いよいよホリデーシーズン到来。しかし、本来ならば華やかなはずのクリスマスとニューイヤーのお祝いも、今年はソーシャルディスタンスを厳守して地味に済ませなければならない。僕は、ほとんど誰とも会っていないからクリスマスのプレゼントは親友と家族のみにする、そして自由に使えるお金がないという2点を理由に、今年はけちん坊を通そうと決めている。
さて、先日ローカルスーパーマーケットチェーンのフードランドが新しくオープンしたカハラ・マーケット by フードランドに行ってきた。入ってみるとマヤ、シュレーダー、ガヤ、シャトーオーブリオン、オーパスワンといった高級ワインから、今年の僕の予算に合ったトロピカル風味のローカル産はちみつ酒マノアミーデリーのようなお手頃品まで吟味厳選した良品が棚にずらり。クリスマスのプレゼントをスーパーで買うなんてこれまで想像したことすらなかったのだが、気持ちが一転した。
おまけに「et al.(エタァル)」という直営レストランまである。フードランドはすでにカ・マカナ・アリイにマヒアイ・テーブルを営業しており、またアラモアナにもワイン&タパスバー イレブンを近日オープンする予定だが、この店はそのどちらとも趣が異なる。流線型の長いバーカウンターを併設した店内は、柔らかな照明で演出された高級感漂う空間。眩しい蛍光灯で照らされたスーパーが壁の向こうにあるなんて到底思えない。テーブルに案内してくれるホストもウェイトスタッフのサービスもきめ細か。エレガントな雰囲気の中で、コリン・サトウ料理長が腕をふるうエキゾチックなひねりを加えたカジュアルかつ洗練されたニューアメリカンキュイジーヌを楽しんでもらうというのがコンセプトだそうだ。プレゼントどころか、クリスマスパーティにスーパーの施設を利用するなんて以ての外だったのだが、どうやらそれも間違っていたことに気づいた。
メニューは朝食、ブランチ、ランチ、ディナーの4つ(ランチとディナーには似通ったアイテムがいくつかあった)。スターターでは、ローカルレストラン定番のアヒのタルタルとセロリのピューレにのせられたショートリブのアランチーニが代表的なところ。前者にはバドゥヴァン、マルコナアーモンド、ナシ、ミントが活かされ、後者は添えられたグリュイエールチーズとアイオリがイタリアンとは一味違う味わいを醸し出していた。
ピザ&パスタは、クレミニマッシュルームピザ(ペコリーノ、ルッコラ、バーニャカウダ)、ポルケッタピザ(フォンティーナ、ペコリーノ、あめ色フェンネル、ガーリッククリーム)、カサレッチェパスタ(ポークソーセージ、ペコリーノ、青菜、黒胡椒)など。
アントレには、ローカルビーフ使用のエタァルバーガー(ベーコン、チェダー、ジャンソース)、マッシュルームリゾット(本しめじ、トリュフ、海苔)、骨つきポークチョップ(リンゴとフェンネルのピューレ、芽キャベツキムチ、コチュジャンソース)、鮮魚(煮込み野菜、出汁)などアジアンアクセントを加えた洋風が揃う。アルコールは、オリジナルカクテル、ビール、そしてあまり多くはないがそれなりの数のワインが用意されている。
朝食メニューは、シナモンモーニングバンズ、ローディッドベイクドポテトキッシュ、クロックムッシュ with モルネーソースや、ハム・エッグ・チーズ(カントリーハム、温泉卵、グリュイエール)、メキシカンストリートアボ(チリライムクリーム、コティハチーズ)、エタァルキュアードサーモン(チャイブクレームフレッシュ、ケッパー、エシャロットピクルス)、ストロベリートマトジャム(リコッタ、レフアハニー)の4つのサワードゥブレッドトーストなど、ややアンオーソドックスなセレクションだ。
リリコイカードとフレッシュベリーを重ねたココナッツチアシードパフェ、ローストポークベリーと目玉焼きとなますと(なくてもいいんじゃないかと思った)カレーアイオリを挟んだブレックファーストバインミーも見逃せない。
週末のブランチでは、スリーエッグオムレツ(ブルサンチーズ、クリミニマッシュルーム)、スモークミートベネディクト(チリペッパーオランデーズソース)、バターミルクティーパンケーキ(タピオカ、ココナッツフレーク、フレッシュベリー、アールグレイ風味メープルシロップ)、ロコモコ(クノアビーフ、フレンチオニオングレイビーソース、スモークミートフライドライス、目玉焼き)など、より朝食っぽいアイテムが楽しめる。
もしかしたら僕は友だちとのクリスマスの食事会をここでするかもしれない。おそらくまだ5人制限が解かれていないだろうから大勢でワイワイ騒げないのは残念だが、用意しなければならないプレゼント数が減るのは助かる。そして、僕への贈り物にはこのスーパーの一番上の棚に並ぶワインをお願いしようかな、とこっそり思っている。
◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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※このページは「ライトハウス・ハワイ 2020年12月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。