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レストラン燦鳥(サントリー)寿司会席

 

サステナビリティは、人類が必要とする未来への指針だ。人間は、一旦開封して食べ出したらやめられず、気付いた時には袋の中は空っぽで後悔と自己嫌悪にかられる、というポテトチップスに例えられる行為を続けてきた。世界中の海で行われている利益主導の商業漁業もそうだ。乱獲・過剰消費が海洋生態系に大被害をもたらしている。

幸いにもここハワイでは、サステナビリティへの取り組みがすでに進められており、新たに開発された養殖場でアバロニ、エビ、ロブスター、カンパチ、また最近ではキャビアまでが育てられている。おかげで、僕らが愛するシーフードの安定供給が確保されるものと期待している。他国でも(おそらく輸出も念頭にあるのだろうが)持続可能な養殖業の開発がはじまっている。こうした努力は、天然魚の回復につながる。一方、養殖魚が増えることで、天然ものがより一層重宝されることになるだろう。

ワイキキの本格日本食レストラン「燦鳥(サントリー)」が、最近、チーフ寿司シェフ  河上ケン氏による$120の寿司おまかせコースをはじめた。使用しているネタは、多くが(皮肉にも)日本から取り寄せたサステナブルな魚介類だが、カリフォルニアやハワイ産の高級魚もいくつか含まれる。内容は旬のものが多いので随時変わる。パンデミックによる経済的打撃をいまだ忍んでいる僕のような者にとって、これは特別に大切な食体験だ。

先日行ったときのコースは、黒胡麻豆腐 サンタバーバラ産雲丹とわさびのせでスタートした。続くは、わかめと薄切りキュウリを添えた旬の日本産ホタルイカ 酢味噌和え。ほんのり甘酸っぱい味噌とシャキシャキのキュウリがイカの旨味を一層引き立てた。柔らかなあさりと新海苔の茶碗蒸しは、絹のように滑らかな口溶け。甘海苔と心持ちの生姜、そしてなめこの森の香りがかぐわしかった。

 

刺身コースの最初に出てきたのは、微かにシコシコとした食感の日本産金目鯛。次にサバが生と炙りの2通りで供された。どちらもかつお節醤油でいただくのだが、前者は脂のよくのった魚の本来の味をそのまま、後者はさっと炙った魚の香ばしい焼き香が楽しめた。薬味のかつお節に添えられた生姜が魚の臭みを程よく和らげてくれた。握りコースの前に、生ものの中休みとして登場したサワラの味噌焼きは、引き締まった身がややパサパサしている感があったが、ほんのり甘い味噌味とカリカリに焼かれた皮がナイスアクセント。

 

握りのシャリには、北海道産のななつぼし米と田牧米ゴールドを8:2の割合で、そしてトップグレードの酢を使用している。真っ先に出てきた千葉県産のヒラメは、マウイソルトと微量のレモンで。続く金沢産ノドグロの炙りは、脂が醸し出す豊潤+贅沢な味わい。セミソフトな歯ごたえの大分産スミイカは、醤油とともに甘く純粋な天然の旨味が楽しめた。

北海道産ホタテは、ひと噛みするごとに甘いお汁がぎゅっ。まるで繊細なゼラチンのように口の中で溶けていった。続いて登場したのは、なんとダイヤモンドヘッド沖で獲れた生ボタンエビ。生まれて初めて口にしたそのぷりっと官能的な身は、甘くてしかもクリーンな後味だった。その次は、歯ごたえしっかりめのほのかな塩味のミルガイ。

脂のよくのった本マグロの大トロはとても濃厚で、期待を裏切らない贅沢な逸品だった。その後、ほんのり甘めのタレと香ばしい焼き香が対照的な千葉県産の柔らかな穴子が登場。そして、とろりとふくよかな大トロのネギトロ手巻きが寿司コースの終わりが近づいたことを告げた。

シメは、しっとりと香ばしい甘辛味のエビのすり身入り玉子焼きと茄子の赤だし。そして、日本の源吉兆庵出の小熊井シェフによる、みずみずしいいちごをあずきあんといっしょにに包んだ絶品いちご大福でフィナーレを迎えた。

ここのおまかせコースはポーションも完璧で、いつ行っても満足できる。毎月通えるようになるのが夢だが、もしそれが叶ってたくさん食べたとしても、日本から取り寄せた上質のサステナブルシーフードなので安心して楽しめる。僕が心配しなければならないのは、唯一預金の残高だけ。

 

 

Restaurant Suntory 

レストラン燦鳥(サントリー)

Phone:  (808) 922-5511

http://www.restaurantsuntory

ロイヤルハワイアンセンター

2233 Kalakaua Avenue, Suite 307

【営】毎日 1:30am – 1:30pm、5:30 – 9:00pm

【取扱クレジットカード】ビザ、マスターカード、JCB

 

ショーン・モリス

ショーン・モリス◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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Instagram: @incurablepicure

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2021年5月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

 

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