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Pan Pacific Retail Management (USA)社長&CEO/PPIH海外事業統括責任者/北米事業責任者 松元和博

日本国内でドン・キホーテなどを運営し、アジアやアメリカにも多様な業態を展開するPPIH。ドン・キホーテでアルバイトとして働き始め、現在PPIH海外事業統括・北米事業責任者、松元和博PPRM(USA)社長に聞いた。

 

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 人生の転機は、ドン・キホーテで働き始めたことです。1995年、学校卒業後の数カ月、就職もせずに千葉県木更津市の実家にいたところ、ドン・キホーテの4店舗目が地元に開店すると聞き、アルバイトとして働き始めたのがすべての始まりでした。

 熱く勢いがある会社で、陳列、ポップ、チラシ、発注、商談に至るまで、アルバイトの私にどんどん任せられました。戸惑い、苦労しながらも、自由度が高く、結果が評価され、やりがいがありました。思えば、当社は店舗スタッフが仕入れから販売まで自由裁量権を持つ権限委譲を根底としているのですが、当時にそれが確立されていたわけです。

入社23年で海外に初挑戦。ワンチームで課題解決を!

 5カ月後には社員となり、企業の成長とともにチームをまとめる任務を担うようになりました。フード・リカー・マーチャンダイジング開発本部長と、海外事業サポート本部長を兼務し、人材を海外へ送り出していたとき「専門学校卒業の自分が海外で挑戦する機会は今しかない。自分が行こう!」と思い、創業者に意思を伝えました。2019年、ドン・ドン・ドンキ1号店を開店して2年目となるシンガポールに赴任しました。これがもう一つの転機です。

 その後に起こったのがコロナのパンデミック。海外旅行や外食が減ったことにより、ドン・ドン・ドンキは売り上げを順調に伸ばしました。「海外で実績を上げるのはそれほど難しくないぞ!」と私は有頂天に。ドン・ドン・ドンキのコンセプトである日本の商品がこれほど受け入れられたのだから、日本食も来店客数も定着させることができると考えていました。

 ところがアフターコロナは、多くの人が外食を復活させ、日本の商品を扱うリテールも増え、円安で日本へ行って買い物をする人が激増し、業績が伸び悩みました。

 改めて、良質の日本産を低価格で販売できる我々の強みに立ち返り、施策を練りました。そんな中の2022年、北米事業の責任者としてハワイ・米本土を統括することに。

 あれから3年、アメリカはさらに難関です。数々の課題をクリアするキーワードはワンチーム。M&Aを戦略とする中で、企業文化が違う従業員をワンチームにするのは日本でも至難の業ですが、アメリカでは、それに加えて人種も言語も文化も異なります。問題が起こったときは、関わるメンバーを集め、目的を認識してもらい、解決へと導きます。「社員に好かれるのは半年に1回でいい。チームで結果を出すことが皆の満足度につながる!」と、一緒に走りながら、企業理念を明文化した「源流」を浸透させ、全米6000人の従業員のワンチームを目指しています。

全米に店舗展開を目指し

日本の文化を届けたい

  来年はハワイにドン・キホーテが開店して20年。この地で長く続けていきたいですね。米本土でも、コロナ禍での巣ごもり需要として、若い世代がアニメなど日本文化に興味を持つようになり、惣菜や弁当などの中食の需要も高まりました。高いポテンシャルがあるので、全米に拡大して日本の文化をより多くの方に届けることがゴールです。

日々の現場でのコミュニケーションも大事にしている

まつもと・かずひろ◎1973年千葉県生まれ。1995年日本工学院専門学校卒業。1996年株式会社ドン・キホーテ入社。現在、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)取締役兼常務執行役員CMO(Global)、海外事業統括責任者兼北米事業責任者、Pan Pacific Retail Management (USA) Co.社長・CEO、Pan Pacific Retail Management(Asia) Pte.Ltd.Vice-President COO/Director。

※このページは「ライトハウス・ハワイ」 2025年6月号掲載の記事です。

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