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本帰国者も二拠点生活者も必読!日本への帰国準備、虎の巻。本帰国者も二拠点生活者も必読!

アメリカに軸を置いた生活から本格的に日本に拠点を移す場合、永住権やパスポートの取り扱い、家を売却した際の日本への送金、維持したいアメリカの電話番号、日本に持ち帰らずアメリカで処分すべき物など、一体どうしたらいいでしょうか。そこで今回は、日米を往復する二拠点生活者を含む帰国者へのアドバイスを、それぞれの分野の専門家に取材しました。

移民法:グリーンカード(永住権)は返納すべき?

永住権保持者が日米を往復して二拠点生活を送る場合は、通常、永住権は保持したままになります。一方で、日本に永久帰国する場合は「永住権は期限が切れたら無効になるので、正式に返却しなくても大丈夫」と思い込んでいる人が多いようです。しかし、永住権の放棄(返却)の手続きをしない限りは、永住権者と見なされ、タックスリターンの義務が生じるため、アメリカでの税務申告の義務から免れるためには、正式な返却手続きが必要になります。そこで移民法弁護士の瀧さんに二拠点生活を送る人の注意点も含めてアドバイスしていただきました。

■永住権の返却方法と注意点

 「永住権(グリーンカード)の放棄は、アメリカ国外にて行う必要があります。アメリカ出国前に、もうグリーンカードは不要だと思い放棄すると、アメリカ出国時、空港カウンターにてグリーンカードの提示を求められた際に提示できなくなってしまいます。これは、アメリカに合法的に滞在していたかどうかの確認のためなので、この手続きがうまく行われていないと、次回アメリカに旅行などで来る際に問題になる可能性があります。永住権の放棄は、『I-407』 というフォームに記入し、グリーンカードと一緒に移民局(USCIS Eastern Forms Center, Attn: I-407 Unit, 124 Leroy Road, Williston, VT 05495)に郵送することにより行います。郵送後およそ半年で、移民局より確認(Confirmation)の手紙が送られてきます。この手紙は、後に、納税申告の手続きなどの際に必要になることがありますので、大切に保管してください」。

■永住権者が二拠点生活を送る場合の注意点

 「日本に本帰国する場合であっても、日本の生活になじめず、アメリカに戻るかもしれない、あるいは、日本とアメリカを行き来する必要があるといった場合は、『Re-entry Permit』 を申請しておくことが賢明と言えます。そうでない場合は、次回のアメリカ訪問の際に、グリーンカードが取り上げられる可能性があります。『Re-entry Permit』は、米国外に長期にわたって滞在していても、米国に戻る意志があると表明することにより、グリーンカードを保持できる制度です。『Re-entry Permit』を申請した場合は、一回の申請で(発行日から)最長2年まで米国外に滞在できます。また、その間のアメリカへの入出国も自由です。『Re-entry Permit』の申請は、『Form I-131』 の申請書にグリーンカード(表裏)とパスポートのコピー、さらに申請料630ドルを添えて移民局に申請します。『Re-entry Permit』の有効期限前の3カ月以内に米国に戻り、更新を行うこともできます。申請には米国内で指紋採取を行う必要があります」。

■米国市民権保持者の永久帰国時の注意点

 「米国市民権保持者(永住権保持者も含め)の方が、その権利を放棄して日本に本帰国する際は、アメリカでの出国税が問題になる場合がありますので、専門の公認会計士、または、税理士に相談されるのが良いと思います」。

日本への送金:家を売却して日本に送金するには?

