スマホやタブレットが普及し、子どもたちとインターネットやゲームとの付き合い方が問題になっています。いわゆるネット・ゲーム依存症になる子どもたちが増え、日本では中高生の4人に1人の割合でネット依存が疑われているそうです。コロナ禍でさらに進んだケースも見受けられ、「子どもがゲームばかりして困る」「親が注意したらキレる」といった悩みを抱えているご家庭も多いのではないでしょうか。
①幼児へのネットやゲームの与え方
レストランや飛行機内など公共の場所で、小さな子どもがタブレットでアニメを見たりゲームをしたりして時間を潰している様子を見るたび、便利な世の中になったと感心するとともに、子どもの心身への影響が心配になります。最初が肝心です。タブレットなどを与える時期を極力遅らせることをおすすめしますが、それができなくても、幼児がネット・ゲームに過度な時間を費やさない環境作りが重要です。子どもの世話に疲れ、ついネットやゲームに子守りをさせてしまうこともあるでしょうが、この時期の子どもは脳が未完成で、自制するための前頭葉が未発達なので、ゲームから受ける過度な刺激による悪影響は免れられません。人や周囲の環境への関わり方を身に付ける幼児期は、感性を豊かに育むために自然と触れ、体を動かし、家族や友達と交流する時間を最大限に作ることが何よりも大切です。
②利用時間の制限
けれども現代を生きる上で、ネットを完全に排除することは不可能です。ネットやゲームとの「付き合い方を決める」のです。利用時間は必ず制限する必要があるでしょう。また「勉強をしたらゲームをしていいよ」とご褒美にする場合が多いかもしれませんが、その弊害についても指摘があがっています。勉強する目的がゲームになってしまうからです。ご褒美にするのではなく、利用時間を親子で話し合って決めること。そして決めた時間は何があっても守り抜くことが親に求められます。面倒になって「今日はいいか」とルールを破る日があると、なし崩しとなり、コントロールが効かなくなります。
③小学生の場合
ネットを使って学校の課題を調べたり、読書のアプリを使ったりと、ネットとの関わりが自然に増えていきます。その時間とゲームやSNSで費やす時間を混同せず、しっかり線引きをしていきましょう。スポーツやお稽古事を通して興味を持って取り組める何かを見つけておくと、中高になってクラブ活動が本格化する時にスムーズに移行でき、子どもの才能を開花させ将来につなげていくことができます。子どもの世界をネット以外に作ってあげましょう。
④中高生の場合
これまでの積み重ねが結果として出てくる時期です。ゲームを通じて不特定多数の友人を作っていくので、親の知らない世界が展開していきます。課金のトラブルなどが発生することも少なくありません。ネット・ゲーム依存症になってしまっていると、ただでさえ親の言うことを聞かない思春期の難しい時期だけに、矯正は非常に難しいです。ただ叱りつけるのではなく、家庭内でじっくり話し合ってください。場合によっては支援機関やカウンセラーなどプロの力を借りることも必要です。 大人である私たちも、YouTubeやネットサーフィンに長時間を費やす時代です。自制の効かない子どもにネットやゲームへの関わり方を教えるのは、難しいと感じると思いますが、子どもが幼い頃からネット・ゲーム依存症の危険性を意識し、うまく誘導していくことが重要です。
スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オレゴンで学生時代を過ごす。京都女子大学短期大学部卒業。88年ハワイに移住し結婚。ハワイの公立校で教育を受けた長女は現在アメリカ本土で大学院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌やウェブでの執筆活動を精力的に行っている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワイ』(双葉社刊)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2025年9月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。