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アメリカに住んでいるんですもの。せっかくならエンジョイしたいMLB(Major League Baseball)。今回は、西海岸の球団を中心に、知れば野球観戦が楽しくなる、そして球場に足を運んでみたくなるあれこれをご紹介します。

おさらい!MLBのしくみ

 MLBは全部で30チーム。American LeagueとNational League2リーグ15チームずつに分かれ、本拠地の場所によってさらに所属地区がCentral、East、Westに分かれます。レギュラーシーズンの試合を経て、各リーグから地区1位3チームと、地区2位以下で勝率の高い上位3チーム(Wild Card Teams)の計6チームがプレーオフに進出。つまり、地区優勝しなくとも、リーグ上位6位までに入ったチームはプレーオフの出場権が得られます。その後、「Wild Card Series」「Division Series」「League Champion Ship Series」と順に試合を進めてリーグ1位を決定。最後に両リーグ1位同士の対戦「World Series」が行われ、ここでMLBの年間チャンピオンが決まります。

オールスター戦の投票方法は?

 2024年のオールスター戦は7月16日(火)、Texas Rangersの本拠地Globe Life Fieldで開催。見に行くのは大変ですが、投票なら誰でもインターネットで行えます。詳細はMLB公式サイト(https://www.mlb.com/all-star)に6月時点で公開されている予定です。

 昨年の投票と選手決定の流れは次の通り。5月31日にPhase1(約2週間)がスタート。期間中、1メールアカウントで1日5票まで投票可能。その際、ノミネートされていない選手の名前を1人まで書くこともできます。Phase1で両リーグの各ポジション上位2位(外野6位まで)の得票者はオールスターに出場が決定。それ以外の上位選手はPhase2の候補者になります。Phase2(4日間)でファンは1メールアカウントで1日1票のみ、最大合計4票まで投票でき、ここで両リーグ各ポジションから勝者(外野手は3人)を選出。さらに選手投票とコミッショナー事務局投票も行い、各リーグのメンバーを決定します。

※24年は日程や投票方法が変わる可能性があります。

知っておきたいMLBルール

①Pitch Clock

 投手はボールを受け取ってから制限時間内に投球動作に入らなければなりません。ランナーがいない場合は15秒、ランナーがいる場合は18秒(23年は20秒)。違反するとペナルティーとして1ボールが与えられます。また、バッターとキャッチャーにもピッチクロックは適用され、それぞれ制限時間内に規定の動作に入らなければなりません。

②Mound Visit

 マウンド訪問(コーチらがマウンドに行き選手と話し合う)は1試合あたり4回まで。もし、8回終了時までに4回訪れてしまったら9回に追加で1回だけマウンドに行けます。

③Automatic Runner

 別名「Ghost Runners」。延長戦ではランナーを2塁に置いたところからイニングを開始します。

 その他、マウンドでウォームアップした投手は最低でも1人のバッターと対戦する、本塁から1塁へのランナーレーンの幅が広くなるなど、24年はいくつか変更点が加えられました。「野球は試合時間が長い」「いつ終わるか分からない」などの声を受け、MLBでは試合時間の短縮を目指しており、これらの変更はその一環です。これまで3時間以上かかることの多かったMLBの平均試合時間は、23年に導入したPitch Clockが功を奏し、2時間42分に。しかし、選手への負担が大きいとして選手会はPitch Clockに反対の声明を出しています。

安くチケットを取るコツは?

 できるだけ安くチケットをとるコツはいくつかあります。

◆平日(特に月火)を狙う。

◆人気のないチームとのカードを狙う。

◆学割やシニア割引を活用する。

◆チームの公式サイトで「Value Game Day」や「Promotion Day」を探す。例えばT-Mobile Parkでは10ドル、Oracle Parkは9ドルスタートの日もあります。

◆セカンダリマーケット
(「StubHub」や「Ticket Master」)で探す。「SeatGeek」はMLB公式のチケットマーケットプレイスで、各チームの公式サイトから購入リンクが張られています。席や値段にバラつきがあるので、数社を比べてから購入しましょう。

◆球場を選ぶ。例えば24年4月の週末の試合を球団公式サイトで購入しようとすると、Dodger Stadiumのチケット最低価格は25ドル、T-Mobile Parkは26ドル、Petco Parkが28ドル、Angel Stadiumは19ドル、Oakland  Coliseumは17ドル(編集部調べ)でした。移動が可能なら、安い球場を目指すのも手です。

ホームランボールはどうしたら取れる?

