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Roy’s オーナーシェフ ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル 創始者 ロイ山口

ハワイで初めて「料理界のアカデミー賞」といわれるジェームズ・ビアード賞に輝いたシェフであり、『ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル』創始者でもあるロイ山口さんに、人生の転機について伺った。

神奈川県の座間にある米軍基地で育ち、18歳まで日本に住んでいました。16歳のときに料理教室に参加したところ、女子14人に男子が2人と女の子がたくさん! そんなクラスで習う料理がものすごく楽しくて、将来シェフになろうと決意。高校卒業後、NYの名門料理学校「カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ」に入学しました。

もちろん、女の子だけが理由ではありません。家族の影響も大きかったのです。祖父はマウイ島でレストランを経営。父は料理好きで、夕食は父の担当でした。週に1度はビーフカレーで、初日はハワイ風のスープっぽいビーフシチュー。それが余れば翌日はカレーのルーを入れて特製カレーに変身。2日分のだしがたっぷり出て、これがおいしい! こんな経験から自然にシェフへの道を選びました。

最初に働いたビバリーヒルズの『レルミタージュ』での経験は私のシェフ人生に大きな影響を与えました。店のオーナーは『ボキューズ・ドール賞』の創設者であり、三つ星シェフのポール・ボキューズをはじめとする有名シェフと友達。彼らがよく店に来ては料理フェアを開催したので、直接有名シェフたちから料理のノウハウを学べた奇跡ともいえる経験でした。

その頃から、フレンチと和食を融合させた自分のスタイルを確立。たとえば、オイスターとウニ、白菜を一緒に調理してワカメクリームソースで仕上げるなど一風変わった“ユーロ・エイジアン・フュージョン”を考え付いたのです。28歳でそのアイデアを活かした『385ノース』というレストランをオープン。300席の大型店で開店当初は満員でしたが、飽きっぽいLAの人は新店がオープンするとすぐそちらに流れ、破産寸前まで追い込まれました。

LAでの経営不振を乗り越え、ついにハワイで開業

ハワイのいとこから、ハワイカイのハイウェイ沿いにいい場所があるからハワイに来ないかと誘われたのです。ワイキキではなく郊外ということで反対する人もいましたが、コミュニティーに属したレストランが目標だったので、1988年12月に『ロイズ』をオープン。初めてのハワイ進出でした。運が良かったのは、オープン半年前に、有名な『ボン・アペティート・マガジン』というフードマガジンに13ページもの私の特集が組まれたこと。私の顔写真が大きく掲載され、表紙には私の料理。「近日ハワイにレストランをオープン!」と紹介されるなどラッキーなスタートでした。また、出演したTVショーは6年も続き、ハワイの食材を通して人々のライフスタイルを紹介できたことが、『ハワイ・フード&ワイン・フェスティバル』創設に繋がりました。

毎年チケットが完売する人気のイベントとなり、農水産業の関係者やホテル、航空会社、レストラン等が協力しながら成長。過去8年で2億円以上をコミュニティーに還元しました。またハワイの料理学校の生徒が、世界中から来た有名シェフのそばで学ぶという貴重な経験も提供。有名シェフも生徒と一緒にハワイの食材を使って作り、先生になり生徒に教える。そんなハワイの次世代を育てるインパクトのあるイベントに関わってこられて本当に幸せです。

コミュニティー貢献活動「Hawaii Youth Impact Program 2019」

Roy Yamaguchi
◎1956年東京都生まれ。NYの料理学校、カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカを卒業。1988年、ハワイに自らのレストラン『Roy’s』をオープン。ジェームズ・ビアード賞の「北西太平洋地域ベストシェフ」に輝いた初のシェフ。1992〜97年、TV番組”Hawaii Cooks with Roy Yamaguchi”に出演。2011年、ハワイ・フード&ワイン・フェスティバルを創設。

(2019年8月16日掲載)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年8月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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