幼少期からハワイとご縁がある芸歴42年の船越英一郎さん。2時間ドラマの主演をはじめ、ドキュメンタリーのナビゲーターや情報番組のMCなど活躍の場は幅広い。やまがた特命観光やブランド米つや姫大使としても活動する船越さんに、ハワイと日本、仕事観について伺った。
ハワイとは長いご縁がありますね。そのハワイで、山形県を紹介させていただけるのは嬉しいことです。山形とのご縁は、若い才能を発掘する『山形国際ムービーフェスティバル』の審査員を2005年からさせていただいたことから始まりました。2013年に山形県の吉村美栄子知事から『やまがた特命観光』に任命されました。15年に山形の町おこしのために生まれた山形県ブランド米『つや姫大使』にも任命いただき、2016年にはハワイで山形フェアを開催させていただきました。
ハワイで最初に在ホノルル日本国総領事館で山形県産品PRレセプションを開催してくださったことです。総領事にご理解いただき、またハワイをけん引する日系人の方々などが集まってくださる中で山形県をお披露目できて、とてもありがたいことでした。つや姫を試食され、「このお米を知らずにご飯を食べていたなんて損した気分だ(笑)」とおっしゃる方もいらっしゃいました。
今ではハワイのスーパーマーケットで、驚くほどにお米コーナーが充実しているのがとても嬉しいですね。その発端は、僕の親友であるサンヌードルの夘木栄人社長がつや姫を口にしたところ、そのおいしさに感動し、「このお米をハワイの皆さんに食べてもらいたい」という思いにありました。彼は「おいしいお米なので、最高の状態でお届けしたい」と、精米機を買って、玄米で輸入して、精米したてのお米を販売することにしたのです。彼がハワイでおいしいお米を食べられるきっかけを作ってくれたように思います。
僕は家では本当につや姫しか食べないので、つや姫の食べ方になりますが、どの食材と合わせてもおいしいです。でもあえてお伝えするなら、炊き立てを保温せずに一晩寝かせて冷や飯にして、カレーをかけて食べると抜群にうまい! それからラーメン茶漬けもおいしいですよ。ぜひ、鶏だしのあっさりしょうゆラーメンのスープを合わせてみてください。
神奈川県湯河原町『らぁ麺飯田商店』のラーメンです。あの鶏だしのあっさりしたしょうゆラーメン一杯を食べに東京からお越しいただいても後悔させません。他には、京都祇園の『肉割烹 安参』ですね。いろいろな部位の生肉、そして焼き物、煮物を提供してくれるのですが、これまた最高なんです。この店を俳優の先輩である高橋英樹さんに教えてもらったのが2代目のご主人の頃。今は4代目のご主人で、35年ぐらい通っています。料金も超高級ではなく、お酒を飲まなければ2万円くらい。十分その価値はあると思います。
山形はもちろんのこと、どの地域も素晴らしいですが、やはりハワイの皆さんが行かれるなら京都はおすすめですね。ここは日本人のDNAに組み込まれている要素を持つ場所で、初めてであってもどこか懐かしいという郷愁を感じるはずです。心の原風景というのでしょうか。歴史建造物が非常に多い街並みで、皆さんが都から連綿と受け継がれてきたおもてなしの心を持っていて、ほっこりを感じさせてくれます。
なんといっても風です。ハワイに到着して、風を感じた瞬間、すべてが癒されます。独特の香りがあって、どこか甘く、その中にスパイシーさを感じ、フローラルでもある…。全てのフレグランスの中で一番好きな香りがハワイの風が持つ香りです。自然も素晴らしく、喧騒を離れた自然に触れるために、ノースショアやカネオヘ、チャイナマンズハットの方まで行くこともあります。
続けられた理由は大きく二つあると思っています。一つは人に恵まれたことです。持って生まれたものや後天的に努力したことなどはキャリアのうちのほんの数%です。出会った皆さんに、ここまで運んでいただけたと感じています。出会った方との絆を育んでいくことを大事にしてきたことが秘訣のように思います。
もう一つは、仕事を愛しているということです。誰もが趣味には手を抜きませんよね。好きなことは全身全霊で臨むと思うのです。僕の場合、仕事も同じような感覚です。仕事をしているときが一番幸せという思いが持続しているので、皆さんの力があった上で、長く続けることができているのかなと感じています。
インタビュー:ライトハウスハワイ編集長 大澤陽子
このページは「ライトハウス・ハワイ」 2024年12月号掲載の記事を基に作成しています。