一年には、バレンタインデー、ひな祭り、母の日、クリスマス、誕生日、アニバーサリーなどなど、女性たちがセンチメンタルに感じる日があちこちに散らばっている。僕ら大方の男たちにとって、それはまるで地雷原を行くようのものだ。中には出逢った日や初デート、婚約記念日、初めていっしょにシャネルの時計を買った日とかまでお祝いしたがる女性たちもいる。これは単に贈り物を買わせるための策略だと僕は思っているのだが、万一忘れてしまおうものなら一生の借りができてしまうので、無視するわけにはいかない。
20年ほど前にアメリカ本土からハワイに移住してきた「ファームハウス・カフェ」のモロッコ出身シェフ・ジジさんは、目下、一からの出直しに懸命だ。シングルファーザーである彼には憶えておかなければならない日がもしかしたら僕ほどないのかもしれないが、今の彼の頭の中は新オープンしたばかりの自店のことでいっぱいだ。客の反応に合わせてメニューを調整しながら、自分がずっと大切にしてきた料理をハワイの人々に紹介している。
メニューは朝食、ランチ、ブランチ(今のところ土曜日のみ)の3つのセクションに分かれている。どのアイテムもシンプルながら丁寧に作り上げられていて、上質材料の本来の味が楽しめる。
平日の朝食メニューは、今のところブレックファーストサンドイッチ、ポーチドエッグトースト、ソフトスクランブルエッグ with パルメザン&ハーブ、そしてアサイーボウルの4カテゴリーのみ。ただし、カスタマイズが可能で、例えばイングリッシュマフィンに卵1つとトマトとグリュイエールチーズをのせたオープンフェイスブレックファーストサンドイッチは、ハードサラミ、自家製キュアードサーモン、あるいはジャガイモのミルフィーユを追加することができる。
ソフトスクランブルは、“ふわとろ”と言うよりはむしろウェルダンのオムレツ風だったが、パルメザンチーズとハーブが助けてとても美味しかった。こちらもブレックファーストサンドイッチと同様アドオンが可能だ。
トロピカルグラノーラ、ごろごろドライフルーツ、バナナ、イチゴ、ベリーをのせオーガニックハニーをかけたアサイーボウルは、ココナッツチップス、ココアニブ、あるいはオーガニックピーナッツバターを追加トッピングしてより贅沢に。
ランチメニューは朝食よりも充実していて、各種サンドイッチ、サラダ、スープ、さらにバーガー、ミートボールサンドイッチ、プーティン、シャルキュトリーなどのハウススペシャルティが揃う。
サンドイッチは、ポータベロ with フェタチーズ、プロヴァンスチキングリュイエール with オリーブタプナード、クロックムッシュ/マダム with 黒豚ハム&エメンタールチーズ、アメリカン和牛ブリスケット with アロマティックスパイスなど。他とはひと味違うセレクションだが、正直な味とまとまったフレーバーを楽しむことができる。あと、ブリーとリンゴとオーガニックハニーバター入りパリジャン、ハモンセラーノとマンチェゴチーズ入りボカディージョ、カリフラワーベニエとハリッサ入りカサブランカの3種類のバゲットサンドイッチと、サラミタルティーヌ with ブリーチーズ、キングサーモンタルティーヌ with ハーブリコッタ、そしてスパイスラムとスマックとフレッシュミントをのせた“ラフマジュン”ファームハウスフラットブレッドがある。軽めのものが良かったら2種類のサラダ、ニンジンとフェンネルのスープからチョイスして。
ハウススペシャルには、よりボリューミーなヴェニソンミートボール with チェリー&トマトジャム、グルメ和牛バーガー with ゴルゴンゾーラブルーチーズ&デミグラス、ファームハウスプーティン with ダックコンフィや、ハモンイベリコベジョータ(量り売り)、輸入チーズとサラミを盛り合わせたシャルキュトリープレートが含まれる。
ブランチは目下のところ土曜日限定だが、伝統的なキッシュプレート、アーモンドクリームがたっぷり詰まったブリオッシュフレンチトースト with ホワイトチョコレートソース、レモンゼストとパウダーシュガーをトッピングしたバターたっぷりのシグネチャークレープ(少額でアーモンドバター、フルーツ、または削りチョコレート追加可)が提供されている。
店内は田舎風ヴィンテージサインで飾られた人工レンガの壁に囲まれたかわいい空間。インダストリアルエレメントとナチュラルウッドのファニチャーがファームハウスっぽい雰囲気を醸し出している。初めて妻を高級ブランドショップのない街に連れて行ってあげた日を祝うなら、この店がいいかなと思っている。
◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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※このページは「ライトハウス・ハワイ 2020年12月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。