 一般的にホームランボールが落ちやすい席は、黄色いファウルポールの脇。2016年にチケットプラットフォームの「SeatGeek」がESPNのデータを使い調査したデータによると、西海岸の球場でホームランの落ちやすいセクションは各球場それぞれDodger Stadiumが309、Petco Parkが133、Oracle Parkが139、Angel Stadiumが238、Oakland Coliseumが147、T-Mobile Parkが108となっています。

 ちなみにMLBの関連ウェブサイト「Savant」(https://baseballsavant.mlb.com/)では、MLBプレイヤーのデータを可視化して提供。23年の大谷翔平選手、鈴木誠也選手、ラーズ・ヌートバー選手のホームランやヒットの落ちた場所を、Dodger Stadiumに当てはめると図の通りになります。試合で座席を取る際の参考にしてみてください。通常、ホームランボールは取った人が持ち帰れますが、記録に関わるようなボールの場合、保存の目的で球団が返還を求め、記念品などとの交換を交渉することがあります。

 また、早めに球場に入れば、フィールドでの練習を見ることもできます。通常はホームチーム、対戦相手の順に練習。運が良ければ練習中のボールが飛んできたり、選手に声をかけてボールをもらったりできるかもしれません。ただし、座席や通路の移動はマナーを守って。


出典:Savant(https://baseballsavant.mlb.com/)

西海岸球場案内

西海岸には六つのMLBチームと球場があります。

個性豊かな球場に、ぜひ足を運んでみて。

▶全ての球場で、医療医薬品とオムツや離乳食など乳幼児に必要なものの持ち込みは許可されています。

▶手荷物のルールは変わることがあるので、お出かけ前には必ず公式サイトでご確認ください。

※選手コメントは青池奈津子氏(p.11)提供。

Los  Angeles  Dodgers


© Los Angeles Dodgers

大谷選手の移籍で、注目度急上昇中のDodger Stadiumは、収容人数MLB最多で、西海岸で最も古いスタジアム。LA Dodgersのベテラン、クレイトン•カーショウも「ドジャースタジアムは野球の象徴みたいなもの」と語っています。2021年の大改修では、キッズエリアやフードスタンドなどを含むCenter Field Plazaを増設しました。これまでの改修で一貫しているのは、ミッドセンチュリースタイルの踏襲。色使いや特徴的なブロックのパターン、金属の飾りは、新しいスペースを作る際にも受け継がれています。左右対称の建物の美しさを堪能したいなら、ホームベース側の2、3階席での観戦が良さそう。球団でアジア太平洋オペレーション・ディレクターを務める佐藤弥生さんは、「1階は臨場感がありますが、個人的には2階の内野席がおすすめ。少し高い位置からフィールド全体を見られる方が好きです」と話します。また、センターフィールド前は通路になっていて、歩くと選手と同じ目線で臨場感が味わえます。

【バッグポリシー】

▶12×12×6in.未満の透明なプラスチックバッグは可

▶5×8×2in.未満のバッグ(透明でなくてよい)は可

▶食べ物は12×12×6in.未満の透明な袋に入れられていれば可

▶1L以下のノンアルコール飲料のペットボトル(未開封)は可

【Stadium Data】

▶Capacity/5万6000人

▶1000 Vin Scully Ave., Los Angeles

https://www.mlb.com/dodgers

佐藤さんに聞きました。おすすめ球場グルメは?

定番は、World Famous Dodger Dog、ヘルメット型の器に入ったカルネアサダナチョス、ピーナツバター&ジャムの揚げサンドイッチなど。お寿司、たこ焼き、チキンカツサンドなどの日本食や日本ブランドのビールやウイスキーなども充実しています。インスタ(@dodgerstadiumfood)で、最新グルメをチェックしてください。

Dodgers観戦ならこの日!