 アメリカ暮らしの間に購入した家を日本に帰国する前に売却し、それを日本に送金する場合の注意点について、米国公認会計士の石上洋さんに伺いました。

 「まず、売却したお金を日本の銀行口座に送るわけですが、額が大きくなるため、受け取り側の日本の銀行は『このお金は一体何なのですか?』と問い合わせてくる可能性があります。ですので、日本の銀行に送金の時期と金額など事前に連絡しておくことをお勧めします。さらに、その際に大前提となるのが、自分の名義の銀行口座に送るということです。たまに日本の家族名義の口座にそのような大金を送る方がいらっしゃるようですが、家族への贈与と見なされることがあります。そのような疑いを持たれることを避けるために、日本の口座を保持していない方は、事前に一時帰国し、住民票を入れて銀行口座を開設してからアメリカの家の売却益を送金するというのが、一般的な順番となります」。

 また、家の売却益に関しては申告が必要ですが、一定の条件を満たせば夫婦で最大50万ドルまでアメリカ側での控除が可能です。シカゴの公認会計士の藤本光さんは、この点に関して、「通常はアメリカで家を売却した場合、購入時と売却時の差が夫婦で50万ドルまでは課税されないので、それほど心配することはありません。例えば、50万ドルで購入した家が、100万ドルで売れたら、差額(売却益)が50万ドルなので課税はされません。また、家を購入後に改築・増築した費用を購入代金に足すことができるので、この家の場合、50万ドルで購入した家を20万ドルかけてグレードアップしたら、夫婦で120万ドル(家の元値+増改築費用+売却益)までは非課税です。注意が必要なのは、故障した箇所を修繕した場合は改築や増築ではないので、その費用を足すことはできないという点です。またこの非課税制度を受ける条件を満たしているか否かを必ず専門家に確認してください」と解説しています。

家を売却処分して日本に永久帰国する場合の流れ」

① 日本に自分名義の口座を開設

  (住民票手続き、マイナンバーカード手続きなど)

②銀行に事前に連絡を入れた上で、アメリカの家の売却益 

  を①の口座に送る

③日本に本帰国した後に永住権を郵送で返却

④本帰国した翌年春のタックスリターンを申請

(アメリカで収入がない場合はそこでアメリカでのタックスリターン終了。家をリースに出すなど引き続き収入が発生する場合は、その後もタックスリターンの義務が発生。永住権を返却しない場合も、タックスリターンの義務は継続する)

年金:アメリカで貯めた年金、どうする?

 アメリカで10年以上働いてソーシャルセキュリティータックスを納めると、年金の受給資格が発生します。日本に引き揚げた後の受給方法については、石上さんが次のようにアドバイスしています。

 「アメリカに銀行口座を残しておき、そこから日本の口座に送金するか、もしくは年金の振込先を日本の口座にしてもらうことも可能です。アメリカにいる間にソーシャルセキュリティーのオフィスに出向いて手続きをするだけでなく、在日アメリカ大使館内にもソーシャルセキュリティーの窓口が開設されているので、日本側からも手続きができます」。

 ちなみに、日本に本帰国して住所が変わっても、ソーシャルセキュリティーに住所変更届けを提出する必要はありません。住所変更を受け付けるのは、すでに年金を受給中の人と申請中の人のみです。住所変更は、ソーシャルセキュリティーオフィスではなく、米国のIRS(内国歳入庁:Internal Revenue Service)のウェブサイトに行き、「Form-8822」をダウンロードして、IRSに送付します。

 また、個人年金に関して、アメリカに口座を残して少しずつ引き出すべきか、それとも永久帰国の際に解約して日本に持ち帰るべきかについても、石上さんに聞きました。

 「税金をセーブしたいなら、解約はせずに何年にも分けて少しずつ必要額を引き出すのが良いですが、一方でアメリカに残しておいて国を越えて担当者とやりとりするのが面倒だとおっしゃる方は、税金をある程度引かれても一度に解約されますね。しかし、これはどのようなタイプの年金に入っているか、現在何歳くらいか、どの程度の手間がかかってもいいとご本人が思っているかなどケースバイケースの案件です。よって、納得がいくまで担当のアドバイザーの方に相談して説明してもらうのがいいと思います」。

税金:タックスリターンはいつまですべき?

