～お受験嫌いなママが明かす「ここだけの話」～第264　　【公立校の成績表】

　■小学校の成績表
　ハワイの公立小学校の成績表は、GLO（ G e n e r a l L e a r n e r
Outcomes）という学習態度の評価、Progress Reportという学習内容の評価、先生のコメントの3本立てです。ハワイは4学期制なので年4回成績表をもらいますが、学期末最後の日ではなく、新学期が始まって少ししてから前学期の成績表が出ます。
　GLOは授業中の学習態度、協調性、思考力、社会性などを問う項目に対して、4段階の評価（常にできている～ほとんどできていない）がなされます。Progress Reportについては、各教科について4段階評価です。ハワイの公立校はスタンダード・ベンチマーク方式を用いているので、各学期で到達すべき標準を満たしているかどうかを基準とした
•ME（Meets with Excellence）
　　　＝優秀に達成
•MP（Meets Proficiency）
　　　＝基準を達成
•DP（Developing Proficiency）
　　　＝基準に近づいている
•WB（Well Below Proficiency）
　　　＝基準を大きく下回る
という評価が出ます。

■中・高校の成績表
　中・高校は、各教科がA〜Fで評価され、学年を終了する最低基準を満たしていない場合は、F評価つまり単位を落とす結果になります。その場合はサマースクールで再度その教科を学習し、単位を修得する機会が与えられますが、それでも追いつかない場合は留年になります。成績はテスト結果だけが反映されるのではなく、宿題やプロジェクトなどの提出物がテストと同じくらい高く評価されることが多いので、提出物をうっかり出し忘れたりするだけで、成績が一気に下がります。小学生のうちから宿題や提出物を決まった日に出す習慣をつけておくと、中学への移行がスムーズにできそうです。
　またGPAと呼ばれる成績平均点があり、A4.0、B3.0、C2.0、D1.0、F0.0のスケールで平均点が算出されます。高校でのGPAはSATなどの全米共通試験での成績と並んで重要に扱われ、大学進学に大きく影響します。各大学や学部ごとに入学に必要なGPAが決められているからです。高校４年間のうち3年目の11年生でGPAが伸びていると高評価につながるとも言われています。

■上昇するハワイ公立校生徒の学力
　全米の通信簿とも呼ばれる全米教育進歩評価（NAEP）の２０２４年の結果によると、ハワイ州の公立校に通う4年生の学業成績が大きく向上していることが明らかになりました。特に4年生の数学のスコアは、成績上昇全米15州の一つに入り、4年生と8年生の読解力、そして8年生の数学においても安定した成績を維持しました。２００３年、ハワイ州の4年生の読解力は全米下位10州で、「ハワイの公立校は低レベル」というレッテルが貼られていましたが、現在では上位10 州の一角を占めるまでに成長しました。過去20年間における州教育局の努力が見事に結実した素晴らしい結果だと思いす。
　成績表は学習の到達度の目安ではありますが、小学生の間は一喜一憂する必要はありません。それよりは時間管理、自主的な学習態度、勉強の楽しさを教えることが、将来の飛躍につながります。ただし単位を落とす可能性があり、平均点が大学進学に影響する高校生は真剣に受け止める必要があるでしょう。学期末や学年末に慌てても挽回は難しいので、プログレスレポートという中間報告で警告が出た場合、不足点を学期途中でしっかり補いましょう。親も必要なら先生に、成績上昇のための改善策を相談してください。

スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オレゴンで学生時代を過ごす。京都女子大学短期大学部卒業。88年ハワイに移住し結婚。ハワイの公立校で教育を受けた長女は現在アメリカ本土で大学院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌やウェブでの執筆活動を精力的に行っている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワイ』(双葉社刊)

※このページは「ライトハウス・ハワイ 2025年12月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。

この記事をシェアしよう！