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僕は概して政治家を信用していない。守る気もない空約束をし、解決どころか問題をより大きくする。そして、必ずと言っていいほど陰に何か思惑を持っている。赤ちゃんにキスしたりし、尊敬に値する立派な人間であるのだとやたらアピールしたがる。しかし僕は考える… 彼らは頂点に至るまでにどれだけの人たちを踏み潰して来たのだろうかと。

 

どうやらそう疑うのは僕だけじゃないみたいだ。アメリカ国民が抱く政治家への不信感は、ベトナム戦争への軍事介入に繋がったケネディ大統領のラオス政策から、議会をかわして実行したニクソン大統領のカンボジア爆撃に至るまで1960年・70年代のインドシナに端を発しているようだ。

アメリカと東南アジア諸国の関係は今はあの頃と比べて改善したかもしれないが、大統領への尊敬度は大まか変わっていない。クリントン、トランプ、ブッシュ親子たちは、ワシントン、リンカーン、ルーズベルトら伝説の大統領に匹敵する評価を決して受けていないし、おそらく将来的にもそれはないだろう。選挙を目前に控えた今、巷ではありとあらゆる陰謀論が飛び交っている。トランプを的にしたものやらバイデンをターゲットにしたものやら数えきれないほどの偽情報が流布し、一体全体何を信じていいものやら。

そこで、どの政治家が悪魔の化身なのか解明しようとしきりに頭を絞る代わりに、僕は「1938 インドシン」へ逃避することにした。最近カカアコに誕生したこの店は、道楽寿司、ブルーツリーカフェなど一連のレストランを経営する起業家・ケビン青木氏がプロデュースしたもの。店名は、Benihanaチェーンの創業者であった彼の父・青木廣彰氏の生年1938とアイデアのインスピレーション源となったニューヨークの某レストランにちなんで付けられたそうだ。

  

行ってみると、ヨーロピアン&フレンチ様式の建物の中に、ベトナムのテラコッタタイルやよろい戸・窓格子、インドネシアのテーブル、長椅子など、東南アジアのアクセントが随所に活かされたエキゾチック空間が広がっていた。ストリートサインが都会の躍動を彷彿させるバー。一方、噴水を配したアトリウム風の店内は伝統的なエレメントで演出された落ち着いたスペースで、外と内がコントラストを奏でながらシームレスに溶け合っている。雰囲気・料理とも僕の現実逃避願望に応えてくれた。

青木氏は、それぞれベトナム、ラオス、タイ料理の訓練を受けた3人のシェフを採用し、チャイナタウンのPho Que Huongのディエン・ヴーさんをヘッドシェフに抜擢した。そうしてヴーさんの指導のもとに監修されたメニューは、東南アジア諸国の味と技が結集している。

屋外バーでは、ひと口サイズのコロニアルクラブケーキ(ブルークラブ、ディル、マスタードシラチャー、オイスターソース、レッドペッパー)、チキンラープ(鶏肉ミンチ、ピーマン、もやし、レッドオニオン、ミントのレタス包み)、自家製チキンパテ&バゲットトースト、オーララ“ライスフィールドチキン”(フロッグレッグのタイ唐辛子とフレンチガーリックバター炒め)、グラスヌードルシュリンプ(豚ミンチ、ピーマン、タマネギ、パクチー入り春雨サラダ、カラマンシーのドレッシング)、豚肉と野菜のインペリアルロール(シラチャーアイオリ添え)、1938シュータートリオ(オイスター、シアードホタテ、細切りリブアイの3種類のショット)などエクレクティックなセレクションが楽しめる。

これらエスニック色溢れる料理には、1938ライチーマティーニ、ジンにブルーツリーターメリックトニックを合わせたターメリックハイボール、アーモンドシロップとレモングラスが香るインドシンマイタイ、パッションフルーツまたはマンゴーフレーバーのタイマルガリータ、アブサンをほんの少し落としたジンジャーオールドファッションド、メスカル+シャルトリューズのスモーキングパッションなどエキゾチックな創作カクテルが最高に合う。

店内のダイニングルームでは、約10コースのテイスティングメニューが堪能できる。内容は随時変わるが、たとえばホアンタン(鶏肉の蒸し餃子)、タイビーフブロシェット(串焼き、クリーミーピーナッツソース添え)、椎茸入りエキゾチックエッグドロップスープ、アジアンバーベキューソース味ベトナミーズポークチョップ、3種類の米を使ったクレイジービルマスタイルフライドライスなどが含まれる。

ダインインが可能かどうかはコロナウイルス感染状況よるが、いずれにしても2種類のシェフズテイスティング5コースメニュー(2人用/$56と$62)をテイクアウトすることができる。一番嘘つきな政治家が誰なのか突き止めなければならないのはうんざりだが、悩みながらもアメリカ政治体制への信用失墜の大きな原因となった東南アジアの国々の美食を楽しめるのはせめてもの慰めだ。

 

 

1938 インドシン 
Phone:  (808)545-7777
602 Ala Moana Blvd
【営】テイクアウトのみ 毎日 11:00am – 9:00pm(パンデミック中は変更の可能性有)
www.1938indochine.com
【取扱クレジットカード】ビザ、マスターカード、アメリカンエクスプレス

ショーン・モリス

ショーン・モリス◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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Twitter: @incurablepicure
Instagram: @incurablepicure

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2020年10
月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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