夏休み真っ只中ですが、今年の夏はどのようなプランでお過ごしでしょうか。日本に里帰りしているご家族も多いと思います。日本の家族と楽しい時間を過ごせると良いですね。2カ月ある長い夏休みの期間は、子どもたちに多種多様な体験をさせてあげる絶好のチャンスです。
夏休みはサマースクールやサマーファン、習い事の延長としてサマーキャンプ(夏期講習)に参加する子どもたちが多いと思います。日本で小学校に体験入学させるご家庭もあるでしょう。長い夏休み期間をいかに過ごさせるか、仕事をしている親にとっては頭が痛いところですが、子どもが人格形成をする幼少期に多様な体験をさせることは、実は非常に重要です。特に自然体験は不可欠だといえるでしょう。なぜなら五感を使って子どもはたくさんのことを吸収するので、自然の中に身を置くことで、視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚がさまざまな刺激を受け取ります。自然の中で遊ぶことで、身体を鍛え、予期せぬ事態に対処する思考力を身につけ、ワクワクドキドキすることで想像力や意欲が掻き立てられます。やる気がある子に育てたければ、なるたけたくさんの自然体験をさせてあげることです。かといって何か特別なことをしなくても、ハワイは美しいビーチやハイキングトレイルなど自然環境に恵まれているので、日常の中で自然を楽しむことができます。ビーチで泳いだ後にバーベキューを楽しむローカルスタイルの休日は最高です。野外で食べたおいしい食事は幼少期の原風景となり、心にずっと刻み込まれるはずです。また家族や友人と自然の中で過ごすことで、人との触れ合いを学び、人間力も身についていきます。
また、音楽や芸術に関するイベントなどがあれば、積極的に出掛けてみてください。ハワイは東京と比べれば、文化的な刺激が随分少ないですが、それでもホノルル美術館、ビショップ博物館、ホノルル動物園、シーライフパーク、マノアネイチャーセンターなど素晴らしい施設がありますので、年間会員になって何回も出かけてみてはいかがでしょうか。ワイキキシェルやブレイズデルコンサートホールでのコンサートや交響楽なども、興味があるものや見たことがないものには積極的に出掛けてみましょう。アラモアナセンターのセンターステージでも、多くの無料コンサートが開かれています。
季節感に乏しいハワイですので、季節を感じる行事も大切にしたいですね。クリスマス、お正月、ハロウィン、イースター、ひな祭りやこどもの日などは、意識して日常に取り入れたい行事です。わが家もシーズンごとにたくさんのイベントに子どもたちを連れていきました。特にクリスマスの時期には、クリスマスパレード、サンタとの朝食会、ダイヤモンドヘッドシアターでのクリスマスの演劇鑑賞、ホノルル美術館での特別イベントなど、毎年多くの行事をはしごしていました。あわただしい時期で準備や後片付けも大変ですが、お友達を呼んでクッキーやジンジャーブレッドハウスを作るパーティーなども開催していました。
「杭は熱いうちに打て」とはよく言ったもので、幼児期の子どもの吸収力は目を見張るものがあります。子どもは一つ一つの出来事を記憶できないかもしれませんが、五感で体験したことは無意識層に残るような気がしてなりません。この時期に親子で一緒に楽しく過ごす時間は、後の親子関係にも大きく影響します。一生懸命に過ごした子育て期を振り返ってみると、親子でワクワクドキドキする体験を積み重ねることこそが、平凡なようでいて何よりも大切な子育ての秘訣だと感じています。
スピアかずこ
1964年愛媛県生まれ。大阪•京都•オレゴンで学生時代を過ごす。京都女子大学短期大学部卒業。88年ハワイに移住し結婚。ハワイの公立校で教育を受けた長女は現在アメリカ本土で大学院生、次女はハワイ大学へ通う。雑誌やウェブでの執筆活動を精力的に行っている。共著に『ハッピー•グルメ• ハワイ』(双葉社刊)
※このページは「ライトハウス・ハワイ 2024年8月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。