ホリデーシーズン中の人々の金銭感覚が僕にはどうも理解できない。一年に一回感謝を表し、プレゼントを贈り、(2・3ヶ月もすれば忘れてしまうのではあるが)一応なんらかの決意をする季節だ。今年一年なんとか無事に切り抜けられたという大義名分のもとに、多額をプレゼントに使い、高級ワインやシャンペンの栓を抜く。さらには、まるで来年はお金を持っていることが流行らなくなるかのように、贅沢三昧の食事に出かけたりする。とはいえ、この時期は確かに外食にベストだ。ありとあらゆるグルメ食材が巷に出回る。たまたま旬だからなのだが、消費者の財布の紐が緩むからというのもその理由だ。
フォーシーズンズ リゾート オアフ アット コオリナの「ノエ」は、オアフ島にある数あるイタリアンレストランの中でも特に僕が好きな店の一つだ。高塚料理長が敏腕を振るうイタリア・アマルフィ海岸地方の伝統料理が楽しめる。スタートの前菜は、アーモンドと蜂蜜をかけたリコッタチーズのディップ、モッツァレラブーファラの代わりにクリーミーなブッラータチーズを使ったカプレーゼサラダ、栗や林檎やペコリーノを取り入れた秋の味覚満載キノコとかぼちゃのサラダ ラズベリードレッシング、グレープフルーツとシーアスパラガス、キャビア、クレームフレーシュが爽やかなフレーバーを醸し出すカンパチのクルード、柔らかなタコのンドゥヤ ジャガイモとパセリオイルなどで、どれもクラシックなイタリア料理をよりクリエイティブに解釈したものだ。
パスタメニューもすごく魅力的で、本日のラビオリ、朝食かと思ってしまうパンチェッタとスクランブルエッグのブカティーニ、イカスミパスタファンにおすすめのタラバガニとチェリートマトのマッケローニネーリ(ブラックマカロニ)、ハーフポンドのロブスター入りロブスタースパゲティポモドーロなどが揃う。これらには、イタリアのウンブリアから輸入した白トリュフを信じられないくらいのお得料金で追加することができる。
ここまで来てまだまだいけるならば、子牛ほほ肉の煮込み“ロッシーニ風” フォアグラとトリュフポテト添えなどのメインを注文してさらに散財を続けよう。牛ヒレ肉のバルサミコペッパーソース 旬の野菜添えはオーソドックスなチョイス。通にはハックルベリーとケッパーとキノコとブルーチーズとジュニパーオイルで仕上げたヴェニソン(鹿肉)。あっさりめがいいならば、カジキとロブスターのソテー ネギのピューレとフェンネルとオリーブ添えを。あれこれ自分で選ぶのが面倒なら、4コースのセットメニュー($95)という手もある。追加$45または$75でワインをペアリングすることができる。
シンプルさを大切にしながら、さりげないひねりで新鮮な味わいを創り出す高塚料理長のアプローチには、彼の料理人としての自信がありありと窺える。あっさりとした南イタリア料理が楽しめるこの店での食事は、どんなオケージョンもスペシャルなシーンにしてくれるだろう。ワイン愛好家たちは、充実したワインリストに歓喜の声を上げること間違いなし。ゆったりとエアリーな雰囲気を醸し出すインテリアもおしゃれだ。そして、風通しのいい外のパティオの木陰での食事は最高にロマンチックだろう。
2018年の幕を華やかにおろしたいならば、コオリナの「ノエ」へ足を延ばしてみては?高級スパークリングワインの栓を抜き、美味しいイタリアンを堪能すればいいフィナーレとなるはずだ。そして、来年も無事に終えることができるよう、2019年こそはしっかり貯金をするのだという決意を胸に新年を迎えよう。
◎ノエ/Noe
◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
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(2018年12月16日掲載)段落
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2018年12月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。