 公認会計士、藤本光さんによると、米国のタックスリターンの義務については、米国市民権を持っている人は世界中のどこにいようと米国の在住者と見なされるため必須だということです。また、永住権保持者も米国市民と同様に、永住権を持っていると米国の税務上の居住者という扱いになります。ですから、移民局(USCIS)に対して永住権放棄の手続き「I-407」を提出し永住権放棄を行い、「Form 8854」を翌年の税務申告で提出することが、税務上の居住者としての義務をなくすためには必要となります。

 「移民局(USCIS)とIRSに永住権放棄の手続きを行わないと、いつまでも『永住権保持者の扱い』となり、たとえ永住権が失効しても同様の扱いは続き、税務申告の義務も継続します。ただし、永住権を取得して8年以下の方は、税務上の永住権放棄の手続きは行わなくてもいいというルールがあるため、8年と1日以上永住権のステータスでアメリカに居住していた方は、『Form 8854』の申請手続きを忘れないようにしてください」と藤本さんは話しています。つまり、「グリーンカードの期間があと少ししかないから、このまま何も手続きせずに永久帰国しても何も問題はない」という自己流の判断をしないことが重要です。

 さらに、藤本さんは税務手続き上、次のようなアドバイスをしています。「税務上でアメリカと日本、両方の居住者になるのは避けた方がいいと思います。日本に永久帰国するなら、アメリカに不動産を持っているなどの収入がない限りは、きっぱりとアメリカの永住権を放棄する手続きを行い、アメリカでの税務上の義務をなくした方がシンプルです。一方、アメリカと日本を行ったり来たりする二拠点生活を送る場合は、日本に拠点を持ったとしても、日本での税務上の居住者にならなければいいのです。どういうことかというと、アメリカの市民権や永住権を保持したまま、日本には、1年のうち4カ月か5カ月程度滞在して、残りの期間はアメリカにとどまるのです。もちろん、日本で収入を得ると日本で申告する義務が発生するため、仕事はしないようにします。いずれにせよ、永住権や市民権などアメリカの資格を放棄するかどうかは、慎重に考えた方がいいと思います。日本では健康保険料や医療費が安く、安全で人々は親切でお風呂にも入れるからと最近は日本への永久帰国者が多いですが、その状況が未来永劫続くとは限りません。何度か様子を見るために一時帰国を繰り返したり、また前述のように日米に二拠点を設けて往復したりするのもよいのではないでしょうか」。なお、前項で解説したように、グリーンカードの返却手続きは日本へ帰国後に行います。

銀行口座:アメリカに銀行口座を残すには?

 前出の藤本さんは、「アメリカの非居住者になっても銀行口座を維持し続けられるかどうかは、銀行ごとのポリシーにより異なります。Permanent Address(永住住所)がアメリカ国内にないと口座維持を認めない銀行も、口座の維持を許可する銀行もあります」と話しています。

 よって、アメリカに口座を残したい人は、現在利用している銀行に、アメリカにPermanent Addressがなくても口座を維持できるかどうかを個別に確認する必要があります。また、藤本さんは「銀行口座がないとアメリカで支払いをする時に困ると思って維持したいと希望される方がいるようですが、最近は、海外への送金サービスも普及しているので、手数料が安く手軽なそれらのサービスを利用するという手段もあります。私も日本からアメリカにお金を送る際、1回の送金上限額が100万円の送金サービスを使っています。あとは日本のコンビニのセブン-イレブンがCitibankと提携しているため、Citibankに口座を持っていれば日本のセブン-イレブンからお金を引き出せるなど、最近は便利なサービスがいろいろとあります」と話しています。

 一方、ハワイに拠点を残す場合や、本帰国であっても銀行口座を維持しておきたい場合の一例として、テリトリアルセービングス銀行のキム(白川)さんに聞きました。「当行は、日本に帰国されてもそのまま銀行口座を保持できます。新住所がわかっている場合にはぜひ帰国前に住所変更手続きをなさってください。ご連絡いただければ帰国後でも変更可能ですが、支店窓口での手続きが一番簡単です」。また、同行のオンラインバンキングについては「モバイルアプリは日本の携帯電話番号ではアクセスできませんが、ウェブサイトからアクセスするオンラインバンキングであれば携帯からでもパソコンからでも利用可能です」といい、オンラインバンキングで対応できない作業が必要な場合には、メールでリクエストを入れればマニュアルでアシストしてくれるといいます。さらに、同行で発行したクレジットカードは、住所変更の上、利用可能ということです。

 口座を残したい場合は、該当する銀行の担当者に相談するとよいでしょう。

携帯の電話番号:アメリカの電話番号を維持できる?

