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毎年バレンタインデーが近づくと、何か特別なディナープランしなければと焦ってしまう。僕ら夫婦がデートし始めた頃は、絵のようなサンセットや海の景色、うっとりするようなキャンドルライトセッティング、超贅沢なテーブルサイドサービスなどが選択の基準だった。しかし、時の流れとともにそれは変化し、今では便利さ、居心地の良さ、あるいは目当ての料理があるかなどで決めるようになっている。ただ一点だけ変わらないなのは、普段よりも豪勢な食事であるということが暗黙の了解であることだ。

機内食並みの料理を集めたコースディナーを提供するバレンタインデーに乗じた商業作戦に飽き飽きしている僕らは、今年は寿司にしようということで意見一致。あまりロマンチックとは言えないかもしれないが、寿司は身動きできないほどお腹がいっぱいになる訳ではないから、もしかしたら食後にアバンチュールが実現する可能性も無きにしも非ずだ。

だから、「和さびビストロ」が店内を改装し、寿司バーを新設したと知って大喜びした。白木造りのカウンターの向こうで握るのは、閉店したノブ・ホノルルのシェフであったオノ・ヨシオとナガオ・ヤスユキの両氏。ソーシャルディスタンスを維持した4人掛けで、ラッキーな2カップルだけがインティメイトな寿司ディナーを体験できるということだ。そこで、バレンタインデーにはまだ早いが、さっそく下見に行くことにした。

席に着くと、ヒノキの寿司下駄が目の前に登場。美しい木の香りに、気持ちははるか日本の古風な寿司屋に馳せた。僕らは12品のおまかせコース(なんともリーズナブルな$120~$150)を頼んだ。

ほんのり甘くて酸味控えめのガリが板の上に置かれると、いよいよロマンチックな味の冒険のスタート。最初に出てきたのは、ピリッと辛い刻みわさびとマイクロパクチーを添えたコナ産カンパチのカルパッチョのシェアプレートで、鮮魚の旨味と甘味が大胆な味わいの柚子醤油で引き出されていた。

金目鯛の炙り寿司は、アクセントのモンゴル岩塩が微かに甘くて香ばしい魚の味に奥行きを加えていた。ぽってりと甘い真紅の本マグロは漬け風。続く真鯛の握りは、ややシコッとした食感で雑味なく、次に出てきたイクラとトリュフパウダーをのせたオーシャントラウトとともに対照的な風味を楽しむことができた。

シソとヒマラヤピンクソルトをトッピングした生ダコは歯ごたえ柔らかで、シソの青い味がほのかにした。黄身をまとった牡丹海老は、海老の甘味と添えられたアメリカ産チョウザメキャビアの塩味が奏でるハーモニーが絶妙。霜降りの大トロ握りは、浅い切り目に染み込んだ醤油とジューシーな魚の脂が織り成す素晴らしい舌触りと後味まで続く旨味が際立った。

甘いタレで照りをつけたアナゴは程よい柔らかさ。続く北海道産ホタテの炙りはアナゴとはまた違った柔らかな食感で、柚子胡椒とネギが良いバランスを醸し出していた。予想通り出てきたウニは橙色の北海道産の軍艦巻き。数滴落とされた醤油が甘味を一層アップしていた。ハタ握りは、コリコリとした歯応えで、わさびがそのクリーンな味をぐっと引き立てていた。

 

12品を平らげた僕らは、あと2・3おまかせで注文することに。うなぎの蒲焼き、キーンと冷やされたあっさり雑味のない地元産オナガ、シソと梅をアクセントに添えたアオイカでコースを終了した。そして、締めにニューヨークのアイス大福ブランド“Mochidoki”の雪見大福を3つ注文した。Mochidokiの大福はハワイでよく見かけるのとは異なり、求肥に包まれた柔らかタイプ。ストロベリー、抹茶、バニラチョコレートチップス、マンゴー、あずき、チャイティーなどのフレーバーが揃う。

和さびビストロの寿司は、僕らに結婚していることをほとんど忘れさせた。結婚生活が長くなり、最近は愛情表現をあまり期待できなくなっていたのだが、この夜はディナーの後、妻は僕の頬っぺたに軽い感謝のキスをしてくれた。僕は、もしかしたらまだまだこの先ロマンスの可能性が残っているかもしれないとほのかな希望を心に抱いている。

 

■Sushi Bar at Wasabi Bistro〜寿司バー at 和さびビストロ〜

Phone:  (808) 922-1133

250 Beach Walk

【営】月~土 5:00 – 8:00pm(バレンタインデー営業。ただし翌月曜日振替休業)

【取扱クレジットカード】ビザ、マスターカード、JCB、アメリカンエクスプレス

 

ショーン・モリス

ショーン・モリス◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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※このページは「ライトハウス・ハワイ 2021年2月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

 

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