このところ書かせてもらっている〝環境問題〟。そんな中、大ニュースが飛び込んできました。「ハワイ州が〝危険物質を使った日焼け止め製品の販売を禁止する〟アメリカで最初の州となる」と!! この問題の日焼け止め製品を禁止する理由は「サンゴ礁の保護のため」なのです。
日焼け止め製品とサンゴ礁はどのように関係あるのでしょう?
2014年頃からサンゴ礁の白化現象が問題視されるようになっていました。そして、日焼け止め製品に含まれているオキシベンゾンとオクチノキサートという物質が白化を引き起こす原因であるということが分かったのです。
世界中でサンゴ礁に流れ込む日焼け止め製品の量は、年間約1万4千トンにも達します。3オンスの日焼け止めボトルで換算すると、約1億5千万本分にもなるのです。
5月1日号に書いたように、サンゴ礁は、非常にたくさんの海洋動植物の棲息場所となっている他、海水の二酸化炭素濃度を調節し、また、堤防のように海中で波を抑え、陸地を波から守る役目をしています。サンゴ礁は私たち人間にとっても、無くてはならない存在なのです。
サンゴは一見すると植物のようですが、実はイソギンチャクやクラゲなどと同じ動物です。おなじみのハナウマ・ベイのサンゴが瀕死の危機にさらされている他、アヒヒ・ベイ、ホノルア・ベイ、カパルア・ベイなどマウイ島のウエスト・コーストのサンゴ礁はすでに絶滅してしまっているそうです(非営利団体ハエレティクス環境研究所報告)。
サンゴ礁を守るために私たちができることとは?
現在、酸化亜鉛や酸化チタンが配合されたミネラル・ベースの日焼け止め製品の使用が推奨されています。ハナウマ・ベイの売店では、すでにオキシベンゾン含有の日焼け止め製品の販売が停止されました。ハワイアン航空では北米〜ハワイ便でサンゴを傷めない日焼け止め製品のサンプルを既に配布、販売をしています。
ハワイ州では法案(2571号)が4月27日に州議会委員会を通過し 、5月1日に下院、上院の両院で投票可決されました。あとはイゲ州知事の署名をもらうだけです。
可決された法案は、〝オキシベンゾンとオクチノキサートが成分に含まれる日焼け止め製品を、医師の処方箋なしで販売または流通させることを禁止する〟もの。成立すれば2021年1月より施行されます。
施行までの期間が設けられているのは、皮膚ガン予防について考慮し、問題の成分を含まない製品の製造期間が必要と判断されたためです。なので一般の私たちは、すぐに日頃使っている日焼け止め製品を見直す必要があるでしょう。特にマリンアクティビティーをする人は必至です。
私たちに多くの恵みを与えてくれる大好きな海を守っていくために、皆で一緒に頑張りましょうね。
(2018年6月1日掲載)