 日本に帰国した後も、さまざまな理由でアメリカの電話番号を維持したいという人は少なくないでしょう。また、二拠点生活で日米を往復する場合も、日本とアメリカで同一の電話番号を使用したい場合はどうすればいいのかについて、専門家に話を伺いました。

 「アメリカを引き揚げて日本に帰国した後、まだ米国に銀行口座が残っている、またはアプリなどのアカウントにアメリカの電話番号を登録していて、認証コードなどがアメリカの電話番号宛に届いてしまうといった理由で、しばらくはアメリカの電話番号を使える状態にしておきたいと希望される方が多くいらっしゃいます」と話すのはH2O Wirelessの担当者。

 具体的には、「日本帰国後もアメリカの電話番号を維持したいケースでは、例えば弊社のSIMカードもしくはeSIMを使ったマンスリープランのように、 国際ローミングサービスがプランに含まれていて、日本にいてもアメリカの電話番号を日本の通信会社の回線を通して利用できるサービスがあります。弊社のサービスの場合ですと、プラン料金をお支払いいただいている限り、またローミングのデータ使用量の上限までを使い切られない限り、アメリカまたは日本の電話番号への発着信およびテキストメッセージの送受信、モバイルデータなどの使用ができます」と話します。

 マンスリープランは同社の場合、30ドルから60ドルのレンジがあり、料金によって使用できるデータ量が違ってきますが、どのプランでも70カ国への国際通話が無制限に利用できます。

 また、日米を往復する二拠点生活者には、国際ローミングを利用せず、日本では日本の電話番号を利用し、アメリカの電話番号は維持だけしておくというプランもあるということです。

 さらに、「弊社のサービスに対する支払いは、クレジットカードでの支払いとなっており、日本発行のクレジットカードであっても海外で利用できる状態であれば登録可能です。さらに、アメリカでの住所がなくなっても申し込めます」ということで、しばらくはアメリカの電話番号を使用し続けたいという帰国者にとっては、便利なサービスと言えそうです。

引っ越し:荷物を日本に送る際の注意点は?

 長期間アメリカに暮らして日本に帰国する場合、愛着ある家具の多くを日本に持ち帰りたいと思う人も多いでしょう。一方で、数年のアメリカ生活だった場合、また長期間であっても、日本で新たなスタートを切るために、断捨離して最低限の荷物だけを日本に送りたいという帰国者も少なくありません。

 そんな人たちのために必要な引っ越しに関する情報に加えて、事前に知っておくべき、引っ越し荷物を免税扱いにするための条件などについて取材しました。

■引っ越し荷物を免税にするには?

 アメリカ在住者が使用していた家具や日用品を永久帰国時に日本に送る場合、引っ越し荷物として輸入できる条件を満たせば、基本的に免税となります。その条件について、Nippon Expressの吉浜さんは次のように話します。「引っ越し荷物はアメリカで(商用ではなく)私用で使っていたということで、免税対象になります。しかし、ここ数年、日本の税関が引っ越し荷物に対して厳しく審査を行うようになっています。(その審査をパスするには)直近の1年間またはそれ以上をアメリカで合法的に滞在していたステータス、日本に帰国後、合法的に滞在できるステータスの証明が求められます。現時点(2024年3月時点)では、有効期限のある永住権所持者の方はグリーンカードと日本のパスポートを提出すれば済みます。しかし有効期限のない永住権所持者やアメリカに帰化して市民になったけれど、実はまだ日本の国籍から離脱していない二重国籍状態の方、またアメリカ人で日本の在留カードを既に取得済みの方は、どちらの国でも生活できるステータスを持っているため、直近の1年間をアメリカで生活していたという証明を求められます。その場合はアメリカでの居住を証明する書類として公共サービスの1年分の請求書を提示していただいています。よくある一例として二重国籍で、かつ『公共サービスの口座の名義は亡くなった夫の名前など自分以外の名義になっている』とおっしゃる方も多く、ご本人がアメリカで生活していたことを証明するのが難しいケースがあります。人それぞれで状況が異なりますので、まずはご自身の状況が、免税の引越荷物として送ることができるか弊社までお問い合わせください」。

