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僕の妻はサイキックとか占い師にみてもらうのが大好きだ。かなりスピリチュアルなタイプで、手相やら茶葉やらコーヒーやらなんでもかんでも読んでもらう。風水にも随分つぎ込んでいて、家中のあちこちに、小刀、トラ、小判、金のなる木、竹、布袋様、パワーストーン、お守り、邪眼などなどありとあらゆる風水グッズが置かれている。幸運のためなら、どこの文化であろうと厭わないみたいだ。一方この僕は、概して運の悪い人なので、どうせ占い師を戸惑わせるだけだろうだから、決してみてもらおうと思わない。

僕は職業柄、新しいレストランを試すことが多いが、一か八かで行ってみるのはあまり好きでない。大抵の場合、時間とお金を無駄にしてしまうハメになるからだ。だから通常は、人の意見を聞いたり、プレスリリースを読んだり、業界の知り合いに話してみたりして下調べをする。だが、レザー・ソウルとバー・レザー・エプロンを経営する友人のトム・パークさんから、彼が新しく開店した「バー・マゼ」に招待されたときは例外だった。はじめから、これは絶対に素晴らしい食事が体験できると思っていたのだが、以前カーメルのミシュラン星レストラン’Aubergine’ にいたエグゼクティブシェフのキ・チョンさんに紹介され、またトムのビジネスパートナーでヘッドバーテンダーとしてクラフトカクテルをまかされているジャスティン・パークさんと話してみて、この店は2021年にオープンしたベストレストランのひとつに違いないと確信した。そして、その予想は当たった。

この日のおまかせディナーは、カラマンシーヴィネグレットが爽やか+華やかな味わいを添えるモロベイオイスター、サクサクのペストリークラストの器に入ったフォアグラとチャイブ入りサーモンタルタル、パリパリ海苔チップスの上にアレンジされた舌触り滑らかな柚子胡椒味アボカドピューレ、ホクホクのポテトピューレにのった甘い醤油だれ仕立ての北海道産雲丹+カリッと揚げたポテトコロッケが盛られたシーズナルスナックボックスでスタートした。

内容はその後幾分調整され、オイスターは豊洲から取り寄せた甘鯛のシアードに、サーモンタルタルはブリックコーンに入ったアヒに、そしてアボカドピューレは椎茸ジャムとともに巻いた海苔のチュイールに変更された。スターターコースのペアリングカクテルは、日高見 超辛口にキーウイとナシと柚子とシャンパンをブレンドした新感覚のフレンチ75。繊細なフルーツ味が料理を引き立ててくれた。

続いて、みずみずしいトマトと爽やかなキュウリのグラニータをアクセントに添えた昆布じめカンパチのあっさりヨーグルトソースが登場した。これも後ほど、トマトは新鮮野菜(ラディッシュ、ネギ、キュウリなど)のシフォナードに、そしてグラナータはホワイトキムチグラナータに替わり、さらにトマトチリウォーターと燻製鱒イクラが加えられた。百焼酎にトマトマスティック、エルダーフラワーリキュール、ボタニカルを使ったパフュームジンを合わせたカクテルは、バニラ、ジュニパー、コリアンダーの味わいとしっとりとした森の下草の香りがした。

次のコースは、柑橘だしバター仕立てのマヒマヒグリル 夏かぼちゃとラディッシュ添え。信じられないほどしっとり柔らかな焼き上がりで、とろりと滑らかなバターソースが脂の少ない魚の旨みを引き出していた。先日行った際は、これとよく似たブールモンテ仕立てのシアードスキャロップが替わりに提供されていた。ソースは添えられたブリオッシュに浸ませて完食を。オプションのインペリアルゴールデンオシェトラキャビア($80/2人前)を追加すると、より贅沢に楽しめる。アクアビット(後にパンダンウォッカに変更)にグレープフルーツ、キュウリ、グリーンティーヨーグルトを合わせ、泡立てた卵白をトッピングしたフォーミーなカクテルは、濃厚さと野菜+柑橘のフレッシュなフレーバーがいいバランスを醸し出していた。

コース最後の料理は、3年熟成のテンジャンと燻製キノコとパールオニオンのピクルスを添えたトリプルシアードビーフ(ストリップロインまたはショートリブ) 。もっと豪勢に行きたいなら、宮崎和牛A5ランクの土鍋(追加$50)のオプションを。これは、滲み出た牛肉の旨みとピリ辛味噌のほのかな発酵香+キノコの燻製香が絶妙だ。土鍋には、薄くスライスした松茸で覆われたビーフファットライスが付く。

トリプルシアードビーフは、最近3度目に来店した際にはスモークダックの沖縄紅芋とカラカラオレンジのジュ添えに替わっていたが、これもやはり文句なしに柔らかな出来上がりで、ほんのり甘いリダクションソースが美味しさを一層引き立てていた。ペアリングカクテルは、響ウイスキーハーモニーにメープルシロップ、バニラ、アンゴスチュラチョコレートビターズを合わせたオールドファッションド。今風なアレンジが新鮮だった。最後に、斬新なシロップとアクセントを取り入れたフレッシュフルーツのシーズナルシェイブアイスが供され、至高のグルメコースはフィナーレを迎えた。

$150(両方のオプションを加えると$280)のディナーを満喫した後、僕はこの店で食事をすると決めたのは間違いでなかったと思った。是非ともコラムで紹介したいと感じる店を見つけるまで、通常何軒もの店に足を運ばなければならない。そしてそれぞれの店で$30~50を使うことになる。そう考えれば、やみくもに3・4軒試して失望に終わるより、成功率の高い1軒に賭けた今回は正しかった。もしかしたら、僕も占い師にみてもらうべきなのかもしれない。富が転がり込むだろうと言われることはまず期待しないが、どこへ行けば読者のみなさんとシェアできる美味しい食事に出会えるか予言してもらえるかもしれない。

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僕のお気に入りコース

1) シアード甘鯛 – パリッと焼きたてに熱々のオイルをじゅっとかけ、カラマンシーヴィネグレットと心持ちの柚子胡椒で仕上げた前菜。

2) シアードスキャロップ – さっと焼いたホタテ貝柱のココナッツオイルとまろやかブールモンテソース。プチプチとした歯触りの塩っぱいインペリアルゴールデンオシェトラキャビア(追加$80)がソースに絶妙。

3) 宮崎和牛A5ランクの土鍋 – 森の下草の香りがする松茸で覆われた贅沢なビーフファットライス(サンヌードルで精米したてのお米を使用)。追加$50かかるが、検討の価値あり。

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Bar Maze

バー・マゼ                           

Phone:  (808)

ザ・コレクション 604 Ala Moana Blvd.(入口アウアヒストリート側)

【営】水~日 5:30 – 10:30pm

【取扱クレジットカード】ビザ、マスターカード、アメリカンエクスプレス、JCB

ショーン・モリス

◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
ソーシャルメディアも発信中
Twitter: @incurablepicure
Instagram: @incurablepicure

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2022年1月1日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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