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権兵衛、はな火、くるくる寿司。日本の味で在住者の胃袋を満たしてきたレストランのオーナー家族、長女の後藤英里奈さん。カカアコにオープンしたばかりの惣菜店『Oh! Sozai』の社長になるまでの転機を伺った。

 

 

家族でハワイに移住したのは1984年。4歳のときでした。空港で大勢の親戚や友人たちに見送られ、私たち家族は泣きながら日本を発ったという記憶があります。

まもなく父と母は『権兵衛』という和食レストランを開店させました。両親は忙しく店を切り盛りしていたので、私が毎日学校から帰る場所は家ではなく店! 仕込みの時間は店内のイスを向き合わせてベッドを作ってお昼寝し、夕食は、カウンターの端の席で、いつもご飯とお味噌汁と手羽先とつくねが定番でした。

 

家族のサポート感覚から従業員をまとめる意識へ

高校を卒業後、当時『京や』内で両親が経営していたレストラン『はな火』のサポートに入りました。最初は洗い物を担当。当時お付き合いしていた今の主人も誘って二人で食器を洗っていました(笑)。毎日おしぼりを持ち帰り、洗濯し、スプレーをして丸めて翌日用におしぼりの準備をするのも日課でした。やがて、従業員のトレーニングや雇用など、全般の業務に携わるようになりました。

物心ついたときから、兄二人を含め家族が一緒に働き、本当に一生懸命な家族の姿を見て育ったので、店で働くのは自然な流れでした。店が一番という自分の中での優先順位も決まっていました。

でも、週末は店を休めないので友達が遊びに誘ってくれても断ったり、大学入学後に、ランチ営業を始めることになり、退学を決意するなど、やはりストレスもありました。

2002年に『くるくる寿司』をアイエアにオープン。2012年にはカハラモール内に2号店を出店し、両店舗を往復するめまぐるしい日々に。そのとき、転機が訪れたのです。初めて両親がいない中で80人の従業員と働く状況となり、自分がそれまで両親の下で店を〝手伝っている〟感覚だったことに気付きました。私はオーナー家族として従業員をまとめていくためにステップアップをしなくてはならないと、意識が変わり、覚悟を決めました。

 

 

お客さまが一番大切という父の思いを継いでいくこと

料理が大好きな父が、安心できる食材を使って手作りしたおいしいものを提供したいという思いで、昨年11月、カカアコに『Oh! Sozai』をオープンしました。父に「社長を任せたい」と言われ、引き受けました。

父が昔から今に至るまでいつも言ってきた言葉は、「お客さまが第一。第二は従業員、オーナー家族は最後だ」ということです。家族でケンカをしても、体調が悪くても、お客さまには関係ないこと。完璧な味とサービスを徹底しなくてはならないと思います。従業員に対しても常に一定の態度で接することが大切です。夫も同じ会社で働いていますが、仕事では従業員、家に帰ったらだんなさま、と切り替えるようにしています。もちろん葛藤もありますが!

社長であっても、おしぼり準備をしたり、お客さまへお茶を出したり、何でもします。今後の目標もありますが、一番大切なことは毎日料理とお客さまをしっかり見ていくことです。そして家族と従業員が一丸となって頑張っていくことだと思います。

 

ハワイへ移住した1994年のクリスマスに、当時アラモアナセンターにあったリバティーハウスで

 

Erina Goto Yoshizumi

◎1979年神奈川県生まれ。1984年にハワイへ移住。同年に『権兵衛』開店。1997年にカラニハイスクール卒業後、ツアー会社やカフェなどで接客業に就く。1999年『はな火』オープン後、同店に勤務。2002年に『くるくる寿司』、2012年に同2号店開店後は両店に勤務し、サービス、発注、雇用などに携わる。2017年11月『Oh! Sozai』社長就任

(2018年1月16日掲載)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2018年1月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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