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僕は旅をしたとき、その土地で暮らしたらどんな風だろうと想像してみることがよくある。もしもどこかに移住するとしたら、おそらく食の選択肢がより豊富な大都会を選ぶだろう。醤油と米なしで1週間以上過ごせないから、アメリカ国内ならアジア人人口の多い町。また、旨いピザが好きなのでイタリア人が多く住んでいることも肝心だ。

ピザが美味しい町と言うと、本場のナポリとシシリーを除いて、ニューヨーク、シカゴ、セントルイス、デトロイトなどほとんどがアメリカ本土の都市だが(但し、僕の意見ではセントルイスとデトロイトは最下位)、先日なんとこのホノルルでデトロイトスタイルとブルックリンスタイルのピザを体験することができた。ブリック・ファイヤー・タバーンのオーナーとアンコール&ザ・デイリーのオーナーがコラボして新しくオープンしたダウンタウンのピッツェリアでのことだ。テイクアウトが主だが、釜から出たてを食べたいなら、店内に小テーブルが2つ設置されているので、そこで熱々を楽しむことができる。

僕と連れのフードライターの友だちは両方を試してみたかったのだが、あいにく2人だけだったので、シチリア風の分厚いデトロイトスタイルをチョイス。アラモアナにあったリトル・シシリー・ピザがひと昔前になくなり、またハーポズも閉店してしまった今、おそらく僕らは懐かしい過去の思い出にちょっぴり浸りたかったのだと思う。ペスト&ソーセージで意見が一致し、ローストクレミニマッシュルームとカリフォルニア産ナチュラルオリーブを追加トッピングしたら、なんと$30を超えてしまった。

スタッフが持って出てきたピザ箱を見て、さらに仰天。それは車の整備士が小さな金属廃棄物入れに使うディップトレイのサイズだったのだ。開けてみると、中にはチーズの上にペストとソースがかかった小ぶりのピザ。デトロイトスタイルであることに間違いはないのだが、せいぜい5x7インチのピザが$32?僕らはショックどころかほとんど憤りを感じた。とんでもなく小さくて、しかもプレートもナイフ・フォーク類も水も提供されないことに憤慨した僕らは、自分たちの怒りを正当化しようとさらに粗を見つける勢いだった。

昔はこんなの$4~5くらいだったとぶつくさ言いながら、僕と友だちは4等分されたピザからそれぞれ1スライスずつ取ってかぶりついた。そうしたらどうだろう。まず温かく柔らかなモッツァレラ、続いてフォカッチャのようなふわふわのクラストへと歯が沈み込み、ポークの旨味とフェンネルの香りがバジルの爽やかな風味とトマトソースのほのかな甘味、そしてキノコが放つ大地の香りとオリーブの塩味といっしょに口の中で爆発した。

僕の瞳孔は、チーズがカリカリになるまで焼きついたクラストにかぶりつくなり全開した。これは今まで久しく出会ってきた数々のピザの中で最高レベルに属し、難癖を付ける点などこれっぽっちもない。そう悟って、しゅんとしてしまった。と同時に、異なったテクスチャーとテイストが完璧にシンクロしたこの究極のエクスタシーをまた体験したくなったら、毎回これだけの値段を払わなければならないのだと言う厳しい現実にも気付いた。

クラストの端までのせられたチーズとペストのせいでややオイリー気味の感はあったが、僕らは自分たちが間違っていたことを素直に認め、貪るように食べ続けた。連れは1スライスでストップしたが、感極まった僕はもうひとつのスライスも完食。そして、2人揃っておとなしく退散した。

極旨ピザが忘れられない僕は、その2日後、今度はラージサイズ(直径16インチ)のブルックリンピザを試すべく、妻といっしょに再び出向いた。店に着いたら、なんと奇遇にもブルックリンピザのテイクアウトをピックアップしに来ていたあのフードライターの友だちと鉢合わせした。

ブルックリンはデトロイトよりも平均2・3ドル高い。薄生地タイプで、ナポリタンとクラシックなニューヨークスタイルを掛け合わせたような感じだ。今回もイートインしたのだが、普段はせいぜい4分の1ほどしか食べない妻がなんと半分をペロリ。素晴らしいものを発掘してくれたと歓喜していた。

デトロイトスタイルは、チーズ、ペパロニ、ペスト&ソーセージの3種類のみ。好みでビッグアイランドラムソーセージ、レッドオニオン、ホーファームチェリートマト、マリネアーティチョーク、ホットペッパー、クレミニマッシュルーム、オリーブ、エクストラフレッシュモッツァレラを追加できる。シンクラストのブルックリンは、トリプルチーズ、ペパロニ、ソーセージ&フェンネル、マッシュルーム、ビッグアイランドラムパイ、ポテト(焼いた後も少々シャキット感が残る薄切りジャガイモ)の6種類が揃う。僕も妻も友だちも、ここのピザは高額を払う価値大いにありの並はずれたピザであるということで意見が一致した。

北米ではなぜカリフォルニアピザが新鮮素材使用と考えられているのか、そしてハムとパイナップルのピザ(僕には考えられないコンビネーション)が、ローカルは滅多にオーダーすることないにもかかわらずなぜハワイアンと呼ばれているのか分からないと文句を言い続ける普段はそう簡単に物事を許すことのない僕なのだが、ことピッツァ・マモに関しては、値段の高さ+アメニティ不足のせいで第一印象は悪かったが、ひと口味わうや否や意見反転。すべてを許すことができた。

結局、今回の経験を通して、僕はやはりハワイにいるのが一番いいだろう、そして違うタイプのピザが食べたくなったら旅をすればいいではないかという結論に達した。

Pizza Mamo
ピッツァ・マモ
Phone:  (808) 369-2445
16 N Hotel Street

【営】毎日 12:00 – 8:00pm
【取扱クレジットカード】ビザ、マスターカード

ショーン・モリス

ショーン・モリス◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
ソーシャルメディアも発信中
Twitter: @incurablepicure
Instagram: @incurablepicure

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2021年4月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

 

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