◆6/13(木)…山本選手ボブルヘッド(先着4万人)

◆7/2(火)…Japanese Heritage Night
(ユニフォーム付きチケットパック)

◆8/19(月)…Hello Kitty Night
プレゼント(先着4万人)

その他、詳細はDodgers.com/Promotionsへ。

金曜の試合後はドローンショー(年内10回予定)が
ある他、花火が上がります。

試合日は11のストアと30のキオスクがオープン。ロゴ入りキャップや大谷選手と山本選手のTシャツが人気です。Top of the Park Storeは毎日営業

スタジアムツアー

https://www.mlb.com/dodgers/ballpark/tours ◆$30◆約75分

場内のさまざまな場所を訪れ、球団と球場の歴史を学べるツアー。月・水・金・日曜の午前10時30分と午後12時30分は日本語ツアーを行います。他にクラブハウスツアー、MLB初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンがテーマのツアーなど各種ツアーあり。

San  Diego  Padres


© Matt Thomas/San Diego Padres

20周年で観客スペースを一新

キッズフレンドリー、地元で行列ができるレストランの出店など、誰もが楽しめる工夫が凝らされたPetco Park。地元のブルワリーが多く出店しています。24年に2000万ドルをかけて観客スペースのGallagher Squareを一新し、キッズプレイエリアや芝生席ができました。海のそばの開放的な雰囲気で、「あのビーチ感を味わえるユニークさは他にはないね」とはブレイク・スネル(Giants)。ブルペンが観客席から近いので、至近距離でダルビッシュ選手や松井選手を見ることができるかもしれません。立地が良く、試合前後に街歩きも楽しめます。

【バッグポリシー】

▶12×12×6in.未満の透明なプラスチックバッグは可

▶5×7in.未満のバッグ(透明でなくてよい)は可

▶包装された食べ物は可

▶1L以下の空の水筒は可。1L以下の透明なプラスチック製ボトル入りの水(未開封)、紙など柔らかい容器入りの牛乳やジュース(未開封)は可

スタジアムツアー

https://www.mlb.com/padres/ballpark/tours/daily

◆$38◆約80分

選手やスタッフだけが入れるエリアなどをツアーで見学できます。ガイドが球団と球場の歴史を案内。不定休で、催行日は1日3回ツアーを実施。ストローラー可。「パドレスメンバー」になるとツアーチケットが割り引きになります。

San   Francisco   Giants

海の真横にあるスタジアム

サンフランシスコ湾に面したスタジアム。ライト側3階席からは海とベイブリッジが見え、30球団で最も美しい球場の一つです。「後ろに広がる景色は言葉では言い尽くせない美しさ」とはブランドン•クロフォード(Cardinals)の弁。海風が強くて寒いので、真夏の観戦でも防寒対策は忘れずに。ガーリックの名産地ギルロイが近く、ガーリックフライがおいしいことでも知られています。

【Stadium Data】

▶Capacity/4万2300人

▶24 Willie Mays Plaza, San Francisco

https://www.mlb.com/giants

スタジアムツアーは30ドル(90分)。不定休で予約を推奨。試合中、湾には海に落ちてくるホームランボールを狙うカヤックがたくさん浮かんでいます

Los  Angeles  Angels

© ANGELS BASEBALL

まるでテーマパークな野球場

アクセス至便のコンパクトな球場。ウォルト・ディズニー・カンパニーが球団を所有していた時代もあるためか、外野席の人工の滝、入り口のミッキーマウスの像など、どことなくテーマパークっぽさのある球場です。子ども向けのアトラクションも多く、ファミリーフレンドリー。場内にはマイク・トラウト選手が獲得したMVPの盾や、昨年度まで在籍していた大谷選手の功績を讃える展示もあります。選手目線では、テイラー・ウォード(Angels)曰く「スタジアム内の照明がすごく良くて、選手にとっては1番プレイしやすい球場だと思う」だとか。

【バッグポリシー】

▶12×12In.以下のジッパーかフラップの付いたバッグや財布は可

▶12.75×6.5×12.75In.未満の、ポケットの無い透明なバッグは可

▶透明なプラスチックバッグ(1Gal以下)入りの食べ物は可

▶1L以下の透明なプラスチック製ボトル入りの水(未開封)は可

【Stadium Data】

▶Capacity/4万5603人

▶2000 Gene Autry Way, Anaheim

https://www.mlb.com/angels

スタジアムツアー

https://www.mlb.com/angels/ballpark/tours

◆$20◆約75分

フィールドに立ったり、選手や監督が普段使用しているダグアウトやプレスルームを訪れたりするツアー。1日3回開催。日本語ガイドのツアーを希望する場合は、 ballparktours@angels.comへ問い合わせを。

