310-618-1818

E-mail: info@takilawoffice.com 

www.takilawoffice.com/

※ニューポートビーチにもオフィスあり。

電気・ガス開通手続きや銀行の認証確認に必須

日本で使える携帯電話サービス

 「銀行や公共サービスの登録、電気・ガスの開通手続きなどに必要な電話番号や、滞在中の安定したインターネット接続の確保は、日本で生活する上で重要な基盤となります」と話すのはNXT Square代表の春木孝夫さん。同社は、アメリカにいながら日本の携帯電話番号を取得・利用できるサービスを提供しています。日本の電話番号があれば、銀行口座開設ができるほか、各種オンライン手続きに必要な「SMS認証」もアメリカ国内で受信できるため、帰国準備中の方にとってはとても便利な選択肢です。

 サービスの主な特徴としては、1年契約(月40ドル)で日本国内での通話がかけ放題であることが挙げられます。また、プリペイドSIMカードやポケットWi-Fiなど、滞在期間や利用目的に応じた契約プランも用意されており、柔軟に選ぶこともできます。

   「帰国後もアメリカの電話番号を維持したい、あるいは同じ番号を日米で使いたい場合は、1台の端末で日本とアメリカ、両方の回線を同時に持つことも可能です。ただし、国際ローミングの設定を誤ると思いがけず高額な請求が発生するケースもあるので、契約の際はきちんとサービス内容について確認してください」とアドバイスしています。

取材協力

春木孝夫さん

NXT Square

409 W.  Walnut St. 

Gardena

☎424-408-1885

jw.nxt-square.com 

帰国後にすべきこと

日本での生活の基盤を作るために必要な手続きなどについて、専門家に伺いました。

帰国後01 生活の基盤を作る

Q

日本に移住・帰国する際には、どのような準備や手続きが必要ですか?

A

日本への本帰国や移住をスムーズに進めるためには、少なくとも半年〜1年前からの準備が望ましいとされています。特に左記の点について、事前に確認・手続きを進めておくことが重要です。

主な準備事項

• 銀行口座の開設: 日本での銀行口座開設は、帰国直後の場合、身分証明や住所証明の面で難航することがあります。帰国してからでは時間がかかることもあるため、一時帰国時に、銀行に相談するなどして方法を調べておくと安心です。

• 住まいの確保(不動産購入・賃貸契約): 帰国後すぐに住めるよう、早めの物件探しと契約が理想的です。日本の銀行での送金や支払いには制限があることもあるため、資金移動の計画も立てましょう。

Q

帰国直後に行うべき手続きは?

A

原則として、以下の行政手続きを帰国後14日以内に行う必要があります。

転入届の提出(住民票の再登録)

•住民票の写し取得

 各種手続きに必要。住民票や戸籍謄本は取得・提出を求められることが多いです。

マイナンバーの取得

 マイナンバーは、住民票を再登録すると自動的にマイナンバーが発行されます。番号通知書とカードの受け取り、管理はきちんと行いましょう。

•国民健康保険への加入

 高齢者の医療費の自己負担割合は、年齢や収入によって変わるため事前に確認を。

• 介護保険への加入(40歳以上) 

Q

「身元引受人」や「連帯保証人」「成年後見人制度」とは何ですか?

A

身元引受人は、病気や入院時に手続きをしてくれる人、また亡くなった際に葬儀の手配を行う人です。連帯保証人は、賃貸アパートや老人ホームの入居時に保証人となる人です。親族がいない場合、これらの役割を果たすサービスを利用することもできます。「成年後見人制度」は親族のほか、弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉関係者が務めます。「任意後見人制度(将来、認知症などで判断能力が低下した場合に備える。財産管理・医療・入院・介護契約などを行う)」と「法定後見人制度(認知症や知的障害がある人の日常生活を支援。財産管理と身上監護を行う)」の二つがあります。

Q

日本でのソーシャルセキュリティーはどうやって受け取るのでしょうか?

A

日本に帰国後、アメリカのソーシャルセキュリティーを受給することが可能です。すでに受給している場合、アメリカの銀行口座から日本に送金する方法か、日本の銀行口座に直接入金してもらう方法があります。新規申請の場合は、日本の「日本年金機構」で手続きができます。手続きは、受給開始の3カ月前から可能です。

◉ 日本年金機構

https://www.nenkin.go.jp/

◉米国大使館領事部年金課

https://jp.usembassy.gov/ja/

☎(日本81)03-3224-5000

 (火・木曜日9:00am〜12 :00pm)、E-mail: FBU.Tokyo@ssa.gov

Q

2拠点生活を送る場合、どのようなアドバイスがありますか?

A

体力・経済的に問題がないなら、2拠点生活も選択肢の一つでしょう。一時帰国時に、不動産探しや行政手続きを済ませることが重要です。アメリカ市民の場合、場合によってはビザ申請も必要になってくるので、申請には2〜3カ月の余裕を持ちましょう。

取材協力

 勲さん

日本ライフパートナーズ協会

大阪府大阪市中央区備後町
3-4-8-303 

☎(日本81)6-6484-6814

Email: info@jlp-a.com

トップページ

帰国後にすぐにやるべきこと※1〜2週間以内

①行政手続き 

・区・市役所で住民票登録 

・マイナンバーカードの発行申請 

・国民健康保険・介護保険の加入 

・運転免許の再取得または返納 

②日本の銀行・

 クレジットカード 

・口座の正式開設・オンライン

 バンキング設定 

・公共料金の引き落とし設定 

③生活インフラの整備 

・携帯電話・インターネット契約 

・電気・水道・ガスの開通手続き

④日本の医療機関の登録 

・近所のかかりつけ医を探す 

・健康診断・予防接種の確認

帰国後に継続してやるべきこと※数カ月以内

①生活の落ち着き&

 リズムの確立 

・生活費・光熱費の見直し 

・老後の社会活動・趣味を見つける 

②成年後見制度・介護の準備 

・身元引受人、連帯保証人、成年後見人  

 の選定 

・介護保険サービスの申請

  (必要に応じて) 

③遺言書・相続手続き 

・日本の財産を整理し、子ども

  への相続計画を作成 

・遺言書の作成・公正証書化 

ライトハウス主催 オンラインセミナー

日本への本帰国&2拠点生活および

回遊型生活を考えるフェア

 リタイア後の日本への本帰国や観光、出張、リモートワークなどでの日米の2拠点生活など、私たちの生活様式は多様化しています。将来の暮らし方を考える人へ、日米の企業・専門家が最新情報を2部構成にてオンラインでお届けします。

◉日時:7月8日(火)と10日(木)午後2時30分〜6時まで ※ハワイ時間

◉参加費無料(要予約)

お申し込み: https://bit.ly/KIKOKU25JULY

お問い合わせ:seminar@us-lighthouse.com

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