 同社の利用者には、家具も含めて多数の箱を送る帰国者も少なくないとか。「比較的早く使いたいものは航空便、すぐに使わないものや大きな家具や壊れやすい家電は船便、などと分けることができます。予算にゆとりがあれば、思い出がある家具なども送ると良いですが、できるだけ引っ越し荷物をコンパクトにしたい場合は、家具の処分も検討しましょう。当社のフルパックサービスをお申し込みのお客様ですと、家具の処分も承っています。もちろん荷造りもスタッフが対応します。ただ、捨てる物、持っていく物の仕分けなどは帰国直前に始めるのではなく、2カ月前などできるだけ余裕をもって始めることをお勧めします」。

 同社のハワイから日本へのフルパックサービスは、航空便が重さ100キロで約1500ドル、200キロで2200ドル。船便は20フィートコンテナに入る荷物量で1万〜1万5000ドルくらいが目安ということです。

■せっかく送ったのに残念…を防ぐには?

 荷物の整理、処分方法についてのアドバイスをYamato Transport USA Inc.(ヤマト運輸)のデラウダー・カツヨさんに聞くと、「量が多ければその分料金も上がるので、最初に断捨離をしていただくとよいと思います。捨てる・ドネーション用・送るもの、という3つに分けていくと、必要な物を厳選しやすくなります」。特に家具については注意が必要だと言います。「家具の値段よりも送料の方が高くなる場合も多いため、日本で新しく購入することをお勧めしています。アメリカの家具は大きいので、日本の家やマンションに対して大き過ぎる場合もあります。キングサイズベッドやソファなどはエレベーターに入らなかったり、家の前の路地が狭くて配達も難しかったりすると、クレーン車を使うことになり、別途費用がかかってしまいます」。

 同店では、「単身プラン」サービスを提供しています。「梱包資材と書類をお持ちしますので、ご自身で梱包、各箱の中身詳細をパッキングリストに記載していただきます」。積載量は、ミニマム、スモール、レギュラー、エクストラと4つあり、航空便でミニマムの場合、重さ125キロ(Sサイズの箱25個相当)までで、ハワイから東京の自宅へは1898ドル(ウェブサイトで地域ごとの見積もりを算出できます)。一方、船便は重さではなく容積によって料金が変動し、ミニマムが0.5立方メートルまでで1750ドル。一番利用が多いのはエクストラで、これらのプランには保険料が含まれています。

 保険の加入に関して尋ねると、「前述の単身プラン以外は、保険はオプションになります。割れ物や壊れ物が多い場合は加入をお勧めします。日本での通関用に各申告金額(今現在の価値)をパッキングリストに記入していただきますが、その申告金額の合計額に対して0・95%が保険料になります(最低40ドル〜)」。

 さらに、国境を越える引っ越しに関する注意点については、「ワシントン条約上、取り扱いができないものは象牙やサンゴ、貝などの装飾品です。また、引っ越しといえども日本での輸入規定が関係してきます。よって、お米や小麦粉、砂糖、スパム、米国での処方箋など送れないものはたくさんあります。輸入規定としては、食品は10キロまで。化粧品、体に使うものは各24個まで。市販薬は2カ月分までになります。船便の場合、コンテナに搭載するため、ワインやチョコレートなどの食品はなるべく手荷物で持ち帰るとよいでしょう」。

 なお、日本へ入国する際に「別送品申告書」の申告が必要です。引っ越し荷物を発送後、日本に到着するまでは、航空便が2〜3週間、船便は2〜3カ月前後が目安となります。

自動車の運搬:日本に愛車を持ち帰れるか?