Seattle   Mariners

開閉式屋根の都市型球場

ダウンタウンに近く、公共交通のアクセスも抜群の都市型スタジアム。雨の街シアトルならではの開閉式屋根を完備し、試合が雨天で中止になることがありません。フードが充実しており、地元の人気店が多数出店。シアトルグルメと地ビール、ローカルワインも楽しめます。イチロー熱はいまだに冷めず、今でもショップでは「51 Ichiro」と書かれたTシャツなどのグッズを販売。運が良ければ、試合前、フィールドで練習に参加するイチロー氏を目撃できるかもしれません。球場をたっぷり堪能したい人は、通常の開門より30分早く入れる場内のバー 「Pen」へどうぞ。

【バッグポリシー】

▶12×6×12In.以下または1Galサイズの透明なバッグは可

▶4.5×6.5In.以下のクラッチバッグ(透明でなくてよい)は可

▶1人前サイズの食べ物、32oz以下の透明なプラスチック製ボトル入りの水(未開封)、柔らかい容器入りの牛乳やジュース(未開封)は可

▶32oz以下の空の水筒(プラスチック製)は可

【Stadium Data】

▶Capacity/4万7943人

▶1250 1st Ave. S., Seattle

https://www.mlb.com/mariners

開閉式ドームが閉まるとこのように(上)。球場のあちこちにイチロー氏の写真などがあります(左)

スタジアムツアー

https://www.mlb.com/mariners/ballpark/tours

◆$20(No Game Day)または$40(Game Day)◆約75分

選手、コーチ、スタッフ以外は立ち入りが禁止されているエリアを訪れるツアー。オーナーズスイートルームやインタビュールーム、クラブハウスなどに潜入し、フィールドに降り立つこともできます。ストローラー可。

Oakland   Athletics

© Jordan Park c/o Visit Oakland

今年を最後にスタジアムが移転

ラスベガスへの移転が決まり、この球場でOakland Athleticsの試合が見られるのは今年が最後(来年は移行期間としてサクラメントが本拠地になる予定)。行くなら今年しかありません。コンクリート剥き出しの無骨な球場は広いため、ホームランが出にくく、投手に有利。MLB球場の中でも1番チケットが安いと言われる穴場の球場で、MLBには珍しく、楽器など鳴り物の持ち込みがOKです。

現在、スタジアムツアーは行っていません。2011年には、ブラッド・ピット主演の映画『Moneyball』の舞台にもなりました

【Stadium Data】

▶Capacity/6万3000人

▶7000 Coliseum Way, Oakland

https://www.mlb.com/athletics

MLB日本人選手選手名鑑

特別エッセー

私を野球に連れてって

文:青池奈津子

 私は野球場で見る夕焼けがこよなく好きです。特に西海岸の球場は、上の階からは心地良い青空からオレンジ、ピンク、紫と夜の帳が美しく下りる様子がよく見え、フィールドの緑とのコントラストが抜群。その時間になるとこっそり記者席を抜け出し、景色が良い最上階で観客に混じって束の間の休憩を取っていたりします。中でも丘の上にあるDodger Stadiumはダウンタウンのビル群から遠くの山まで見える景観に古い球場らしいノスタルジックさが相まってグッとくるので、初めて訪れる友人には「絶対に見てね」と何度も念を押すポイント。

 でも、ビールが好きなら、やっぱり太陽が照っている時間がいいかなぁ…。

 取材歴18年と聞くと「よほど野球が好きなんですね」と言われるのですが、私は日本の女子校出身で間近で野球をしていた友人もいなければ、甲子園も見たことがないし、野球記者という仕事も、自分が実際にやるまでイメージしたこともないタイプ。唯一接点があるとすれば、母がやたらMLBが好きだったこと。

 「球場の雰囲気が何よりも好きだったみたいだよ」

 すでに亡くなっているので理由は定かではないけれど、父曰く、約30年前にアメリカ駐在で住んだシカゴでWhite Sox戦を観に行き、その壮大さやスタジアムの躍動感に感動してから観るようになったそう。

