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アメリカでは〝健全な〟人間関係が勝ち負けを決める

 前回、日本人のいわゆる奥ゆかしさ、「何も言わない、遠慮する」はアメリカ社会では損をすると書きました。日本人は、ビジネスの交渉をする際、結論を出すのに時間がかかっているときや、出せないとき、もしくは断らなければならないとき等、あいまいな表現で済ませることがあります。このグレーな言い方は日本社会では良いのでしょうが、アメリカ社会では良くありません。そして、もっと良くないのは「なしのつぶて」です。
 私のところには、アメリカで事業を展開しようとする日本の企業が頻繁に相談に来ます。その多くは日本では何店舗も展開してすでに成功を収めている会社ですが、その担当者はアメリカではビジネスをした経歴のない人たちばかりです。
 私は自分の長年の経験から得た知識を使って、アメリカで事業を始めると起こりうる、ありとあらゆる想定に沿ってさまざまなプロポーザルを相手に提案します。その内容は、お金のこと、法律のこと、契約書のこと、マーケットに合ったPRや広告の展開の仕方等、多岐に渡るものです。
 このようなプロポーザルを作るには、ミーティングにも時間を割いて相手の話も深く聞かなければなりませんし、私自身もリサーチに相当の時間をかけることになります。もちろんビジネスとしてやっているわけですが、相手にアメリカで成功してもらいたいと心から思っているからこそ時間をかけています。
 ところが、このような大企業を動かしている日本人の担当者が、ある日突然「なしのつぶて」になることがあります。どんなにコンタクトしても返事が来ないのです。アメリカ人だったら、「できない」、「もう何カ月か待って欲しい」と必ず伝えてきます。そして例え駄目になっても、礼状等で感謝の心を表してくれます。しかし、「なしのつぶて」の会社については、ある日フリーペーパーに広告を勝手に出しているのを見て私は相手の動きを知り〝やられた!〟と思いがっかりするのです。
 私は最近、「人間関係力」という言葉をよく使います。日本人経営の会社でも、明らかにうまくいっている所は、その経営者が実に上手にアメリカ人と人間関係を築いています。成功している日本人は、「なしのつぶて」ではありません。期限通り物事を済ませ、遅れるなら「何日か欲しい」と相手にちゃんと伝えます。相手のやり方を理解して、いわゆるボール投げもキャッチも早いのです。感謝や尊重、思いやりがあり、言うべきことは厳しく言うという関係ができているものです。そして、社員の意見を良く吸い上げて、現地に合わせた事業展開ができています。
 返事をしない、グレーのままでいることは、アメリカでは通用しません。これでは健全な人間関係が築けません。人間関係が健全でないとコミュニティーではやっていけないのです。皆さん、これをいつも心に留めておいてくださいね。

(2017年4月1日掲載)

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