 アメリカでの愛車に日本でも引き続き乗りたい、または処分したくないので持ち帰りたいと希望する方を対象に、過去30年にわたり、日本への車両運搬を手掛けているのがInterline Corporationです。同社の笠嶋さんに詳しくお話を聞きました。

 「日本に車を持ち帰りたいという場合、さまざまなケースがありますが、先日はスバルのフォレスターでキャンプに行っていたので愛着がある、ぜひ日本に送りたいというお客さまがいらっしゃいました。このように愛着がある車や、大切に乗ってきた高級車を日本に持ち帰りたいというお客さまが多い印象です」と笠嶋さん。

 日本に車両を送るにあたっては本人の所有物であることを証明する必要があり、「Pink Slip(車両登録証)」が必須となります。また、オイル漏れがないかなど車両の良好な状態を確認しておくことも重要です。同社は日本に到着後に必要となる車検代行業者も紹介しています。

 逆に愛着があっても送れないケースについては、「少し前でしたが、水素燃料車を日本に送りたいというお客さまがいました。水素燃料車を送り出すアメリカ側は大丈夫なのですが、それを受け入れる側の日本では、水素燃料車に対する体制がまだ整っておらず、結局、送れなかったことがありました。このように、日本で登録可能な車両かどうかを確認することが先決です」と、全ての車を日本に送れるわけではないので事前の調査が必要だとアドバイスしています。

 費用の一例としては、為替によって変動しますが、24年6月時点でハワイからの1台の輸送費が7000ドル〜(指定倉庫まで搬入できる車のみ手配可能。日本での作業、登録などの費用は除く)ということです。日本で新しく車を調達することを考えれば経済的といえるかもしれません。

 ただし、費用と手続き開始の時期について笠嶋さんは次にように話しています。

 「日本で車検登録が厳しい車種や、各種検査にすぐに通らない場合は、想定していた以上に、余分にお金がかかってしまいます。日本に持ち込める車種なのか、手続きに時間がかからないかなど、前もって調べる必要があるため、帰国直前になると時間が足りなくなる可能性もあります。日本への引っ越しが決まり、車を持ち帰りたいと思ったら、できるだけ早期に車の輸送代行業者に問い合わせることをお勧めします」。ギリギリ直前に動き始めるのではなく、早めの行動を推奨しています。

体験談:私たちの帰国準備の正解と後悔

「苦戦中の再入国許可証、最初から弁護士を雇えばよかった」

S・Dさん

2023年1月、アメリカから日本へ

アメリカ在住年数:9年半

一緒に帰国した家族:夫、愛犬

私はアメリカ人の夫と愛犬と一緒に日本に永久帰国しました。手続き的には夫の日本での在留資格の取得、また愛犬の渡航手続き、アメリカの永住権保持者である私自身の(アメリカへの)再入国許可証の取得が必要でした。夫の在留資格と愛犬の手続きは余裕を持って行っていたので問題がなかったのですが、私の再入国許可証の手続きが大変でした。しかも日本に帰国して1年以上経ちますが、まだ手元に届いていません。私は、帰国前3カ月の時期に弁護士を雇わずに、500ドルほどの申請料を払って移民局に直接申請しました。結局、弁護士に問い合わせたところ「最近は1年ほどかかっている」と聞いて、最初からしっかり調べるべきだったと反省。日米を往復される方やいずれアメリカに戻ってくる永住権保持者の方には、早めに再入国許可証を申請されること、そしてできれば弁護士に依頼することをお勧めします。

 引っ越し荷物は、家具などは売るなどして全て処分、最後は25箱程度を船便で送りました。かなり減らしたつもりでしたが、持って帰ってきた荷物の大半だった衣服は日本の家で収納しきれず、結局半分ほど処分しました。また、高額なので日本でも使おうと思って運んだサウンドシステムも日本では使う機会がなく、こちらも処分しました。

