ハワイ現地発!最新生活情報&おすすめ観光情報サイト

アプリ開発 ガルシス代表 大塚敏之 さん

「進化するインターネット時代の中で 

ユーザーへの利益還元を実現させたい」

おおつか・としゆき●大阪府出身。龍谷大学経営学部卒業。東京でアパレル業界に就職後、大阪で業務コンサルティング企業に勤務。2010年からスマホアプリの開発を始める。2016年に新規事業を立ち上げる。ギグワークス株式会社のグループ会社となり、2020年に取締役代表としてシステム開発企業、株式会社GALLUSYS(ガルシス)を法人化。

 2010年ごろからアプリ開発に携わり、東証スタンダード市場上場企業「ギグワークス」のグループ会社として「ガルシス」を法人化した大塚代表。昨年に開発した世界初のSNAP TO EARN(写真を撮って稼ぐ)スマホアプリ『SNPIT』と、変わりゆくIT社会について話を聞いた。

ーこれまで、言語を使わず写真だけを共有してつながるSNSアプリ『pictier(ピクティア)』を開発し30万ダウンロードを記録していますが、昨年は世界初のSNAP TO EARNスマホアプリ『SNPIT(スナップイット』を発表されました。どのようなアプリなのでしょうか?

シンプルにご説明しますと、スマホカメラを活用して写真を撮り、その写真でバトルをして、勝つとトークンをもらえるというブロックチェーンゲームアプリです。トークンというのはいわゆる仮想通貨です。遊ぶことで稼ぐ全く新しいサービスなんです。

ー「遊ぶことで稼ぐ」とは、具体的にどういうことですか?

例えば、ハワイの虹をスマホ(NFTカメラが必要)で撮ったとします。そして、ゲームにエントリーすると、その写真と誰かが撮った写真が並べられ、どちらの写真が良いかという投票が行われるんです。10票を先に獲得した方が勝ちとなり、それにより独自のトークンを獲得できます。投票に参加することもできて、自分が投票した写真が勝った場合もトークンがもらえます。トークンはNFTカメラ性能の向上に使ったり、取引所で他の通貨と交換したりすることができるという仕組みです。

なぜこのようなアプリを開発されたのでしょうか?

これまでのインターネットの時代背景が関係するのですが、インターネットが世に出回った1990年代はオンラインを通じて多くの情報を誰でも閲覧できるようになりましたよね。この時代はWeb1.0と呼ばれています。2000年代になるとWeb2.0となり、SNSが普及して自ら情報を発信できるようになりました。この時代の課題は、中央集権型であり大規模なプラットフォーマーがそのデータを管理・独占していることでした。もし、そのプラットフォームがなくなったとしたら自分が投稿していた情報も消えてしまうということです。現在もその管理を行う一部の企業や個人がその恩恵を受けて利益を得ているのが実状です。そして2020年ごろから、中枢に管理者を必要とせず、個人がデータを管理し、その移行もできるような仕組みが作られてきたのです。個人が自分の情報やデータを管理できる次世代インターネットの世の中になってきたということです。この時代がWeb3といわれています。

その流れを受けてこのアプリを開発した理由は、「一部の情報管理者ではなく、データを持っているユーザーに還元しよう!」を実現させたかったからです。今は、モノだけではなく、情報など目に見えない物事に価値があり、情報提供によってその対価を受け取る時代です。自分が撮った写真に価値が付き、その対価を受けるという仕組みをゲームにしたのです。

 今の日本は、インバウンドを受けて観光地のホテルや食事が急激に値上がりし、日本人にとって国内旅行も行きづらくなってきています。まして家族で海外旅行となると家計的に厳しいのが現状です。でも、お小遣いを稼いで、1年に1回くらい旅行をしたり、ちょっと豪華な食事をしたりしたいですよね。しかも楽しみながらその資金を貯められたら、なお良いですよね。そこでSNAP TO EARNという写真を撮って稼ぐシステムを考えたのです。

ー日本でもWeb3国家戦略を進めていますが、今はまさに時代が大きく変わっているのですね。このアプリによってどんなことを目指していらっしゃいますか?

 私は2010年ごろからアプリの開発を考えて、MVP(試作によって市場価値を試す)などで進めてきましたが、当初は開発に多額のコストをかけられる環境ではありませんでした。今、世界でインターネットの時代が大きく変わっている中で、日本でもスタートアップの事業環境が整備されつつあり、こうしたアプリ開発がしやすくなりました。

 私は、このアプリ『SNPIT』を活用して、日本から世界へ向けてWeb3を一般に普及させたいと思っています。もちろん課題もあります。そもそも「あやしい」というイメージがありますよね。まだ法整備が不十分ですし、詐欺に利用されるケースもあります。また、データ管理を自分で行うということは、自己責任となります。いわゆるたんす預金のような感覚で、自分でしっかり守らなくてはなりません。

 一般に浸透させるために、まずは私たちの思いに賛同いただいた秋元康さんにストラテジックアドバイザーに就任していただきました。現在、彼とプロモーションを進めているところです。今後、Web3のハードルを少しでも低くできればと思っています。

ーそういう意味合いでは、スマホカメラはユーザーにとってなじみあるので使いやすいですね。

  実は、身近なものでありながら、写真が人生を変えるきっかけになるかもしれないと思っているんです。写真を撮ることで、いつもと違うことに気付いたり、違う視点で物事を見たりすることがあるはずです。私は人生の転換期が就職や結婚など大きな意思決定の下だけにあるとは限らないと考えています。たまたまの出会い、些細な意思決定など、どんなことも人生を変えるきっかけになり得るんです。『SNPIT』がそのきっかけになったら…。そんな気持ちも重ねています。「ビフォアSNPIT」と「アフターSNPIT」。ここに転機があったら嬉しいです。

 インタビュー:ライトハウスハワイ編集長 大澤陽子

このページは「ライトハウス・ハワイ」 2024年4月号掲載の記事を基に作成しています。

ライトハウス・ハワイのおすすめ記事

俳優 / タレント 船越 英一郎 さん

2024.12.26

「出会った人との絆を育んでいくことを大切にしています」 幼少期からハワイとご縁がある芸歴42年の船越英一郎さん。2時間ドラマの主演をはじめ、ドキュメンタリーのナビゲーターや情報番組のMCなど活躍の場は...

TUBEボーカル 前田亘輝 さん

2024.06.01

「目の前のことに集中していたら40年に。 聴いてくれる人がいるからここまで来ました」 来年バンド結成40年を迎える『TUBE』のボーカル前田亘輝さん。ソウルフルでさわやかな歌声とサウンドで、夏の海をイ...