ハナ-レイ・アット・22カイルア

 

 

日本人であるということ。それは僕にとって、とめどなく謝り続けることを意味する。相手の過ちであった場合でさえも許しを請うのは、唯一日本文化だけだろう。いつだったか日本のあるカフェで、ウェイトレスの人に勘定書を持ってきてくれるよう頼んだことがあった。彼女は、僕が気づいていなかったテーブルの上に置かれてた勘定書をそっと指差し、「すみません、お見えにならなかったようで。お気づきいただけるように置かなかったことをお詫びします」と謝った。彼女が言わんとしたことはおそらく「あなたはコウモリみたいに盲目で、明らかにそこにあるものが見えないほど視力がダメになってしまっています(つまり節穴)」だったのだろうと察するが、それでも彼女は申し訳なさそうにしていた。日本式の謝罪は、たとえ自分が正しくても、もしかして間違っているのは本当は僕?と疑わせるようなところがある。それは日本のおもてなしの一面なのかもしれない。

さて、先日22カイルア内にある隠れ家レストランに予約を入れようと電話をした。小さなカフェとブティックの奥に仮設されたその店「ハナ-レイ」は、シェフのタカ・キジマ氏が舵を取る、寿司カウンターを設けた懐石料理店だ。電話したその夜に行きたかったのだが、シェフは予約に応じて材料を仕入れるから少なくとも24時間前までの予約をお願いしている、とすまなそうに言った。

 

 

前もって知らせてもらえれば、いつでも対応できると説明しながら、良き日本人である彼は謝ることしきり。後になって知ったのだが、以前ワイキキにあった人気ナイトクラブ「マハラジャ」のマネージャーであった彼は、実は長年ずっと料理への熱い思いを心に抱いていたそうだ。ハワイに移住し、そしてクラブシーンを卒業した後、プチ・ガーリック、808カパフル、大漁、そして今は閉業したピイコイ通りの幸の鳥の厨房で働いていた。

店内は、カウンター5席と外に数席のテーブルを置いただけのこぢんまりとした小粋なつくり。寿司を中心とした(2貫ずつの小コースに分けられている)12+のおまかせコースを$80(税込)というびっくりするほどリーズナブルなプライスで提供している。まずは、シャキシャキのキュウリに甘いもろみ味噌を添えたシンプルなアミューズ“香り物コース”でスタート。そのすぐ後に出てきた酢の物コースは、キュウリとわかめ、鯖、タコ、だし巻き卵、土佐酢のジュレが小鉢に綺麗にアレンジされていた。

最初の握りは、肉厚のサーモンとハマチ。シェフ曰く、醤油をさっとひと塗りしただけで、魚本来の持ち味を生かしているとのことだが、個人的には、魚の生臭さを抑えるため、もう少しシャリに酢を効かせてほしいなと思った。しかし、ここはシェフにおまかせしておくことに。和え物コースは、ニンジンとコンニャクとキノコとブロッコリーのほんのり甘い胡麻風味白和え。さらに、酢漬け茄子とかいわれ大根の握り、そしてゆっくり煮込んだ豚をざっくり輪切りにした大根の上にのせ、鰹節とかいわれ大根を添えた豚バラと大根の煮物コースが続いた。

再び寿司コースとなり、今度はレモン醤油を塗ったシマアジとヒラマサ。レモン醤油に磯臭さがうまく消され、通常光物が苦手な人もこれはアリかもしれない。次は、絹のように滑らかな口どけのイクラあんかけ茶碗蒸しの蒸し物コース。そしてその後、タコと赤エビの握りが出てきた。あさり、ハマチ、ホタテの握りが乗った皿が、外のテーブルに運ばれるのを横目に見ながら、僕らはなぜ自分たちにはサーブされないんだろうとちょっと悲しい思いをした。

 

 

代わりに僕らの前に出てきたのは、蓮根饅頭とエビとあさりのあんかけと、バターフィッシュの西京焼き添えだった。この焼き物コースは、魚がやや冷め気味だった。しかし、次の揚げ物コースに僕らは嬉々とした。エビ、茄子、ブロッコリー、獅子唐、タケノコ、山芋の天ぷらが順に少しずつ出されたので、揚げたて熱々を大根おろしとほんのり甘いの天つゆでさっぱり楽しむことができた。うなぎとだし巻き卵の握りラストコース、そして青ネギとわかめと天かすを浮かせた冷やしそうめんで締めに。フィナーレのデザートは、オレンジスライスと白ぶどう、そして苦味のある強いコーヒーゼリー。おかげで帰りの道で居眠り運転する心配がなくなった。

通常僕はコラムを書く前に2度来店するのだが、あいにく今回は1度しか行けなかった。鍋も美味しそうだったので、次回ぜひ挑戦しようと思っている。後でシェフに打ち明けられたのだが、あの日は、外の客が寿司を多くしてほしいという希望だったので、ああなったそうだ。彼はそのことを平に謝った。

お返しに僕も謝り、今度来るときは寿司以外のメニューも試してみたいということ、そして(飲み物は水のみないので)ドリンクを持参することを伝えた。さらに2・3回謝り合ってから家路に着いた。僕はぜひもう一度来店し、この謙虚なシェフをサポートしたいと思っている。いずれにしても、僕らは次回もまたしきりに謝り合うに違いない。

 

◎ハナ-レイ・アット・22カイルア/Hana-lei at 22Kailua
22 Oneawa St., Kailua,
☎808-221-1000
▶営業時間:随時予約制(24時間前以上)
▶ 取扱クレジットカード:ビザ、マスターカード、JCB、ダイナースクラブ

ショーン・モリス

ショーン・モリス◎ マーケティング会社社長。ハワイ随一のグルメ通として知られている食いしん坊。
ソーシャルメディアも発信中
Twitter: @incurablepicure
Instagram: @incurablepicure

(2019年8月16日掲載)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2019年8月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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