 日本の運転免許証をお持ちでない方は、本帰国前に一時帰国をして住民票を入れてマイナンバーカードを作っておくと楽だと思います。最新のパスポート(2024年2月4日以降に発給申請されたもの)は、銀行口座開設時などの身分証明書として使用できなくなったので、マイナンバーカードもしくは運転免許証が必要です。ちなみに私は日本の運転免許証を持っていなかったので、マイナンバーカードを取得してからやっと口座を開設できました。

「日本の家は想像以上に狭い、アメリカから送った食器棚を結局処分」

H・Aさん

2019年2月にアメリカから日本へ

アメリカ在住年数:17年

一緒に帰国した家族:夫

日本に引き揚げたらアメリカに戻ってくるつもりはなかったので、大きな家具は全てSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のマーケットでただ同然で売ったり、不要品をまとめて引き取ってくれる業者に渡したりして処分しました。ただ、嫁入り道具の大きなタンスと高価な食器棚は処分するには忍びなくて、船便で日本に送りました。

 ところがまず、日本の家にその大きな食器棚が入りませんでした。食器棚だけでなく嫁入り道具のタンスも大き過ぎて処分することに。業者さんに「こんな大きなサイズの家具は今では売れません」と言われ、お金を払って引き取ってもらいました。日本で実感したのは、アメリカほど不要品を処分するのが簡単ではないということです。アメリカだと売ったり譲ったりする以外にも、「Goodwill」や「Salvation Army」に持ち込めば物を引き取ってくれます。さらに、思っていた以上に日本の家は狭いです。ですから、家具を日本に送るならば日本の部屋の正確なサイズやドアの開く向きなどを調べた上で、こちらで使っていた家具がフィットしなさそうであれば日本にわざわざ送る前にアメリカで人に譲るなり、売るなりして片付けてしまうことを強くお勧めします。

 わが家の場合は、処分できなかった物が段ボール箱200個以上になりました。それを日本に送ったわけですが、思い入れがあったり、どうしても必要になったりする物以外は処分してしまえばよかったと思います。私は日本舞踊を教えているので、たくさんの着物や踊りの道具は絶対に必要なのですが、それ以外の物は必ずしも必要というわけではありませんでした。

 思い入れがあって処分できない私のような人は、アメリカの荷物を整理するときに第三者である友達に手伝ってもらうといいと思います。一人でやると仕分けに時間がかかります。でも、思い入れがない友達だと「それ、必要ないんじゃない?」「日本では使わないんじゃない?」と的確な指摘をしてくれて、仕分けがはかどるはずです。

 帰国してから荷解きをして、それを配置するのにも気力、体力が必要です。アメリカと違って人との距離が近く、感じたことがなかった精神面のストレスも感じるかもしれません。ですから、アメリカを出る前にできる限り身軽になって、日本に送る荷物を最小限にした方がいいというのが、200個以上の荷物を送って苦労した私からのアドバイスです。

「愛犬や愛猫と一緒に日本へ帰国する際の手続き」

アイナハイナ動物病院 阪本誠獣医師

ハワイで生まれ、またはハワイに6カ月以上滞在歴がある

犬や猫の帰国の手続きは、以下の4つを満たせば、出国の

条件を満たせます。

①国際基準を満たしているマイクロチップ(15桁)の装着

②日本到着の40日前までに、到着予定の空港の検疫所への

 事前届出

③出発日から数えて10日以内にハワイの動物病院で輸出前検査

④後日、証明書の取得

今は証明書がオンラインで取得できるので、プロセスはかなりスムーズになっています。また、ハワイは数少ない狂犬病が存在しない「指定地域」に認定されているため、日本入国にワクチンも血液検査も必要ありません。アメリカ本土から日本へ入国する場合は、もっと複雑な検査やワクチン接種が必要です。

最新情報は、農林水産省の動物検疫所のウェブサイト(https://www.maff.go.jp/aqs/)で確認してくださいね。

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