ワイキキ横丁CEO Real Select Internationalオーナー フランク・クラーク

活気あふれる日本食店が軒を連ねる〝横丁〟をハワイで再現した『ワイキキ横丁』。誰もが気軽に立ち寄れる場を作り、日本が誇る横丁文化を世界に発信しているフランク・クラークさんに人生の転機を伺った。

ボストンで生まれ、軍に勤務していた父の異動で、ドイツ、韓国、日本に住みました。

日本で父と一緒にゴルフを始めたのが13歳。夢中になり、軍基地内の練習場で毎日一人で練習していました。ところが15歳のとき、父が病に伏し、急遽ボストンに帰国。翌年、父は53歳で他界しました。

アメリカでもゴルフを続け、17歳で州の大会などで何度か優勝。プロゴルファーを目指し、大学時代はチームで全米7位まで上り詰めました。

大学卒業後の１９８９年冬、ボストンは雪が降るので、ゴルフの練習をするために3カ月の予定でハワイに来ました。これが転機となったのです。

ハワイ生活のスタートは１日十数ドルの生活

ハワイは物価が高い！ ３カ月滞在する事も難しいと悟り、母に「３週間で帰る」と電話しました。でも、たまたまゴルフショップで働くことになり、すぐに辞めるのは申し訳ないと思ううち３週間、３カ月が過ぎ…。生活費は一週間１００ドル。生活用品は中古品でそろえ、テレビ台はダンボールを使っていました。

その後、不動産の仕事をしたところ、バブル崩壊後の処理に追われることに。ゴルフ業界へ戻りハワイプリンスゴルフクラブに勤務。ハワイ最年少の26歳でオペレーションマネージャーに昇格しました。

その頃漠然と「世界で使える何かを作りたい」と思い立ち、30歳でそのアイデアを実現させました。作ったのはVISAカード機能付キャッシュカード。当時はこのタイプのカードがなかったのです。ゴルフクラブで、地元の人にカード割引できたらと思ったのがきっかけです。当初、銀行は20代の若者を相手にせず、実現まで２年かかりました。

同年、さらなるチャレンジで独立。後にコオリナの高級コンドミニアムの営業に携わり、日本のマーケットへ働きかけて好調に販売。さらにワンアラモアナ販売も日本のパートナーと共に大成功させました。このワンアラモアナの営業成果により、ハワイで信頼を得ることができました。

『横丁』を世界に広めて世界共通の言葉に！

不動産の仕事で何度も日本に足を運ぶうち、ハワイに商業物件を探している店が多いことに気付きました。それなら、日本の文化を体感してきた立場として、この文化を食を通して世界に発信する『横丁』を作ろうと思ったのです。

土地探しに苦労する中、ワイキキ中心部の敷地情報が。リスクの高さに悩みましたが「このチャンスは一生ない」と決断しました。９割の人が「無理」と言う中で「イエス」を一つずつ増やしていきました。全て順調ではありませんでしたが、ハワイ初出店の店だけを集め、日本の味と日本の四季を楽しめる場というコンセプトを貫いた結果、賑わうようになってきました。

この『横丁』という言葉を、文化とともに世界へ広めることが次なる目標です。

ハワイに来て３週間で帰っていたら、今の自分はないでしょう。時間がかかりましたが、だからこそ多くを学び、経験を重ねることができました。ゴルフという個人スポーツで身に付けた辛抱強さ、また16歳で父を亡くし、一人で決断することを覚えたことも今に繋がっていると思います。

(2018年8月16日掲載）

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2018年8月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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