ベセル・ユニオン｜ショーン・モリスの新ハワイ食べある記｜ライトハウス・ハワイの生活＆観光情報

僕は、ガイドつまり手引き書の意味を基本的に理解してはいるのだが、どうもうまく使いこなせない。特にそれがコンピューターとかスマホのガイドだったりすると、設定中に凍結してしまったり、ガイド自体が古くなっていたり、説明がわかりにくかったり、ヘルプボタンを押すと未解決のまま別のページに移動してしまったりする。セルフガイドはばかげている、と僕は思う。そもそも第三者（著者）からの手助けなのだから、セルフヘルプではなく、単なるヘルプに過ぎない。“セルフ”と言うから問題が生じるのだ。自分で何かをするということは、他人のヘルプなしでやるということ。つまり自分でするのだ。

あれこれいろんなことに直面していた「ベセル・ユニオン」のオーナーは、ヘルプが必要だとわかっていた。だから、手引き書や料理本に頼らず、レストランコンサルタントでありシェフでもあるロバート・パイク氏に助けを求めた。イタリアにインスパイアされた料理（これは通常アメリカンイタリアンを意味する）がこの店のコンセプト。そこでオーナーは、ヴェンテージ・ケーブ・クラブやホノルル美術館のカフェで以前シェフを務めていたパイク氏を招き入れ、メニューの監修を依頼した。その結果生まれた料理は、イタリアンなタッチを取り入れただけみたいなアイテムもいくつかあるが、大方は本質的にイタリアンだ。

前菜は、各種チーズとイタリアンコールドミートをのせたチーズ＆シャルキュトリーボード（内容は随時変更）、クリーミーなブッラータチーズと酢漬けトマトとバジルをのせたカプレーゼクロスティーニ（酸味の効いたバルサミコリダクションソース）、モッツァレラチーズがとろける黄金色のきのことトマトのアランチーニ、手作りミートボール（ローストトマトマリナーラソース）、ローストペッパーブルスケッタ（ケッパー、トマト、バジル、パルメザンチーズ）など、シェアして楽しめるものが揃う。フェタチーズとガーリックオイルを振りかけたユニオンフライ（クリーミーガーリックアイオリ添え）は、特にイタリアンではないが美味しかった。

サラダメニューには、ハウスミックスグリーンサラダ（レッドワインヴィネグレット、削ったパルメザンチーズ、クルミ）、プロシュットとルッコラのサラダ（リンゴ、トマト、レッドオニオン、ハニーバルサミコ酢）、そして噂ではメキシコのティフアナ生まれだそうだが、なぜかイタリアレストランのメニューにしばしば登場するシーザーサラダが含まれる。

パスタ料理は、セレクションは限られているが、カペリーニ（ほうれん草、サンドライトマト、ペストソース）、ハンドカットパッパルデッレ（煮込んだショートリブと野菜）、定番のスパゲティミートボール、チキンフェットチーネ（濃厚アルフレードソース）、シーズナルラビオリなどがある。しかし主菜には、きのこのデミグラスソースでいただくシアードリブアイステーキ（ケッパーマッシュポテト添え）がオススメだ。

パイク氏はすでに次のプロジェクトに取り掛かっているが、キッチンマネージャーのジョエル・アラータ・シェフがバトンを継ぎ、パイク氏がプロデュースしたメニューに彼なりのタッチを加えている。一時中止していたハッピーアワーも再開したこの店が、今唯一必要としているヘルプは、評判が広まり、多くの客が集まることだ。このコラムが多少でも助けになればいいなと思う。