 野球場を英語でBall Parkと言ったりしますが、語源はその昔、公園や広場の一角で野球が行われていたからとか。野球場は言うなれば客席が付いた大きな「公園」。売店があり、グッズも売っている公園なので、お子さんからお年寄りまで気軽に来て、外の空気を吸い、太陽の光を浴びてビタミンDを生成しながら野球を楽しんでください、とそんな場所。ボストンにあるMLB最古の球場Fenway Parkをはじめ、Petco Park、T-mobile Parkなど、ホーム球場に親しみやすくParkと付けているのは30球団中13球団。どの球団もコミュニティーとの絆を大事にしていて、試合前に子どもたちのイベントをしたり、地域の人たちを表彰したりと趣向を凝らしています。

 確かに大まかなルールは知っていた方が、試合の状況が分かるのでより楽しめるけれど、実際は野球の知識がなくとも、試合への期待感、売店での食事選び、すれ違うお客さん同士の陽気な挨拶から始まって、ホームランが出た時にワッと湧く客席、野手が猛ダッシュの末に見事にダイビングキャッチした時の高揚感、はたまた大事な局面でピッチャーが投げる瞬間に「ゴクン」と4万人の観客が一斉に息を呑む"一体感"が多くの人を野球場に引き込むのではないかと私は思います。

 「野球の試合は長い」「シーズン162試合なんて多過ぎ」。そんな風に言う人の気持ちもよく分かります。2018年に7時間20分もかかったDodgers対Red Soxの試合を半泣きで見ていましたから。

 でも野球も進化していて、去年導入した投球に時間制限を付ける「ピッチクロック」で、何年も3時間超えだった平均試合時間が2時間40分に。中には2時間を切る試合もあり「せっかくスイートルームを取ったのに楽しむ時間が足りなかった!」と、試合が終わってもなかなか帰らないファンらを目にするほど。

 そんなわけで、野球を観に行く時は余裕を持って試合開始の1時間前には着いてね、と友人らにはアドバイスします。Dodger Stadiumだけは、ラッシュアワー渋滞、駐車場に車を停める時間、スタジアムまで丘の上に向かって歩く時間を考え、2時間前。特に大谷翔平選手のグッズを買いたい場合、品ぞろえがいい大きなショップは開場後すぐに行かないと入店にも会計にもそれぞれ20〜30分並ぶので、覚悟が必要です。ただ、ここだけの話、同じグッズでもMLBオンラインショップの方が値段が安かったりするので、懐と時間を考えたらぜひオンラインで。

 その分空いた時間で、球場内を探索してほしいです。ほとんどの球場が、VIPやスイート席など特別エリア以外はぐるっと歩き回れる構造になっているので、写真を撮って回るのも良し、違う角度からフィールドを眺めるも良し、食べるものを物色するのも良し。

 また懐の話になりますが、飲食代がかなり高騰してしまっているので、お弁当やスナックを持参するのも手です。飲み物はノンアルコールに限りますが、封が開いていない透明のペットボトルなら持ち込めるところが多いので、プチ節約術としてオススメです。

 試合の30分ほど前になると先発投手がウォームアップをしにブルペンに出てくるので、外野近くの客席へ行き、投球がミットに収まる音を間近で聞くのも球場ならでは。開始15分ほど前に席に着いていれば、選手紹介があり、気分がグンと高まったところで、国歌斉唱をゆっくり味わえます。球場中が手を止め、それまで音楽などで騒がしかった球場が静まりかえり、選手もファンもスタッフも立ち上がり帽子を取ってその日の歌い手に聴き入る瞬間。神聖な気持ちにさせてくれるので、私は夕焼けの次に好きな時間です。

 「プレイボール!」

 開始の合図があったら、あとはのんびり野球を眺めるだけ。

 少し玄人目線だと、試合の第1球にストライクが出るのはホームの投手にとって優位になり、映えあることとして拍手が上がります。そんなところを楽しみに観てもいいかもしれません。

 私の野球の楽しみ方はこんな感じですが、皆さんは野球のどんなところが好きですか?

あおいけなつこ◉元中部日本放送アナウンサー。現在はLA在住の女優でBBWAA(全米野球記者協会)所属のMLBライターとしても全米を飛び回る。『東京スポーツ』新聞で『元局アナ青池奈津子のメジャー通信』を連載中。

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