来年バンド結成40年を迎える『TUBE』のボーカル前田亘輝さん。ソウルフルでさわやかな歌声とサウンドで、夏の海をイメージさせる曲は数々の記録に輝いてきた。「TUBEといえばハワイ」が定着し、6月1日はハワイで「TUBE DAY」に制定されている。前田さんに、あの頃、そして今を伺った。
レコードを買うようになったのは小学校の頃ですね。そのときはアニメソングを買っていたんですよ。それでまずは邦楽を聴くようになりました。そして、中学時代は小林克也さんの『ベストヒットUSA』一色で、洋楽にハマりました。ギターを習いに行って、高校生のときにはバンドを組んでいましたね。
僕はボーカルだったので、バンドで演奏できるジャンルのものはどんなジャンルであっても歌いました。たくさんライブもしましたよ。今でいうフェスみたいなところにも出演しました。
デビュー当時は本人たちは全然自覚がなかったんです。『ザ・ベストテン』とか『トップテン』とかに出演すると、これまでテレビで見ていた人たちが目の前にいて、みなさんが自信に満ちあふれていてまぶしかったのを覚えています。当時はアイドルから演歌歌手までさまざまな人たちが一つの番組内に集まっていましたね。
それから90年代までは、寝る時間がなかった(笑)。レコーディングして取材を受けて、ツアーを回って、1年ずつとにかく目の前のことをしていた感じです。
作詞に関しては、最初は実体験を書いていたのですが、当然それは尽きてしまうので、友達や後輩の経験も取り入れていきました。とは言っても実は、最初の頃はメロディー重視というか、ボーカルに力を入れていたので、作詞をするときにはきれいな形容詞を使うことなど意識していました。でも2000年代になると、時代が変わる中で伝えたいメッセージが見えてきたんです。「がんばれ。君だけじゃない」とか「みんな平等だよ」とか、ストレートにわかりやすい言葉で直接伝えたいなと思うようになりました。今、目指しているのは朗読に近い歌なんです。
初めてハワイに来たのは1987年のシングル『サマードリーム』のプロモーションビデオを撮影するためだったんです。天気が良くて明るくて湿度がないなぁと思いました。それから2001年までレコーディングはずっとハワイでしたね。ハワイでたくさん詩も書きました。『ラニカイ〜天国の海〜』という歌もありますしね。
ハワイではBBQをするのが楽しいですよね。ハンバーガーもおいしい。以前はロコモコとオックステールスープが大好物でしょっちゅう食べていました。『レインボー・ドライブイン』も何度も行ったなぁ。海のスポーツも一通り楽しみました。サーフィン、クルーザー、ジェットスキー、釣りとかね。ゴルフを始めたのもハワイなんです。1999年からソニーオープンのプロアマ戦にご招待いただいています。もう20回以上になるんですね
僕たち4人、全員が1年ずつやってきたという感じの人間なんです。3年先とか、5年先はどうとか、何か目指すというタイプではなくて、決断をするというわけでもなくて。気付けば40年。もちろん思い返せば長いですよ。一つ言えるのは、聴いてくれる人がいるからやって来られたんだと思います。だからファンの方たちに「あなたたちがチューブです!」って言ってるんです。ライブでの曲も「何が聴きたいか」を尋ねて決めたり。というか、決めてもらっているんです(笑)。
今年はコラボレーションの年にしたいんです。第一弾として、TUBEとGACKTによるコラボ楽曲『サヨナラのかわりに』を2月28日にリリースしました。なぜGACKTなのかというと、一番遠い人だから! これまで生きてきた環境も、趣味も、行く飲み屋さんも、全然違う。で、会って話したら、やはり1ミリも共通点がなかった(笑)。でもね、話していくうちに、お互いの長いキャリアの中で、人との別れについての考え方が同じで、それを音楽として表現しようということになったんです。この曲はTUBEとGACKTで作った曲です。
皆さんは、僕を含めて多くの方が「住みたいな」と思っているハワイに、ご縁あって暮らしている。あなたたちは人生の勝ち組ですよ!
インタビュー:ライトハウスハワイ編集長 大澤陽子
このページは「ライトハウス・ハワイ」 2024年6月号掲載の記事を基に作成しています。