前号は、サンゴ礁の保護について書きました。今回は「オヒア・レフア」が直面している危機について書かせてください。植物や森林に興味を持つ私は、この歯がゆい事実に黙ってはいられません。
「オヒア・レフア」をご存じですか?
オヒアは木で、レフアはこの木に咲く花のことを言い、ハワイ固有種です。この植物は、火山から流れ出た溶岩が焼き尽くした土地に、真っ先に芽を出して育ち、赤い花を咲かせることで有名です。ハワイアンの神話「ペレとオヒア」にも出てくるように、ハワイの人々と昔から深く繋がっていて、オヒアの森はずっと、非常に大切にされてきました。
その理由は、単に「花がきれいだ」ということだけではありません。オヒアの根は砕けて他の植物の肥料となったり、花は荒い毛から成るので、雨や霧を捉えて、そこから時間をかけてゆっくりと雫が地面に落ちていきます。これがハワイの水源となっているのです。また、ハワイ固有の鳥や昆虫に住みかと餌を提供し、ハワイの生態系にとっても重要な役割を担っています。
この大切な木々が、病原菌セラトシスチス・ルクオヒアの感染によって急速に枯れてしまっています。ハワイ島にある約13万5千エーカーの森林で数百万本がすでに枯死(ハワイ大学調査)。この病原菌は非常に強く、感染した木は数日から数週間以内に木の上部が黄色くなり、次第に茶色に変色し、枯れてしまうのだそうです。そして有効な治療薬はまだ見つかっていません。最近カウアイ島でも感染が判明し、これ以上感染が広がらないように、私たちも共に気をつけなければならないのです。
イゲ知事は「オヒアの急速な枯死は水系に重要な脅威をもたらすため、州予算から200万ドル近くを、枯死の原因となる病気の拡散を阻止する取り組みに割り当て、急激に進むオヒアの枯死を食い止めなければならない」と、4月25日を『オヒア・レフアの日』に指定しました。
拡散を防ぐため、公園利用者は設備されている道だけを通り、森林に入る前に靴や持ち物をきれいにするよう呼びかけ、州法では、花、葉、茎など、オヒアを使った製品や植物の一部を許可なく島外に輸送することを禁じています。
この事実を他人事として知らないままでいないよう、自分が暮らしているハワイを意識し、そして関心を持っていただきたいと思います。オアフ島では、マノアのライオン・アーボリータム種子保護研究所で、オヒアの種の収集・保存を続ける活動をしています。私たちも一緒に森を守っていきましょう。
(2018年6月16日掲載)