山育ちの僕が懐かしさを覚える海 ただ身を置くだけで心が浄化されます
大学生の頃、親戚がハワイ土産でボディーボードを買ってきてくれ、海へ行き、その延長でサーフィンをするようになりました。通っていたのは名古屋の自宅から行ける伊良湖という海。山に囲まれたコロラド州で生まれ育ったので、海とは縁がなかったのですが、海へ行くとなぜか懐かしい気持ちになりました。山と海は、実は共通しているところがあって、その美しさや静けさが、心を落ち着かせてくれるのです。
社会人になってからも、毎週金曜夜には海へ向かっていました。お世話になっている海をきれいにするため、イベントを開催して寄付を募り、10万円が集まった頃、起こったのが東日本大震災でした。その寄付金を、知人を通じて被災地へのカレーの炊き出し資金として使ってもらい、募金してくれた方にも納得してもらいました。
気付けばアメリカよりも日本の生活の方が長くなっていて、そんなときにメキシコへの駐在話があったことがきっかけとなり、海外移住を考えるようになりました。そこで浮かんだのがハワイでした。理由の一つはサーフィン! また、ハワイにいる遠い親戚がいつも自分のことを家族として温かく迎え入れてくれていたので、そんな彼らと、縁遠くなった日本の家族をつなぎたいとも思ったのです。日米の文化になじみのある自分にとってハワイは居心地良い場所でもありました。
ハワイの海は本当にすばらしいです。一番好きな瞬間は日没30分後の海に入っているとき。日が沈んだ後、空がオレンジ色に染まっていく時間は、風が止まり、海上が滑らかになります。空の色が海に反射している中で、昼と夜が入れ替わる。そこにいるだけで心が浄化されるのを感じます。僕にとっては海が教会。生活の一部で、海に行けないと体調を崩してしまうほど。
生き甲斐となってくれたサーフィン、海への感謝の気持ちを込めて、ビーチクリーンに参加するなど恩返しをしています。
🏄♂️お気に入りサーフポイント
いながわ・ゆうき◎1984年米コロラド州生まれ。13歳で名古屋へ。2007年南山大学総合政策学部卒業。リロケーション会社で外国人赴任者のサポート業務を担当。スリランカカレー工場、卸業を経て、2015年ハワイ移住。現職の他、Lei Hawaii Realty Inc.、CHALLENGE & CREATION Inc.にも勤務
(2019年9月16日掲載)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年9月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。